ダウトオール外相は、シリアのアサド大統領との会見を、昨日(9日)ダマスカスで実現させた。
ダウトオール外相は、「まず治安、次に改革、といっていては、改革の日は決してやってきません」とのべ、アサド大統領に対し民衆に対する流血をともなう軍事作戦の中止と民主化改革を、一刻の猶予もなく実現するよう求めた。
ダウトオール外相のシリア訪問は、冷ややかな雰囲気のなかで始まった。この雰囲気は、ダマスカスにおける歓迎にも反映した。シリア政府は、以前の外相訪問ではヴァリド・ムアッリム外相が出迎えにでていたものだったが、今回は外務副大臣のアブドゥルフェッターフ・アンムーラ氏が出迎えた。そこには、トルコの在ダマスカス大使のオメル・オンホン氏も同席した。ダウトオール外相らは、空港から直接、大統領府に行った。両方の代表団による話し合いは3時間続いた。この会合には、ヴァリド・ムアッリム・シリア外相も参加した。代表団による会合が続いているちょうどその頃、シリアの戦車隊がトルコ国境から30キロのビンニシュ村に入った、という知らせは、トルコ代表団に冷や水を浴びせる影響力をもった。
■エルドアン首相の発言を説明
代表団による会合では、トルコの議会システムについてダウトオール外相が説明し、「人々は個人ではなく、システムを信頼している。今日の世界中において、ある国で人権侵害が行われてるとしたら、それはその国の内政問題とは見られない」とのべ、先日、エルドアン首相が「シリアでの出来事を、自分たちの内政問題として見ている」と発言した内容を説明した。
この代表団間の会合で、より明確なメッセージを伝えたダウトオール外相は、シリアのムアッリム外相ら高官の同席を求めた。会合での「(トルコの)メッセージが適切に受けとられない場合、シリアに対し、軍事作戦を含めあらゆる手段を講じる可能性がある」との発言の有無については、 外交筋は否定している。
■市民への説得を
ダウトオール外相は3時間に及んだ代表団間の会合ののち、アサド・シリア大統領と会談し、3時間半にわたって直接話し合った。ダウトオール外相は、アサド大統領に対する具体的なメッセージを次のように伝えた。
「もし、先に治安を回復し、その後に改革をしよう、というような考えでは、そんな日は、決してやってはきませんよ、大統領閣下。このことを何としても理解いただきたい。我々ではなく、民衆を納得させることが必要なのです。」
これに対しアサド大統領は、「我々は他の国が何をいっても聞かないが、トルコの位置は、我々にとって常に特別である」とのべ、「一部の扇動者が、シリアを混乱させようとしている」との見解を何度も繰り返した。ダウトオール外相は、これに対し「しかし、目の前で何が起きているかは明確です。人々の要求に耳を傾けなくてはなりません」と応じた。
■目的は、流血の停止
昨晩、アンカラに戻ったのち、エルドアン首相に会見の内容を伝えたダウトオール外相は、それに先立ち、アンカラのエセンボア空港で記者団に対し、次のように語った。
「もっとも高次の見解を共有するため、シリアを訪問した。トルコ大統領の書簡をもっていった。トルコ首相の口頭でのメッセージを改めて伝えた。第一の目標は、流血の停止である。トルコの唯一の目的はこれだ。今後、どうなっていくかを一緒にみてゆきましょう。推測をすることは控えます。しかし、これから、ーこれは今後、数ヶ月で、という意味ではなく、数週間が大丈夫だー、数週間の間に行われることが、今後の行方を決めることになる。願わくば、国内の平和を保ち、シリア国民の意識を反映した改革の歩みが始められることを期待している。」
■伝えたのは、トルコのメッセージ
「アメリカを念頭においていっているのですが、私たちが伝えたのは、トルコのメッセージです。トルコが折衝した全ての国のメッセージを届けたわけではありません。私は、トルコ共和国の外務大臣として、唯一、トルコ大統領、トルコ首相、トルコ政府の意見を携え、その枠組みで話し合いを行いました。」
■バース党の特権廃止を
ダウトオール外相のもうひとつの重要なメッセージはバース党に関するものだった。外相は次のように述べた。
「野党をつくり組織化を認めたことは前進です。しかし、憲法の第8条はバース党の特権を規定しています。この条項は、真の民主主義のための障害です。」
軍は兵舎に戻るべきだと述べるダウトオール外相は、「もし内戦がおこれば、それは単にシリアにとってだけでなく、地域全体にとって悲劇である」と強調した。
アサド大統領は、シリア軍がどうして軍事作戦を行ったかを、次のように説明した。
「反乱者たちが道をふさぎ、人々に圧力をかけていたため、軍は作戦を行っている。市民を守ることは、国家のもっとも重要な責務である。年末までに選挙の実施を計画している。」
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( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:23597 )