スティーブ・ジョブスの人生にアナトリアとの接点―11月に「伝記」、発売予定
2011年09月19日付 Radikal 紙


11月に発売予定のスティーブ・ジョブズの自伝によると、養子のジョブズを育てた母「クララ・ジョブズ」がトルコで生じたアルメニア事件でアナトリアから米国へ移住したアルメニア人一家の娘であるとのことだ。

ガレージで創業、シリコンバレーで成長し、モデルとしたヒューレット・パッカード、ライバルのマイクロソフトやIBMを追い抜いた。市場価値3700億ド ルでテック業界のトップに躍り出た。iPodで音楽市場、iPhoneで携帯電話市場、iPadでタブレット型コンピュータ市場、Pixarで映画市場で事態を一変させた。これら全ての産業に指針を示したアップルの成功で最も大きな役割を果たした人物は、間違いなく創業者のスティーブ・ジョブス (56)である。

がんの進行の結果、CEOの地位を退いたスティーブ・ジョブズだが、プライベートの隠れた面やアップル成功の背後にある秘密を、ベンジャミン・フランクリンやアルベルト・アインシュタインの伝記を手掛けた自伝界の重鎮「ウォルター・アイザックソン」に打ち明けた。現在執筆中で11月21日発売予定となっている。自伝の発売と同時に、トルコでも同日 「ドミンゴ」出版よりトルコ語版が刊行される。

■「本当の私の家族」

消息筋によると、自伝の執筆にあたりジョブズと40回を超えるインタビューを敢行し、また、数章はジョブズ自身の言葉で執筆されており、導入部分でトルコに関する重要な記述がみられる。ジョブズの家族に関する箇所である。

周知のとおり、スティーブ・ジョブズは生後間もなく生みの親から養子に出され、受入れ先の家庭で育った。スティーブ・ジョブズは、生みの親を今日まで単なる生物学的な有精卵子銀行とみなしており、育ての親を本当の親と考え、(生みの親)と面会を行わなかった。以前、ジョブズの父から「コーヒーでも飲みに行 こう」と誘いがあったが応じなかった。

■アナトリアから米国へ移住

スティーブ・ジョブズとアナトリアとの繋がりは、育ての母の過去にある。ポール、クララ・ジョブズ夫妻に育てられたスティーブ・ジョブズだが、クララの実名は「クララ・ハゴピアン・ジョブズ」…。

スティーブ・ジョブズの自伝で語られているところによると、クララは、1915年に生じたトルコでのアルメニア事件の後、米国へ移住した家族の子である。

クララの父ルイス・ハゴピアンは1894年マラトゥヤ生まれ、母ヴィクトリア・アルティニアンは1894年イズミル生まれ。情報によると、オスマン朝期にアナトリアで過ごした後、米国へ移住した家庭の文化で育ったクララ・ハゴピアンによりスティーブ・ジョブズは育てられたことになる。

一家の過去に関しインタビューに応じたトルコ・アルメニア主教座教会精神評議会の議長で聖職者の代表であるタトゥル・アヌシヤンは、当時に関する記録を調べることは不可能であり、入手可能な記録も公式のもの以上に伝え語りのものから成り立っていると述べている。

■未だ執筆中

「誇りに思わない一連の事をやってきたが、隠すようなことはない」と語るスティーブ・ジョブズは、自伝を著すウォルター・アイザックソンや自伝の内容に口をはさまない、と約束している。

現在執筆中で最終的に600ページに到達すると言われているスティーブ・ジョブズの自伝は、発売前にも関わらずアマゾンドットコムでは最も売れているカテゴリーに入っている。米国では初版で50万部発行される。

「スティーブ・ジョブズ」自伝の著者ウォルター・アイザックソン氏はアスペン・インスティテュートCEO、CNN会長、Time誌編集長を歴任。ベンジャミン・フランクリン、アルベルト・アインシュタイン、ヘンリー・キッシンジャーの伝記を手掛けた。

■ブラックベリーのCEOも移住したイスタンブル出身のギリシャ人

テック業界では、過去にトルコとつながりのある人物が別にいる。ブラックベリーで知られているマイク・ラザリデスである。カナダのRIM社の製品ブラックベリーが用いる技術の大元にいるマイク・ラザリディスは、1961年3月14日イスタンブルのパンガルトにて、ギリシャ系の家庭の子供として生ま れた。6歳までイスタンブルで暮らし、1967年家族でカナダへ移住した。ウォーターロー大学で電気工学を学んだが、4年時に中退した。1984年 RIM(Research In Motion) 社を起業、iPhoneが市場に出回るまで業界で最も急激に成長した同社は、2008年市場価値が1000億ドルを突破した。その後下降し、RIMの市場価値は200億を割り込んだ。同社CEOのラザリデス氏の資産は20億ドルに迫る。

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( 翻訳者:山根卓朗 )
( 記事ID:24020 )