占領がパレスチナ経済に与える影響-パレスチナ経済省
2011年09月30日付 al-Hayat 紙
■占領がもたらすパレスチナの経済的損失はGDPの85%
2011年9月30日付『アル=ハヤート』
【ラーマッラー:AFP通信】
パレスチナ経済省が昨日〔29日〕発表した報告書によれば、イスラエルの占領に起因するパレスチナの経済的損失は年間68億9700万ドルにのぼり、これはパレスチナ領内の総生産の85%に相当するという。同省は、エルサレム応用研究所(ARIJ)と共同で開いた記者会見の中で報告書に挙げられたこのような調査結果を発表した。報告書では「イスラエルの占領がなければ、パレスチナ経済は現在の2倍の規模になるだろう」と指摘されている。
パレスチナ自治政府のハサン・アブー・リブダ経済相は、報告書に添えられたプレスリリースの中で、今回の調査結果が「我々が国連に赴いて国際社会に占領の終結を求めることの重要性を確信させるものである」と述べている。また同相は「イスラエルが占領の終結を拒否する理由の一つに占領軍として得る利潤があるということを、国際社会に対してはっきりさせておかなければならない」と続けた。同相が発表した報告書によれば、イスラエルのガザ地区封鎖による損失は19億ドル、水資源に対する制限がもたらす損失は同じく年間19億ドル、天然資源に対する制限がもたらす損失は18億ドルに達するという。また「〔水道・電気費用における〕差額コストの損失は年間4億9300万ドル」、イスラエルによる輸出入制限に起因する損失は年間2億8800万ドルに上る。さらに移動と運搬の自由に対する制限により1億8400万ドル、死海での観光部門に対する制限により1億4300万ドル、樹木の引き抜きにより1億3800万ドルの損失が出ているという。
同報告書には「イスラエルの占領がなければ、自治政府は(損失額分の)余剰金を使って外国の援助への依存を終わらせることができる」と述べられており、「イスラエルの占領によってヨルダン川や死海へのアクセスの自由が制限あるいは禁止されていなければ、また西岸地区の岩層や帯水層へのアクセスが制限されていなければ、自治政府は農業部門でさらに1億9000万ドル、鉱物資源から1億2000万ドルの収入を得ることが可能になる」としている。
さらに報告書は、イスラエルによる収入源に対する搾取の例をあげ、「イスラエルはパレスチナ領内の地下水を必要量の10倍も取水している上、ヨルダン川の水を約60%取っている一方、パレスチナ側の取水量はゼロだ」と指摘した。また「イスラエルは年間の生産が9億ドルに達する西岸地区の採鉱・採石部門を支配し、さらにスキンケアと美容のための死海関連商品で1億5000万ドルの売り上げを得ている」と言及した。アブー・リブダ大臣は「現在のパレスチナ経済は本来の3分の1の規模であり、占領を終わらせることで2倍もしくはそれ以上に倍増することができる」と語った。
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( 翻訳者:片山満祐子 )
( 記事ID:24127 )