カーディル・トプバシュ・イスタンブル広域市市長は、「驚異のプロジェクト」の費用が100億ドルに上ること明らかにした。
カーディル・トプバシュ・イスタンブル広域市市長は、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相が「驚異のプロジェクト」と名付けられた「イスタンブル運河」プロジェクトを発表した後、すぐに記者の質問に答えた。
■「調査に2年、建設に8年かかる」
トプバシュ市長は以下のように述べた。「我々はこのプロジェクトをどこで行うか議論、調査しました。そしてついに我々がヨーロッパ側と呼ぶ地域の環境破壊が最小になる場所で、費用も考慮しながら、運河計画を作成しました。
マルマラから黒海へと通過する運河は海底では最少幅126メートル、水面は狭い地点で146~150メートル、所々ではさらに広い幅を持つことが計画されています。今後2年かけて設計調査を行い、その後8年間建設作業が続くでしょう。
半島部だけではなくガラタ・ペラ地域も考慮に入れると、運河によりボスフォラス海峡間で分かれる所で島がもうひとつできることになります。他の先端部を見ると、それらも半島の様相を呈しています。100分の1の周辺模型では、シリヴリ地区周辺の都市を中心に据える考えがありました。新しい中心地はこれを多少考慮し、また影響された場所ですが、シリヴリではないということを申し上げておきます。具体的な地点については申し上げません。つまりこういうことです、ヨーロッパ側で現在調査を進めている場所があります。そこは住宅地が少なく、国有地であることに注目した場所です。シミュレーションではより抑えたコストが算出されました。計画ではこれらのことが考慮されています」。
■トプバシュ市長からモントルー条約に対する答え
驚異のプロジェクトがモントルー条約の観点から問題を生むかどうかという質問に対してトプバシュ市長は、「いいえ、そのような問題はないと考えています。実際、現在船は待機している状態です。船の通過には深刻な問題があり、待機に、年間14億ドルかかっています。我々はアフルカプの前で、そして黒海で船が錨をおろし待機する様を見ています。運河ができれば、ボスフォラス海峡でこれらの船の混雑がもたらす醜さや汚れが、この都市と都市の中心部から遠ざかることになり、船もボスフォラス海峡を(より早く)通過できるようになるでしょう。待機の必要がなくなることは、この運河建設を力づけるでしょう。ボスフォラス通過には運河が選ばれると我々は考えています。運河の距離と、海峡の交通状況を考慮すると、運河建設により海上の交通は好ましい状態になると信じています」と語った。
■「建設費はそれ以上になり得る」
トプバシュ市長は、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相が発表したイスタンブルに建設される新たな2つ都市が運河にそれほど近くはなく、運河周辺に位置し得ることを明らかにした。トプバシュ市長は費用について「現時点ではもちろん明確ではなく、推定値だ」と述べ、「100億ドルになると言われていますが本当か」という記者の問いに「それ以上になり得る」と答えた。トプバシュ市長はプロジェクトについて批判はあり得るとして、「ここが作られた時ですら批判はありました。ムフシン・エルトゥールル・シアターが作られた時もこれを経験しています。反対する人々はいますが、彼らもこうした計画に臆せず意見を言うべきであるし、またトルコの将来という観点から見るべきです」と述べた。選挙で公正発展党が負けた場合、県がこの状況を継続するのかという質問には、「トルコで8年半政権を握る公正発展党政府と首相閣下への国民の信頼は絶対だと信じています。トルコが歩んできた道は明らかだし、イスタンブルのそれも明らかだ。誰かが何か言おうとも、これを見ている市民がそれに左右されることはないでしょう。我々は夢ではなく現実を話しているのです」と答えた。
■イスタンブルの地理はどう変わるのか
イスタンブルは内部に2つの海が通り、2つの半島と1つの島を持つことになる。
陸路と海路が断絶されることはなく、第3の橋で結ばれた道が運河の上を通る。何十億トンもの切り土は大規模空港や港の建設に利用され、使われないものは鉱山へ送られる。
ボスフォラス海峡通過で待機する船の経費は年間14億ドルであるが、この経費がなくなる。
タンカー事故の防止が目標であるが、運河はやはりイスタンブルの中央を通過することになるため、事故が完全になくなることは難しい。
運河建設には国有地が利用されるが、一部では土地収用も行われることになる。
■費用は80億~100億ドル
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相がタンカー通行のため、イスタンブルのヨーロッパ側に建設すると発表した「驚異のプロジェクト」は、昨年10月に新聞に詳細が掲載された。
ロシア、イタリアと会談したエルドアン首相だが、ボスフォラス海峡の海上交通の最終的な解決と見るプロジェクトについて、ロシア、イタリアの企業と前もって会談を持っていた。そして、イスタンブルの海上交通の解決に向け、ロシアの大企業が運河建設を引き受ける可能性もあると明らかにした。
ロシアは、タンカーがボスフォラス海峡を通過する際、新しく建設される運河を通ることに関してエルドアン首相と会談を行った。80億から100億ドルの費用を必要とするプロジェクトが、ただの運河プロジェクトのように単純なものではなく、渓谷の川床をたどり黒海へ到達する新たな海峡計画であることが確認された。エルドアン首相が得た情報によると、プロジェクトは外国企業に任され、トルコ共和国の国庫からは一切の出費はないという。プロジェクトを担う企業は、新しい海峡のタンカー交通から得られる収入で費用を回収する。
