ついに発表、エルドアンの「驚異のプロジェクト」―イスタンブル運河計画
2011年04月27日付 Milliyet 紙
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、皆が待ちに待った「驚異のプロジェクト」の内容を発表し、イスタンブルは内部に2つの海が通る都市に変貌を遂げるだろう」と述べた。
エルドアン首相は、プロジェクトの費用と具体的な建設場所については明らかにせず、「イスタンブル運河」と呼ぶプロジェクトで、黒海とマルマラ海を結ぶ全長約45~50キロの運河が建設されると発表した。
運河建設予定地にはホテル、コンベンションセンター、住居、年間6千万人が利用できる空港も建設される予定で、さらに載貨重量30万トンの船も同運河を通過することが可能になるという。
エルドアン首相は総選挙後に、調査作業に2年かかるこのプロジェクトの準備に着手する予定だと語った。
エルドアン首相は、6月12日の総選挙後に調査作業が始まるイスタンブル運河について、パナマ運河とスエズ運河をもしのぐものとなるとし、「イスタンブルにこのようなプロジェクトを提案する機会が公正発展党(AKP)に恵まれることを願っています」と述べた。
「トルコ目標2023年」プロジェクトの発表会がイスタンブル会議センターで開催され、ホールへ入場したエルドアン首相は党員から盛大な拍手と「偉大な指導者」という喝采で迎えられた。
エルドアン首相は待ちに待った「驚異のプロジェクト」を発表した。イスタンブルはトルコのみでなく世界で愛される都市であり、今日7,400万の国民の誇りである文明都市に、新たな業績をもたらすことに高揚していると述べた。このプロジェクトは多元的で、エネルギー、交通、公共事業、都市計画、家庭、住居、観光、環境、そして文化プロジェクトであり、首相自身が望むと同様、何百年も前からイスタンブルで暮らした人々と統治者の夢でもあったと強調した。また、このプロジェクトについて長期間、十分に注意を払い詳細に至るまで計画を進めてきたと述べて、次の2つのことを強調した。「あらゆる思わしくない影響、不正を防ぐため、建設場所と費用に関しては現時点では公表しません。公表すると多くの思わしくない影響が考えられます。場所と費用はすでに決定しています。調査作業だけでおそらく2年かかるでしょう。」
■ヨーロッパ側に建設予定
世界には内部に川が通過している都市が多くあるが、海が通っている都市は唯一イスタンブルのみであると強調したエルドアン首相は、「今から開始するプロジェクトで、イスタンブルは2つの海が通る都市に変貌を遂げるでしょう。イスタンブルにはこのプロジェクトにより2つの半島と1つの島ができます。アジア側は元々1つの半島ですが、このプロジェクトによりさらに島と半島が1つずつできることになります。欧州側では黒海とマルマラ海を結ぶ全長約45~50キロの運河を建設します。イスタンブルに『イスタンブル運河』をもたらすのです」と説明した。
■今世紀最大のプロジェクト
エルドアン首相は今世紀最大のプロジェクトの一つに準備が整ったと述べ、イスタンブル運河の水深は25メートル、幅は約150メートルであると明らかにした。現在、イスタンブルのボスフォラス海峡は載貨重量26万トンの船が通過可能であると指摘し、「(新たに建設される)我々の運河では載貨重量30万トンの船が通過可能となります。運河には橋を建設するため、陸路や電車の通行にまったく途切れはありません。この橋は運河にまた異なる美しさ、異なる魅力を加えるでしょう。イスタンブル運河はパナマ運河とスエズ運河をもしのぐものとなるでしょう」と述べた。
■ボスフォラス海峡でマリンスポーツを楽しむことができるようになる
エルドアン首相は、運河建設期間には(地面を掘ることにより)何百万立方メートルもの切り土が出るとし、その切り土は大規模な港や空港建設に、さらには廃炭鉱の一部を埋め立てるために利用すると述べた。首相は、トルコだけでなく世界の関心をも大いに集める同プロジェクトを開始する基本目的の一つに、ボスフォラス海峡における船舶渋滞の緩和及び同海峡における危険性を取り除き最小限にすることがあると言う。
