司法権長官、「逸脱したグループ」の正体を暴露
2011年05月12日付 Jam-e Jam 紙

 司法権長官は、「宗教指導者抜きのイスラーム」を信仰する「逸脱したグループ」に対して、国民一般、特にイスラーム神学校や大学が警戒を怠らないことが肝要であると強調したうえで、「逸脱したグループは歴史を通じて、真のイスラームに対抗する形で、偽りの神秘主義やナショナリズムを普及させようと、多大な力を注いできた。今日においても、我々は逸脱したグループがイスラーム学者たちの役割を色あせたものにしようと企てている様を目にしている」と述べた。

 司法権広報の発表によると、アーヤトッラー・アーモリー=ラーリージャニーは、昨日の司法高官会議で、前体制〔パフラヴィー朝〕では人々をイスラームとその宗教指導者から遠ざけるようとする企てが行われてきたことに言及し、「偶像崇拝の時代〔パフラヴィー朝〕の終わり頃、体制側は極端なナショナリズムやイラン主義を広め、イスラームや宗教学者たちの役割を弱めることだけを目的としたような祭典を挙行した」と指摘した。〔※1〕

〔‥‥〕

 アーヤトッラー・ラーリージャーニーは世俗主義知識人の出現もまた、こうした「逸脱したグループ」の延長線上にあると指摘し、次のように述べた。

彼ら〔=逸脱したグループ〕は、世俗主義や世俗主義的知識人をイスラーム諸国において支援してきた。宗教学者(ウラマー)や宗教思想に再度対峙するためである。我が国でも、逸脱したグループは密かにそのような連中を支援し、《宗教指導者抜きのイスラーム》が一部の人々の基本テーゼとなるまでになったのである。

 同師はまた、次のように付け加えた。

多くが改革政権〔1997〜2005年のハータミー政権〕時代にさかのぼるとはいえ、輸入物の偽神秘主義関連の書籍が、イランにおいて文化イスラーム指導省から〔今も〕出版許可を得ているというのは、誠に遺憾なことである。〔‥‥〕そのような書籍が、我が国でも出版され、何の声も上がらないというのは、まったく遺憾だ。イスラームとシーア派を国是とする国、神の唯一性と啓典の書〔コーラン〕とスンナ〔預言者やイマームの言行〕を基本とする体制がどうしたら、このような状況を甘受できるというのか。〔※2〕

今日の「逸脱したグループ」は、過去の逸脱を合わせ持っている

 司法権長官はまた、以下のように強調した。

残念なことだが、我々の時代に存在する逸脱グループは、過去のあらゆる逸脱を一箇所に集めたかのような様相を呈していると言わねばならない。彼らはウラマーたちの役割を貶め、イラン主義や民族主義の普及に力を尽くし、キュロスやアケメネス朝その他に人々の注意を向けさせ、そこからさらに、宗教とどんな関係があるのかよく分からないような、偽りの神秘主義思想の浸透や、ジン(魔物・悪霊)使いや占い〔の活用〕に力を注いでいる。その一方で、彼らはインテリぶったことを言ったり、世俗主義者たちとも気軽に集まったり、さらには大胆不敵な一部の芸術家らとも親交を厚くしたり、偽の神秘主義を普及したりしている。そして当然、外国人と密かに連絡を取り合うことに関しても、まったく気兼ねがない。〔※3〕

〔‥‥〕

 アーヤトッラー・ラーリージャーニーはその上で、「残念なことに、彼らは親族以外の異性と親しくつき合うことも、世俗主義的な、ときに無視論的な知識人と接触することも、〔‥‥〕ジン使いや占い師に意見を求めることも自由だ、などと考えているような連中なのである〔‥‥〕」と語った。



※1 各国の元首らを招いて、1971年にペルセポリスで開かれたイラン王制2500年祭を指す。なお、先のノウルーズ(3月21日のイラン新年)にペルセポリスで「世界ノウルーズ祭」を挙行しようとして、アフマディーネジャードは各方面から強い非難を浴びている。

※2 「輸入物の偽神秘主義」とは、近年イランで人気となっているインド系の神秘主義思想(例えば「オショー」)のことを指す。ホメイニーの思想は神秘主義的な色彩が強いが、その分ホメイニー的な《正しい》神秘主義から《外れた》神秘主義は、イランではしばしば厳しい非難の対象となる。

※3 「世俗主義者たちとも気軽に集まり」というのは、2010年8月にアフマディーネジャード側近のマシャーイーが「在外イラン人問題最高評議会」なるものをテヘランで開き、革命を敵視してきたような人々を招待したことを指すものと思われる。「大胆不敵な一部の芸術家」とは、ドキュメンタリー映画「降臨、極めて近し」を制作した人物などのことを指すものと考えられる。

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( 翻訳者:水谷陣也 )
( 記事ID:22657 )