エルドアン首相の参謀からの情報によると、首相はプロジェクトが共和国100周年に当たる2023年に完成するか否かについての見通しも聞いた。
ロシア、イタリア両国関係者はこれが可能であると述べた。新たな海峡建設地域は0から新たに作られるということになり、エルドアン首相は、莫大な収益戦争へ道を開くことを危惧し、プロジェクトを非公表にすることを選んだ。
同関係者からの情報によれば、エルドアン首相は、イスタンブルの新たな海峡計画を2011年の総選挙後に明らかにする。エルドアン首相はイスタンブル第3の海峡橋プロジェクトに深く関わっており、2つのプロジェクトをそれぞれ並行して達成できるよう計画している。
エルドアン首相は、イスタンブルに第2海峡プロジェクトを達成するにあたり、第3の海峡橋へも歴史的価値を与えることを目指している。アジアとヨーロッパ大陸を結ぶこの橋が、文明の創造の最も大きなシンボルとなることを望み、オスマン帝国のスルタン・アブデュルハミト2世がボスフォラス海峡に建設を計画した3つの橋脚を持つ橋を、第3のボスフォラス橋において建設することを目指している。ボスフォラス海峡での海上交通の混雑が緩和された後、三脚の石橋が建設されると述べ、橋の名前がウイガルルク橋(文明橋)となることを明らかにした。
交通省は、サカルヤ川を利用してマルマラ海と黒海をつなぐプロジェクトに何年も尽力している。ビナリ・ユルドゥルム交通大臣は昨年の説明で、黒海とマルマラ海に、ボスフォラス海峡に続く第2の架け橋を提供するサカルヤプロジェクトを議題にしたことを明かした。このプロジェクトの立案者はオスマン帝国の大宰相、ソコルル・メフメト・パシャであるという。
■シムシェキ財務大臣、「資源は我が国の国民だ」」
メフメト・シムシェキ財務大臣は、イスタンブル運河プロジェクトのための資源はあるのかという問いに、「資源はトルコ、資源は我が国の国民だ」と答えた。
シムシェキ大臣はトルコ・アラブフォーラムにて、エルドアン首相が発表したイスタンブル運河プロジェクトに関する記者らの質問に答えた。シムシェキ大臣は、プロジェクト予算関連の質問に以下のように答えた。「今あるボスフォラス大橋を、当時の建設段階で先見性をもって建設していたら、今日イスタンブルだけで4千万から5千万人の観光客を迎え、20億から30億ドルの観光収入を得ることが可能だっただろう
残念ながら、我々は当時は海峡を十分に維持できず、活用できなかった。皆さんは費用の面からこれを見ておられますが、私は潜在力を重視し、トルコの観光、経済、そしてイスタンブルへの貢献という観点からすぐに思いを馳せました、第2のボスフォラスがどのようになるのかを…。そのため、費用はそれほど重要ではないと考えます。そもそも今回は私企業がこれを建設するのですから」と答えた。
シムシェキ大臣は「資源はあるのか」という問いに対しては、「資源はトルコです。我が国の国民です」と答えている。
■「500億ドルを大きく上回るだろう」
トルコ建設産業企業主組合(İNTES)のシュクリュ・コチオール会長は、エルドアン首相が発表し、世論で「驚異のプロジェクト」と名づけられたイスタンブル運河プロジェクトが世界最大の建設になるだろうと述べて、「この統合計画の予算は500億ドルを超えると推測している」と述べた。
シュクリュ・コチオールİNTES会長は、エルドアン首相が発表した「イスタンブル準備完了:目標は2023年」プロジェクトに関してアナトリア通信記者の質問に答えた。「本当に驚異的な計画だ」として、すべての人が立場を超えてこのプロジェクトに協力し、意見を言うべきであると述べた。コチオールİNTES会長は、イスタンブルのこのプロジェクトでは世界が羨む最新の工学技術が適用されると述べて、「全ての技術、建設を外国を頼ることなくトルコ企業が担うことができます。トルコには建設力と技術能力があります。100%トルコの資本、トルコの労働力、トルコのプロジェクトだ。このような素晴らしさもこのプロジェクトにはある」と話した。
プロジェクトが単なる運河計画ではなく、統合プロジェクトとして活用される必要性を説明したコチオールİNTES会長は、「これは、コンセプトとして世界の目を引きつけ、トルコが大国であることを象徴するプロジェクトです。全ての政府はこれを覚悟して実行できるわけではない、僅かな費用ではできないのだから」と述べた。コチオール会長は、プロジェクトによる唯一の不安が、イスタンブルへの移住の増加であるという。さらにプロジェクトはまだ新しく、詳細が明らかになってから、より確実な評価ができると述べて以下のように続けた。
「世界最大のプロジェクトに数えられるでしょう。我が国のイラクプロジェクトは115億ドル規模で、世界で6番目の巨大プロジェクトです。最大のプロジェクトは間違っていなければ3200億ドルかかったアメリカ合衆国の宇宙基地でしょう。建設であれば、世界最大のプロジェクトはイスタンブル運河計画になると私は考えています。ドバイのパームジュメイラ計画は125億ドル、つまり、イスタンブル運河計画はそれよりもさらに大きなプロジェクトなのです。我々の驚異のプロジェクトは統合的なものであるため、500億ドルを大きく上回ると推測します」。
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( 翻訳者:榎本有紗 )
( 記事ID:22292 )