政治的テーマを打ち出したコンピューターゲーム、人々の歓呼とともに迎えられる
2011年04月30日付 Jam-e Jam 紙


第一回「テヘラン・コンピューターゲーム・エキスポ」の開会式が、木曜日の夕方、「ボルジェ・ミーラード」(テヘラン北西部、テヘラン・コンベンションセンターの一部)の中央ホールで行われた。

 このエキスポには70以上の企業と、国内で制作された作品246点(メイン部門・サブ部門双方を含む)が参加・出展した。

 開会式には、文化革命最高評議会のアリーレザー・モフベル=デズフーリー書記や、文化イスラーム指導省のハミード・シャーフアーバーディー次官が関係者として列席した。

 この式典の初めに、モフベル=デズフーリー氏は演説の中で「娯楽ゲームとともに政治的〔なテーマの〕ゲームを制作することも、国内ゲーム産業にとって最も重要な責務の一つである」とし、次のように述べた。

現在、コンピューターゲームを利用して、イスラーム教徒をテロリストと名指しし、そうであるかのように青少年に吹き込もうとする潮流が、〔米英を中心とする〕覇権体制には存在する。彼らがこうした行動に出ているときに、我々がそれに対抗しないというような選択肢など、どうしてあり得ようか。プレーヤーらを熱中させている以上、〔こうした状況を利用して〕彼らに政治的ビジョンを提供しない手はない。

 同氏は国民的プライドの醸成・強化もまた、ゲーム制作者の責務の一つであるとし、「文化革命最高評議会として、われわれがゲーム制作者や国立コンピューターゲーム財団に期待しているのは、核エネルギーや幹細胞、バイオテクノロジーなどの分野での我が国の進歩を伝え、そうすることで我が国の子ども・青少年たちに国民としての矜恃を感じさせてもらいたい、ということである」と語った。

 今回のエキスポの書記を務めるベフルーズ・ミーナーイー氏もまた、「現在イランは中東地域におけるゲーム制作の中心として有名だ」とし、「国立コンピューターゲーム財団が設立されてから3年が経ち、現在約250作品がコンピューターゲーム・エキスポに出展されるまでになった。作品数ならびにわれわれが手に入れた技術からして、われわれは今や地域のゲーム産業の中心となっていると言えるだろう」と述べた。

エキスポへの人々の歓迎ぶり

 金曜日午後、コンピューターゲーム・エキスポ開催2日目にボルジェ・ミーラードを訪ねたところ、何よりもエキスポに対する人々の歓迎ぶりが目に留まった。青少年を中心とする多くの来場者らは、〔…〕入り口に長蛇の列を作っていた〔…〕。

 ゲームファンらのにぎやかな声がエキスポ会場を満たすなか、〔…〕私たちはいくつかのブースを訪ね回り、「コンピューターゲームには政治的アプローチが必要だ」とした文化革命最高評議会のアリーレザー・モフベル=デズフーリー書記の演説について、ゲームのディレクター・制作者らの意見を伺った。

 コンピューターゲーム『ミール・マフナー』〔※ミール・マフナーは18世紀前半にイラン南部を占領したオランダ軍を撃退した人物の名前〕のディレクターを務めたモルタザー・レザーイー氏は、この件に関しジャーメ・ジャムに対して、「何よりもまず心得ておかなければならないのは、コンピューターゲームとは人々、特に若者を楽しませるために制作されるものだ、ということです〔‥‥〕」と語った。

 ゲーム『トルコマンチャーイ』〔※1828年に第2次イラン・ロシア戦争を終結させるための条約が結ばれた場所。この条約で多額の賠償金と北部領土の喪失などの屈辱をイランは味わった〕を現在制作中のこの芸術家は、さらに「イラン・ロシア戦争に題材を求め、アッバース・ミールザー王子とイラン軍の戦いを描写する場合、作品が政治的性質を帯びてしまうのは間違いありません。外国人の強欲から祖国をどのようにして守るべきか、という警告を今の世代の人たちに伝えることになるからです」と述べた。

国民的・宗教的プライド

 ゲーム制作者のバフラーム・バルゲイー氏にも話を伺った。リポートのテーマを打ち明けると、同氏は次のように答えてくれた。

ゲームは映画とは違うから、同じようなアプローチで進めることはできない。でも、イランやイスラームの歴史をゲームの題材に捜し求めるなら、プレーヤーを楽しませるだけでなく、誇るべき過去への関心や意識を彼らにもたらすことにもなる。これは、外国文化に対する一種の予防接種になるだろうね。

〔…〕

Tweet
シェア


関連記事(イラン核エネルギー開発問題をテーマとした初のコンピュータ・ゲームがお披露目)
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:斉藤美海 )
( 記事ID:22393 )