トルコとシリアで暮らす親類たちによって国境門前にて行なわれるバイラムの相互訪問計画が、シリア情勢を理由に今年は中止されることとなった。
キリス県知事のユスフ・オダバシュ氏は、会見にてシリアで起きている事件を理由に、安全なバイラム相互訪問が行なわれないという根拠に基づき、国境門でのバイラム相互訪問計画が中止されることを発表した。キリス県が111キロメートルに渡ってシリアとの国境に面していると話したオダバシュ県知事は、以下のように述べた。「市民はオンジュプナル国境門からシリアへ行き来している。シリアでの事件により、その行き来にいくつかの制限がでているのが現状である。毎年ラマザン・バイラムにてシリア人たちが、クルバン・バイラムにてわれわれトルコの市民たちがシリアの親類たちとバイラムの相互訪問のため行き来している。この件に関する要請は、内務省と外務省に判断を委譲することになっていたが、未だ今日に至るまで要請はなかった。また今後、要請があったとしても、安全なバイラム相互訪問は行えないだろうという考えにより、すべての国境線でのバイラム相互訪問は中止された。」
■カルカムシュ国境門でのバイラム相互訪問は行なわれない
シリアで起きている事件により、今年はカルカムシュ国境門でのバイラム相互訪問も行なわれないことが発表された。カルカムシュ郡知事府にて行なわれた会見では、カルカムシュ郡にてバイラムの度に行なわれてきた国境門前でのバイラム相互訪問の実施が、シリアで起きている事件により、中止されることが発表された。
会見では以下のことが述べられた。「ラマザン・バイラムによるバイラム相互訪問のための申請権は、このバイラムではシリアの市民のものであった。しかし現在に至るまで郡知事府へ我が国でバイラムを過ごす、あるいはこの近辺にてバイラム相互訪問を行うためにカルカムシュ関税門の通過の保証といったいかなる文書や知らせも来なかった。このため、ラマザン・バイラムにおける国境門でのバイラム相互訪問は行なわれないこととなった。」
今年で23回目の実現が望まれる一泊二日のバイラム相互訪問は2000年以来実施されている。1921年のアンカラ協定によるトルコ・シリア間における国境線確定の後、国境線を挟むこの2カ国間で22回のバイラム相互訪問が実現された。バイラムの度に、キリス県やガズィアンテプ県、ハタイ県、シャンルウルファ県、そしてマルディン県にある国境門から7万5千人が48時間内でシリアとトルコを行き来している。2000年以前は、国境線の金網越しに2カ国の市民たちが互いにプレゼントを投げ合い、に遠くからバイラムを祝うといった心の痛む光景がトルコや世界のメディアで放送されていた。これを受け、トルコとシリアの国境線沿いの県知事たちが一同に集い、バイラム相互訪問がまず初めに税関にて行なわれることが許可された。その後この適用は廃止され、親類たちが互いに48時間以内で訪問することが許可された。
(本記事は
Asahi中東マガジンでも紹介されています。)
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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:23780 )