部族長一族の結婚式で、危険な「祝いの発砲」対策―ウルファ
2011年10月17日付 Milliyet 紙

ウルファ県でまた部族長一族の結婚式がおこなわれた。しかし、新郎側が結婚式の前に講じた対策も、記念品(宝石、指輪等)を贈る儀式も、他の結婚式とは全く異なるものだった…。

1997年、シャンルウルファ県スルチュ郡でディダン部族の有力実業家ハニフィ・ティルゲンさんの長男の結婚式が行われた時、空に向けた発砲(祝いの発砲)により1人が死亡、18人が負傷した。この事件を踏まえ、下の息子の結婚式では同様の事件が起こらないよう招待状で対策が講じられた。招待状に「銃器の使用を禁ずる」と記載されたこの結婚式では、新婦と新郎の到着後、空に向けての銃弾(祝いの祝砲)の代わりにシャボン玉が飛ばされ、招待客は記念品の代わりに、若い二人に合計5万7千500リラ(約236万6千円)のお金を贈った。

1997年、スルチュ郡ボイディ村で行われたイブラヒム・ティルゲンさんの結婚式では、招待客が空に向けて発砲した。1人が自動小銃を発砲し、その銃弾により7人の子どもがいるマフムト・ティルゲンさんが死亡、18人が負傷するに至った。祝いの発砲による悲劇が起きてから、ティルゲン一族の人々は結婚式での銃器の使用に反対し始めた。

■招待状に注意書を記載

長男の結婚式で起きた悲劇を踏まえ、ハニフィ・ティルゲンさんは今回、下の息子バイラムさんの結婚式で同じ哀しみが起きないよう、招待状に注意書を載せた。結婚式の招待状の一番下には朱書きで「銃器の使用を禁ずる」と記されており、それを配る際にも、招待客ひとりひとりに銃器を使用しないよう注意がなされた。

■村の中心部で結婚式

祝砲対策が講じられた結婚式は16日の昼過ぎからスルチュ郡ボイディ村の中心部で行われた。この村はシリアとの国境に位置し、結婚式に来た招待客は太鼓と笛の伴奏でハライ(アナトリア地方のフォークダンス)を踊った。28歳の新郎バイラム・ティルゲンさんと親戚である24歳の新婦エミネ・シムシェキさんが(会場に)現れると、招待客は手にしたスプレー缶で若い二人に向けてシャボン玉を飛ばしはじめた。辺りは一変して白に包まれ、ハライを踊り始めた2人に向けて、男女の招待客はドル札を投げた。
夕方まで続いた結婚式で招待客は存分にハライを踊り夫婦に祝意を伝えた。結婚式の最後に新居に連れて行かれた花嫁のエミネ・シムシェキさんは、(伝統に従い)渡されたコップを壁に打ち付け壊してから中に入った。

■金装飾でなく現金

結婚式の終わりに招待客へ村の中心地に大きなテントが張られ、床に整えられた食卓で食事が振舞われた。ケバブのサービスがおこなわれた結婚式の終わりに、招待客はいつもと違って、新婦と新郎に金装飾を贈る代わりに現金を集めた。結婚式の主催者が依頼した人たちがテントに座っている人をひとりひとり訪ねて、二人に贈るお金を集めた。金の代わりに現金が贈られた結婚式の参加者は、二人に合計5万7千500リラを集めた。部族の一人は、結婚式で現金を集めるのは古い伝統であると話し、これはまた最近の金価格の明らかな上昇が影響していることを強調した。

■新郎:罪のないひとが傷つかないように

新郎のバイラム・ティルゲンさんは、以前、兄の結婚式で痛ましい事件が起きたが、自分の結婚式では同じ哀しみを繰り返さないために対策を講じたと話し、招待状を見せた。ティルゲンさんは、「招待状に銃器を使用しないでほしいと特別に記しました。1997年に私の兄の結婚式で銃器が使われましたが、1人が死亡し18人が負傷しました。私たちは自分の結婚式でこれ以上罪のない人たちが怪我をしないように、このようなメモを書き、銃器の使用を禁止しました。罪のないひとびとに、そして私たちの最も幸せな日に共にいてくれた人たちに今回、悪い事件が起きなかったことを嬉しく思います」と述べた。

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( 翻訳者:岸田圭司 )
( 記事ID:24268 )