コラム:最低でもイランとの対話を
2011年04月24日付 al-Hayat 紙

■最低でもイランとの対話を

2011年04月24日『アル=ハヤート』

【ダーウィド・アッ=シルヤーン】

アラビア湾岸諸国は安全保障理事会に対し、湾岸協力会議(GCC)諸国内の内乱や破壊行為を焚きつけようと試みるイランの介入や扇動、威嚇行為を阻止するために必要な措置をとるよう要求していたが、事態はGCC諸国の国連大使らが潘基文国連事務総長と現在の安保理議長であるコロンビアのネストル・オソリオ国連大使に抗議文を送付するまでに至った。この抗議文には、イランのアリー・アクバル・サーリヒー外相から国連事務総長へ送られたバハレーン情勢に関する書簡の内容を拒否する旨が含まれていた。

湾岸諸国とイランの問題は、イランがGCCを承認せずに自国に敵対する地域の寄り合いと見なしている点にある。イランは過去30年間に亘ってGCC諸国と個別に対応するよう努めてきた。この政策により、湾岸諸国の対イラン政策を統一する上でGCCの役割は弱体化し、その影響力は影をひそめた。さらに、イラン政府は湾岸諸国間の対立につけこみ、同諸国の集団的立場に真っ向から対立する政策と立場を押し通してきた。これを踏まえると、集団としての湾岸諸国に対するイランの立場は緊張状態にあるものの、一部諸国との個別的な関係においては最低限の相互理解が成立していると言える。この程合いの二国間の相互理解は、GCCの防衛網を活性化するために活用されるべきであり、その重要性を減じるために利用されてはならない。増大するイランの介入を始めとする諸国外からの危険に対処するにあたり、今や「GCCの傘」は必要不可欠な存在となったのだ。

湾岸諸国に対して、イランのGCC未承認の立場を強固にするようないかなる動きをも阻止することが求められている事に疑いの余地は無い。湾岸諸国は以前、アラブ首長国連邦領内の諸島の占領問題に関してイラン政府と対話するために、GCCの枠外に委員会を設置し、GCCを地域的組織として認めないイランの立場を強化するかのような取り組みを行った。また、GCC 創設時の状況は既に過去のものであるという事をイランに納得させることも必要だ。イランが政策を変更し、「近隣国」「諸利益」「イスラームを信仰する同胞」というロジックの下で湾岸諸国と接するようになれば、将来的にイランもこの地域システムの一員に成り得るという事を、暗に示す事が不可欠だ。

湾岸諸国とイランとの問題を安全保障理事会に持ち込むのは時期尚早であり、最も理想的な解決策とは言えない。対話や相互理解の機会に加え、GCC諸国は経済的圧力の行使というカードを有しており、これはイラン政治の過激化を阻止する力を持っている。湾岸諸国とイランの経済関係は膨大かつ多様であり、イラン政府にこれを放棄する準備は無いだろう。イラン国民との危機は、国際問題にまで発展させずとも、諸利益の面からコントロールする事が出来るのだ。

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( 翻訳者:川上誠一 )
( 記事ID:22233 )