ハッキャーリでテロ犠牲の上級軍曹、問題は既婚だったこと?
2011年07月08日付 Radikal 紙

ハッキャーリ県ユクセコヴァ郡で2人の上級軍曹が殉職した後、「なぜ(彼らに)宿舎が提供されなかったのか」という議論が起きた。これに対し司令官たちは最も単純な解決方法として次のような命令を出した:「独身の軍人は結婚するな」。つまり家族を赴任地に連れてくるなということか…。

ヤフヤ・カラカヤ(26歳)とムラト・オズコザンオール(25歳)はハッキャーリ県ユクセコヴァに上級軍曹として赴任していた。宿舎がなかったため、2人はユクセコヴァ郡の借家で家族と暮らしていた。火曜(7月5日)の朝、いつもと同じように7時にそれぞれの妻と別れ、2人は一緒に仕事に行こうと私服姿で家を出た、まさにその時、武装して待ち伏せていたテロリストの攻撃にあって殉職したのだ。

■宿舎の問題

この事件の後、すぐに「治安の悪さ」という言葉が頭に浮かんだ。2人の上級軍曹はなぜ亡くなったのか。ヴァタン紙はこの問いについて、退役上級軍曹協会のエセフ・メルドオール会長から話を聞いた。会長は、2人の上級軍曹が殉職したことについて、襲撃犯と同じ位、地域の宿舎問題にも原因があると話す。

メルドオール会長は宿舎の問題について次のように説明する。「軍人宿舎への居住に関する規則では、上級兵長は宿舎全体の5%しか利用することができません。ハッキャーリ県ユクセコヴァ郡には3つの隊があります。ハッキャーリ山岳旅団、軍警察特別活動部隊、そして特殊武器部隊です。この3部隊を合わせると、何千もの軍人が任務にあたっています。(これに対し)宿舎の数は300です。この3つで勤務する上級兵長の数は約1500名、このうち、隊の中にある安全な宿舎が提供されるのは15%だけです。それ以外の既婚者は、家族をユクセコヴァに連れてくれば郡内の安全対策のない場所で家を借りるしかないのです。」

■長期に渡る赴任

「危険な地域に上級兵長はなぜ家族を連れていくのか」との質問に、メルドオール氏は次のように答えた:「下士官や将官はこうした地域に2年間行きます。赴任期間はこれくらいで済みます。したがってほとんどの者は家族を連れて行きません。ですから隊の中に住むことができます。しかし上級兵長の任期は5年です。家族を連れて行かざるを得ないのです。これほど長い期間を家族と離れて暮らすことはできないでしょう。」

メルドオール氏は、赴任期間と宿舎数は関連した問題であると語る。「つまりここには2つの問題があるのです。一つは宿舎の数、もう一つは赴任期間。ユクセコヴァで任務にあたる上級兵長の一部は駐屯地に住みますが、これは主に独身者です。その他は郡の中心部に家を借りるしかありません。駐屯地は郡から6~7km離れています。送迎バスで通う人もいれば自家用車を使う人もいます。しかし郡の中心に住んでいる人たちは標的になりやすいのです。」

■素性がわかってしまう

メルドオール氏は、上級兵長の赴任期間が5年であることに安全上の問題に原因があると語る。「赴任期間が長いため、5年の間には一般市民もそのうち彼らの素性がわかってきます。そもそもこうした地域に来ればよそ者であることは地元の人たちはわかります。注意を引いているのです。地域住民の中には(テロ)組織支持者もいます。かれらは実際、組織に情報を伝えています。その瞬間から軍人たちは家族もろとも脅威にさらされるのです。軍人が駐屯地に行けば、家族を守ってくれる人はいません。彼らをどうやって守るのですか。家族が無防備であると分かっていて、軍人は安心して任務につけるでしょうか。」

■家族を返せ

メルドオール氏は、ユクセコヴァの事件後、部隊で会議が開かれ、いくつかの決定がなされたことを明らかにした。「2名の上級兵長が殉職した後、郡内で家を借りている者に命令が出されました。安全のため駐屯地に滞在する必要があるとの内容でした。家族は故郷に返すよう口頭で伝えられました。さらに婚約中のものは結婚しないよう、西側の赴任命令が出るまで家族を帯同しないよう言われたようです。しかしこの問題は結婚の問題ではありません。安全な宿舎確保の問題です。アンカラのエティ・メスグト基地に住宅が440件建てられ、6か月ですべて貸し出されました。ユクセコヴァへ来る軍人に『結婚するな』というのではなく、宿舎を確保すべきなのです。」

■プロ意識はどこへ?

軍のプロフェッショナル化にとって新たな一歩が踏み出されたと語るメルドオール氏は、実用の意味で軍はこれまでプロ集団として機能していなかったという。「首相、参謀総長、そして国防大臣も、軍はプロフェッショナル化したと言います。給料を得る軍を作ればプロ集団化するのではありません。彼らが軍に与えるサービスもプロフェッショナルなものであるべきです。オオカミに鳥を預けたら任務は果たされません。宿舎が与えられない限り、こうした事件はまた起こるでしょう。憲法の第41条によれば政府はすべての者の家族を守る義務があります。しかし守られていないのです。それも国を守る軍人の家族が…。」

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( 翻訳者:杉田直子 )
( 記事ID:23194 )