Fikret Bila コラム:目に余る「宗派」政治
2011年09月10日付 Milliyet 紙

トルコは重大な民族問題を抱えている。クルド労働者党(PKK)は、民族ナショナリズムに基づいたテロ組織として、トルコ人・クルド人間の対立を誘因している。トルコ共和国やトルコ人への敵対から、クルド・ナショナリズムを生み出している。

千年もの間、トルコ人、クルド人、アレヴィー派やスンニー派と共にこの地で平穏に暮らしてきたアナトリアの民を、民族や宗派政治によって分離させることは、最悪で最も危険な事態である。何百年もの間隣り合って、平和に生活してきたこの人々を対立させ、衝突の場を生むことは、何十年もの間内部あるいは外部 からの衝突の要素があったにもかかわらず、それを拒み、社会の中へ組み込まなかったアナトリアの民のこの美徳を粉々にしようとするようなものだ。

■政治的打算

残念ながら、政治家たちは、宗派や民族的な違いに基づいて政治を行おうとしている。過去にこの試みによって痛い思いをしていることから教訓を得るのではなく、宗派や民族的な違いを政治的利益のために煽り立てているのは、いかなる者にとっても有益でない。

■共和人民党(CHP)にとって不当

前回の選挙活動では、「宗派政治」が前面に押し出されていた。ケマル・クルチダルオール氏がCHP党首になってから、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相を含む彼に対抗する政治家たちは、直接または間接的に、アレヴィー派の存在を問題として取り上げ、選挙活動の材料として利用した。これは正しい政治の手法ではない。

公正発展党(AKP)ヒュセイン・チェリキ副党首については、「もしやクルチダルオール氏は、宗派結束を理由にシリアを後押ししているのか?」と発言するまでに至った。チェリキ副党首のこの発言は、選挙活動での政治的姿勢を選挙後にまで引きずっていることを表している。

クルチダルオールCHP党首が、バッシャール・アサド大統領の鎮圧行動や、何百とも言われる数の市民を殺したことを非常に厳しく批判したことや、独裁政権 に反対していることや、自身の態度を反映する多くの発言がある中、(ヒュセイン・チェリキAKP副党首が)このような批判をすることは、不当である。

■アサド一家との関係

トルコ・シリア関係は、シリアがオジャランをはじめとするPKK関係者をかばい、支援したこと、また、トルコに対してPKKを利用したにより、かなり長い 間とても悪い状態であった。シリア政府がこのような態度をとったことで、トルコはシリアへ威嚇的な軍事力の誇示にまで至った。このようにして、 1998年にトルコがこのような断固とした態度をとったことによって、当時のハーフェズ・アサド大統領は、オジャランを国外追放せざるを得なくなった。この 出来事の後、トルコ・シリア関係は急速に改善した。シリア政府のこの決定を受けて、当時のアフメト・ネジデト・セゼル大統領は、ハーフェズ・アサド大統領の葬儀に参加した。

バッシャール・アサド政権になってから、トルコ・シリア関係は、閣僚協議会が開催されるまでに発展した、エルドアン首相は、バッシャール・アサド大統領と親密に活動を共にし、友好と協力を保っていた。

しかし、バッシャール・アサド大統領が、民主主義化を進めるのではなく、軍を利用し、野党派の行動を制圧しようとしたことにより、チュニジア、リビア、エ ジプトに対して行ったように、シリアに対しても、トルコ政府は政策を変えた。ついには、アブドゥッラー・ギュル大統領及びエルドアン首相は、これまでの友好関係を変更することにした。

このような様々な政策は、故ハーフェズ・アサド大統領と息子であるバッシャール・アサド大統領の宗派的立場とは関係がない。こういう状況で、(ヒュセイ ン・チェリキAKP副党首が)クルチダルオールCHP党首を、宗派結束を理由にアサド大統領をかばっていると批判することは、根拠のない考え方である。

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( 翻訳者:津久井優 )
( 記事ID:23915 )