首相は、このプロジェクトによりボスフォラス海峡の輸送量緩和を望むと強調し、「ボスフォラス海峡では、過去と未来が混在するのを感じられるでしょう。マリンスポーツを楽しめる素晴らしい自然があり、同時に過去へ戻っていくのです。我々はマルマラ海で錨を下ろす多くの船からようやく解放されます。ボスフォラス海峡の入り口すぐにある水質汚染を防ぎ、イスタンブル運河で1日に約160隻の船舶が航行することを目標に掲げています。ボスフォラス海峡で1日平均140隻の船舶が航行していることを考えれば、運河は船舶交通量を増加させるでしょう。運河が完成すれば船舶の待機費用にも著しい減少が見られるでしょう。現在の待機費用は14億ドルです。運河の完成と共に待機費用は減少するでしょう」と述べた。
■イスタンブル運河に空港を建設予定
エルドアン首相は、運河建設が単に交通、エネルギー、環境プロジェクトであるに留まらず、さらに運河周辺には近代的な住居区も建設される予定であるとし、「もちろんこれらは建設が進むにつれ様々な顔をもつ場所になります。コンベンションセンター、ホテル、住居の建設により、イスタンブル運河は新たな中心市街地の形成に寄与するでしょう」と述べた。イスタンブル運河には空港も建設されると明らかにしたエルドアン首相は、イスタンブルではアタテュルク空港とサビハ・ギョクチェン空港ではもはや需要に十分に応えることができていないと説明し、「イスタンブル最大の空港を同地域で実現させたいと思っています。年間6千万人が利用できる空港を同地域にて建設する予定です」と語った。
■運河は水流があるため水質汚染の心配はない
運河では水は流動し、そのため水が汚染されることはないとして、「イスタンブル運河の水は静止しません。運河がイスタンブルの地下及び地表の水源に害を及ぼすようなことはなく、イスタンブルの水問題の原因となることは決してありません。もちろん運河沿いの生活地の保護及び農地の保護に注意が払われます。運河から出る切り土の一部は廃炭鉱埋め立てに利用される予定です」という。首相は、イスタンブル運河は魅力的な投資分野になる特性を持っているとし、プロジェクトの調査作業に約2年間かかり、これには多くの科学者、社会学者、生物学者、専門家たちも参加するという。
■運河建設では多くの国有地が利用される
エルドアン首相は、運河は何万人もの市民に職を提供すると強調した。プロジェクトはNGOや大学と協力して進められ、運河に関する多くの詳細が明らかとなってきており、研究、調査及び土地調査、費用計算の一部が行われたと述べた。
「しかし憶測が飛び交わないようにするため、その詳細については今は話しません。6月12日の総選挙後に調査を開始します。多くの『国有地』を利用することでこのプロジェクトを実現するのです。可能な限り現在の居住区をとりこまないように努力します。取り込む必要がある土地でも、(投機的な)不正は許しません。イスタンブルにこのようなプロジェクトを提案する機会が公正発展党(AKP)に恵まれるようを願っています。この『驚異のプロジェクト』が私たちのイスタンブルにとって素晴らしいものとなることを神に祈ります。この夢の実現においてご協力いただく人々に感謝致します。この種の発表は段階的に続けていくつもりです。アンカラに関するものはアンカラで、イズミルに関するものはイズミルで発表します。プロジェクトに関わる人材は専門的な知識を備えています」と説明した。
■貧困層や近々結婚する人には月々100リラの分割払いで家の購入が可能に
エルドアン首相は演説の中で、今日まで50万軒の住居が建設され、2023年までにさらに50万軒の住居が建設予定であると述べた。建設された住居のうち35万軒は購入者へ引き渡されたとし、「2023年までにさらに50万軒の住居を建設します。ここでの新たな目標は、機会に恵まれない人、人間らしく生活できる場所で暮らすことができない人、収入がない貧しい人々や身寄りのない人々のために、1LDKの家を月々100リラ、22年分割払いで販売し、彼らを持家の所有者にすることです。この中で、結婚予定の人と新婚の方々には65平方メートルの住居を用意します。彼らにも前払い金なし、月々100リラの分割払いで購入を可能にします。室内の家具の大部分もこの金額に含みます」と説明した。
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( 翻訳者:釘田遼香 )
( 記事ID:22291 )