トルコとイスラエル、今度は互いの入国管理をめぐり激しい応酬
2011年09月05日付 Hurriyet 紙
アフメト・アイドゥン氏
国際連合のマーヴィ・マルマラ号事件報告書をめぐりトルコ‐イスラエル間の関係が歴史的に悪化する中、二国間の緊張は「空港足止め合戦」により一層高まった。
テルアビブを発つトルコ人旅行者がベン・グリオン空港で過度な保安検査を受けた。この後トルコにおいても互恵の外交原則に基づき、イスタンブルに到着したイスラエル国民に対する聴取が行なわれた。
イスラエル外務省からの声明では、テルアビブからイスタンブルを訪れたイスラエル人40名がアタテュルク空港到着後トルコ当局による聴取を受けたことが明らかにされた。
イスラエル外務副大臣の弁として発表をおこなったスポークスマン、イリアナ・ステイン氏は、AFP通信に対しこの件を次のように語った。「トルコ航空のイスタンブル行きの便で、空港に到着したイスラエル人40名が引き止められ、別室で聴取を受けることになった。パスポートを回収された。一時間半待たされた後、一人ずつ聴取が行なわれた。パ スポートを返却され、解放された。」
■アイドゥン副県知事「同じ対応をとった」
この展開がトルコ、イスラエル両メディアに大きな波紋を投げかけたことを受け、アタテュルク空港管理局長でイスタンブル副知事のアフメト・アイドゥン氏が 記者会見を開き、次のように述べた。「我々はイスラエルが行なったのと同じことを、互恵の外交原則に基づき、外務省の方針に従って実施している。」
記者の「イスラエル国民がアタテュルク空港でパスポート審査を受ける際に妨害されたとの報道があるが、これまでと異なる対応をとっているのか?」との質問に対し、アイドゥン氏は外国からの渡航者に対しては常に同じ保安対策を行なっていると述べ、以下のように話した。
「イスラエルからの渡航者には、他の全ての国からの渡航者と同じ対応をしている。特別な対応はしていない。しかし互恵の原則に基づき、他国でトルコ国民が 受けたのと同じ対応を、我々もその国民に対しとることにしている。我々の国民がイスラエルへ渡航した際、その理由を問われるのならば、我々もイスラエル国 民に対し同じことを訊いている。これは通例の対応であって、特別な対応や特殊な対応ではない。しかし我々はイスラエルが行なったのと同じことを、互恵の原則に基づき、外務省の方針に従って実施している。」
アイドゥン氏は、「イスラエルで『イスタンブル・アタテュルク空港でイスラエル人40名が拘束され一室で聴取を受けた』との報道がなされたが、実際にこん なことがあったのか?」との質問に対しては、「全くをもって正しくない。完全なでっちあげだ。互恵の原則に基づき、外務省の指示に従って、彼らがトルコ国民に対してとったのと同じ対応を我々も彼らが渡航した際に実施しているまでだ。彼らがトルコ国民に対し質問をしたなら、我々も彼らに、5~10~15分、 同じだけの質問をしている。我々はイスラエル国民をきちんと入国させている。不当な扱いなど、決してしていない」と答えた。
■「無理やりズボンを脱がさせた」
観光目的でイスラエルを訪れたトルコ人が、昨日帰国後、テルアビブのベン・グリオン空港で搭乗前に過剰な保安検査を受けたことを明かした。
アタテュルク空港においてテル・アビブで受けた扱いについて記者の取材に応じた旅行者のうちの一人、ムスタファ・テケ氏は経験したことを次のように説明した。
「彼らは私と友人を別の場所へ移動させ、長い間待たせた。メールアドレスと携帯電話番号、家族について、既婚者か否か、子供は何人いるか、というあらゆる ことを知りたがった。旅行鞄を細部まで何度も検査した。その後で我々は『中へ入れ』と言われ、二部屋ある特別保安室へ入った。この部屋では警察官が、着用 している全てのものを脱ぐよう我々に求めた。手と金属探知器の両方で検査を始めた。履いているズボンも脱ぐように言われた。私は嫌だと言った。すると彼らは『どうしてズボンを脱がないんだ?』と言った。私は『私はムスリムだ。ズボンは脱がない』と答えた。彼らは『それなら飛行機に乗れないぞ』と言った。私 は『全く問題ない、私の国がここから出してくれる。しかしこの不当な対応とテロリスト扱いは、我々に相応しくない』と言った。その後、彼らは無理やりズボンを脱がせた。」
アナトリア通信社の取材に答えたアリフ・チュナル氏は、他国の旅行者に対するのと異なる扱いを受けたと述べ、次のように語った。
「我々のグループの名前がイスタンブルであるのを知ると、彼らは『何のために来たのか、なぜ来たのか』と訊いてきた。しかしブカレストから来たグループ に対しては『すぐ通って下さい』と言った。我々みんなを脱衣室に連れて行った。この部屋では衣服と靴を脱がされた。手で身体検査が行なわれた後、金属探知器でもう一度検査された。彼らは我々が爆発物を身につけていないかと何度も検査をした。」
■イスラエル人関係者も不当な扱いを認めた
イスラエル外務省関係者らは、この一年間でベン・グリオン空港で保安検査官から不当な扱いを受けたという苦情が何十件もトルコ国民から寄せられていると述べた。
匿名を希望するとあるイスラエル人関係者は、ハアレツ紙に対し「空港でトルコ国民はいつも他の旅行者から離される。荷物は隅から隅まで調べられ、詳細にわたる聴取を受けるが、それが保安のためであると(トルコ人たちは)理解している。しかし衣服を脱がせて検査を行なうとまでなると、彼らの感情を害し侮辱している。過去に多くのトルコ人ビジネスマンや観光客がこれに関し苦情を寄せた。トルコ国民を侮辱するような対応は、日常化している」と語った。
■制裁の決定がイスラエルの事務次官に伝えられた
マーヴィ・マルマラ号襲撃事件に関する国連のパーマー報告書の漏えい後にトルコが下した制裁決定は、昨日イスラエルに伝えられた。
アナトリア通信社の報道によると、在アンカラ・イスラエル大使館のエッラ・アフェク次官が外務省に呼び出され、イスラエルに関するトルコの決定が口頭で通知された。
トルコ政府は、トルコ‐イスラエル間の外交関係は次席書記官レベルまで下げられ、二国間の軍事協定の全てが留保されると発表した。
更にトルコは東地中海での航行自由の確保のために必要な措置をとること、イスラエルのガザ封鎖を認めないことを発表した。
(本記事は
Asahi中東マガジンでも紹介されています。)
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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:23853 )