アフマディーネジャード大統領「現金支給額を今の3倍に」
2011年09月08日付 Jam-e Jam 紙
イランのアフマディーネジャード大統領は、補助金として現在40兆トマーン〔約3兆円〕が〔現金で〕国民に支給されていると指摘した上で、「この数字を3倍にまで増やす余地がある」と述べた。
メフル通信の報道によると、「労働者イスラーム協会」の大会で演説を行ったマフムード・アフマディーネジャード大統領は、「もし〔国会から〕政府に課せられた枷が外され、エネルギー等への補助金の廃止と現金による直接給付政策が完全な形で〔=政府が望む形で〕実施されるならば、全国民は自らの権利を取り戻し、国民各層、特に労働者たちが直面している問題の多くも解決されるだろう」と語った。
大統領はさらに、次のように続けた。「これまで、〔エネルギー等に付加されていた〕補助金の7割は、約3割の人間の懐に入っていた〔※1〕。中には、補助金を受け取るだけ受け取って、それを売り、利ざやをもうけていた者たちもいた〔※2〕」。
※訳注1:エネルギーに付加される補助金は、エネルギーを多く使った人により多くの補助金が投入されるため、結果として富裕層に投入される補助金の額の方が、貧困層に投入されるそれよりも大きくなる、ということを指摘したもの。
※訳注2:イランで補助金が付加された安価なガソリンなどを、イラクなどの隣国に市場価格よりも安い価格で売る密輸が横行していたことを指す。
大統領は正義を実行するために政府が取ったこれまでの政策について触れ、「電話一つで数十億トマーン〔数億円〕をあっちにもっていったり、こっちにもっていったりしていた者たちは、当時毎日のように、政府に対して騒ぎを起こし、サボタージュを行っていた」と指摘し、「もちろん、政府は〔抵抗勢力のサボタージュに〕最後まで立ち向かい、国民の全権利を実現し、その本来の所有者に返す所存だ〔‥‥〕」と述べた。
大統領はさらに、「われわれは昨年、160万もの雇用を創出し、今年は250万の雇用を創出する予定だ。それによって失業問題は軽減し、労働者の権利も正しく履行されるだろう」と述べた上で、「政府は、労働法の改正、ならびに市場の調整を行う予定だが、これをあざけり、250万もの雇用の創出などできるものか、などと言い立てる者が現れ始めている」と指摘した。
大統領はその上で、「神の恩寵があれば、国民ならびに国の全部門の協力によって、今年250万の雇用を創出することができるだろうし、その次の年も同じ数の雇用を創り出すことができるはずだ。そうなれば、国の労働環境も変わり、正義が実現されることになるだろう」と述べた。
■ 文化が軍事的な色彩を帯びるようなことがあってはならない
大統領は火曜日、国外で活躍するイランの文化人代表らとの集まりで、敵の計画に対しては団結しなければならないと指摘しつつ、「もちろん、文化が軍事的な色彩を帯びるようなことがあってはならない。なぜなら文化の本質とは、人間関係を力ではなく、人間性にもとづいて調整することにあるからだ」と述べた。
大統領は「文化の戦争」というテーマに触れ、「私はこうしたテーマは正しくないと考えている。なぜなら、文化の戦争とは《非文化》〔‥‥〕との闘いのことであって、人間の完成を目指す二つの思考・価値体系の間の戦争など、ナンセンスだからだ」と述べた。
※訳注:イランが言うところの「文化の戦争」とは「文化と文化の戦争」ではなく、「文化と非文化の戦争」と考えるべきだ、というのが、ここのアフマディーネジャード大統領の趣旨。
〔‥‥〕
■ 人類は、神が創造したものならなんでも創ることができる
大統領はまた、テヘランのモサッラーで昨日開かれた、第2回「科学から実践まで」展覧会で、「至高なる神は、人類に対してあらゆる知を獲得する可能性を開いた」と強調した上で、「人類には、神の本質を手に入れる力はないが、しかし神が創造したものなら何でも創ることが可能だ」と述べた。
〔‥‥〕
(本記事は
Asahi中東マガジンでも紹介されています。)
関連記事(補助金廃止、ついに始まる)
原文をPDFファイルで見る
( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:23890 )