■リビア再建の財源は凍結資産資
2011年08月26日『アル=ハヤート』
【ロンドン:ロイター】
42年間続いたアル=カッザーフィー政権の実質的な終焉が期待される中、リビアの新たな指導者らとその外国の同盟者は秩序の回復と再建の開始、新たな抗争の勃発や混沌状況の回避等、重要で難解な局面に直面している。
リビア移行政府にとって凍結資産の入手と石油輸出の再開許可は重要になるだろう。西洋諸国はリビア再建プロセスの大部分が自己資金による事を望んでいるためだ。しかしリビアには他にも喫緊の課題が存在する。
アメリカの世界的な情報コンサルティンググループであるIHSジェーンズのデーヴィッド・ハートウェル分析官は「このようなケースにおいては往々にして、戦後の計画が紛争自体の計画と歩調を合わせる事は無い。このため、取り組むべき課題が山積している」との認識を示した。
リビア革命は、統治機構全体のより大きな部分を除去した。一方、チュニジアとエジプトの人民蜂起は、不人気な指導者たちを打倒する一方、より広い意味で政府と軍部の骨格を残存させた。
またインフラの広範な改革が必要とされるが、これは今回の空爆による破壊の修復のみが目的ではない。アル=カッザーフィーは道路やホテル、その他プロジェクトに億単位の資金を投じてきたが、国内の多くの地域は未だに開発途上に苦しんでいるままだからだ。特にリビア東部の住民らは開発の機会を剥奪されたと感じている。
さらに、石油輸出の迅速な再開は国家再建の財源と経済の活性化に役立つ。これは反体制派がその正当性を維持し新たな争いを回避する事を望む状況においては死活的な問題である。
移行国民評議会は継続性を印象付けるイメージを与えることに必死になっている。評議会国家再建担当のアハマド・アル=ジハーニー氏はロイター通信に対し「新政権はアル=カッザーフィー政権時代に成立した全ての石油契約を遵守する。遵守する契約には、中国、ロシアの諸企業との契約も含まれる。」と宣言した。同氏は以前、ロイター・インサイダーTVに対しても「油田契約は絶対的に神聖なものだ」と述べていた。
さらにアハマド氏は「我々は現在治安の安定化や、国民に対するサービスと人道支援の提供に集中している」とし、「政権が健全であれば、経済も健全化する。まず前述の取り組みに集中する事が不可欠であり、本格的な復興作業への移行はその後だ」と述べた。また「石油産業や他産業のインフラ正常化には9カ月を要するだろう」との見解を示した。
一部の専門家は、反体制派にな軍事支援を行った諸国の企業がより大きな利得を得る一方で、介入に消極的だったロシアと中国の企業は苦戦する可能性を指摘している。
腐敗根絶を目的として活動する国際NGO「グローバル・ウィットネス」は、アル=カッザーフィー時代に成立した契約が現段階でも遵守される必要性を強調しつつ、「選挙の実施と憲法制定までは新たな契約付与を延期する」事を呼びかけた。そして、以前に結ばれた諸契約の再考を提案した。さらに、「透明な体制を樹立することは、新たな紛争を回避する上で決定的になるだろう。透明な体制とは、リビア人に石油収入を国の利益のために割り振るとの信頼感を与える体制である。」との見方を示した。
「グローバル・ウィットネス」のブレンダン・オドネル氏はロンドンで、「公金や収入の不正使用に対する国民の不満は、アラブの春の蜂起の主要な要因であり、改められなければならない」と指摘した。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:川上誠一 )
( 記事ID:23754 )