ここ10年で大きな希望を抱きギリシャで店舗を展開していたトルコ系企業は、「ギリシャの回復には時間がかかるだろう」としトルコへの帰途に就き始めた。
ギリシャ危機は、数々の経済危機を乗り越えてきたトルコ企業でさえも撤退を余儀なくさせた。「ギリシャ危機はちょっとやそっと程度ではない。この危機の克服には10年はかかるだろう」と考えるトルコ企業は、ほんの4~5年前大きな希望を抱き足を踏み入れた隣国からの帰途に就いた。
イペッキヨル(İpekyol)は8店舗を同時に閉店し市場から撤退する一方、ギズィア(Gizia)も全店舗を移譲しギリシャから撤退した。コトン(Koton)はというと売上高減少にも関わらず、「危機をチャンスに変える」道を模索している。債務不履行に陥ったギリシャで全ての針が反転した。トルコとギリシャの間でここ10年の間に貿易関係発展もご多分にもれず反転した。トルコ企業は「ギリシャはシャッターを下ろしている」と述べたギリシャのヨルゴ・パパコンスタンディヌ財務相と同意見だ。
ギリシャとトルコの人々の危機への見解が異なるとするトルコ企業は、次のようにいう。「ギリシャの人々はトルコの人々ほど、危機に対し決意のほどがない。いまも昔のことを懐かしがっている。」ギリシャ国内のショッピングセンターが空になったとするトルコ企業は、危機の道連れとなるよりも力を新たな国での投資に向けるよう計画を練り直したとした。
■コトン(KOTON):危機をチャンスに変えるため待機姿勢に入った
コトンは約5年前、アテネ最大のショッピングセンターの1つであるザ・モールで店舗を開いた。900㎡ある店ではギリシャ危機まで何もかもがうまくいっていた。コトン取締役会ユルマズ・ユルマズ会長は「ギリシャ危機は大きな影響を及ぼしました。以前に比べ売上高の落ち込みが問題です」と述べたが、投資を諦めないとも表明した。「危機とは同時にチャンスである」と述べるユルマズ会長は、ギリシャ危機をもチャンスに変える努力をすると述べている。ギリシャでの不動産価格が大幅に下落し、立地の良い場所が空になったと明らかにし、「しばらくの間ここに留まりました。待機しています。店の家賃が下落したため店舗拡大を計画しています」と述べた。
■イペッキヨル(İPEKYOL):8店舗を閉鎖しロシアへ方向転換
イペッキヨルは8店舗を同時に閉店しギリシャでの冒険に終止符を打った。経済危機のためショッピングセンターが空になったと明らかにしたイペッキヨル執行取締役会ヤルチュン・アヤイドゥン会長は、「公共交通機関が動いていません。どこかへ行くのも困難な状況です。購買力も低下しました。誰も買い物に出かけません。売上高が底になったのを知り、一刻も早くギリシャから撤退する必要があると確信しました」と述べた。アヤイドゥン氏はギリシャで開いた店舗は販売代理店ではなく、販売権はイペッキヨルに属するものであると説明し、現在はロシアに目を向けていると強調している。同氏は次のように続けた。「混乱が起きているため、ギリシャと同様に中東も対象から外しました。新たにロシアに目を向けています。」
ティケ(TİKE):1つだけレストランが残った
ギリシャで店舗展開した企業のうちの1つであるティケもギリシャ危機のため規模を縮小した。同企業はアテネにある2つのレストランのうち1つを閉鎖した。ティケの常連客の中にはカラマンリス、パパンドレウ、キャメロン・ディアズといった名前も見られる。ギリシャ危機以前にギリシャの最も良い10のレストランの中に入っていたティケ・アテネ店では1人当たりの食事平均価格が34ユーロ(約3,900円)であった。
ギズィア(GİZİA):3店舗閉鎖し、国内市場に参入
大きな目標と共にギリシャ市場へ参入したトルコ企業ギズィアも撤退する企業の中の1つだ。ギリシャで(販売代理店を全く利用せず)完全直接販売方式で3店舗を展開したギズィアも、ギリシャ危機が深刻化すると予想し、半年前市場から撤退した。店舗をギリシャの投資家に譲渡したと明らかにしたギズィアの執行取締役会イスマイル・クトゥル会長は、「ギリシャに4年間を費やしました。うまくいっていたところに経済危機が勃発しました。ギリシャはあと10年は回復しないと見ています」と述べた。ヨーロッパと中東での経済危機が原因で国内市場に方向転換したと説明したクトゥル氏は、「3月以降トルコで7店舗オープンしました。目標は2015年までにこの数字を100へ伸ばすことです」と述べた。
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( 翻訳者:釘田遼香 )
( 記事ID:23011 )