我が国に対する最近のアメリカの主張は、空想に基づく遠大な映画の脚本以上のものではない
【政治部:キャターユーン・マーフィー】ワシントンでテロ行為を目論んだとして我が国を非難するアメリカの対イラン・プロパガンダのシナリオに対し、イラン当局者や国会議員らからは反発の声が上がっている。イランは国連で正式に、アメリカ政府の発言に対して抗議し、また〔イランにおけるアメリカの利益代表を務める駐イラン〕スイス臨時代理大使も〔イラン〕外務省に呼び出された。
事件のそもそもの発端は、アメリカ司法長官がワシントンで開かれた記者会見のなかで、《マンスール・アルバーブ・サイヤール》という名の一人のイラン系アメリカ人が、アーディル・アルジュバイル駐米サウジアラビア大使へのテロを画策した容疑で逮捕されたと発表したことだ。エリック・ホルダー司法長官によれば、サウジアラビア大使があるレストランを訪れた際にテロを実行し、同大使を殺害することを目論んでいたという。
アーディル・アルジュバイル氏はサウジアラビアの外交官らの間では一目置かれる人物として知られており、駐米大使に就く前はアブドゥッラー国王の外交顧問という重責を担っていた。
ホルダー司法長官の主張によると、アルバーブ・サイヤール容疑者は56歳で、革命防衛隊ゴドゥス部隊〔※〕に通じていたという。同容疑者は、サウジアラビア大使テロ計画に加え、イスラエルとサウジアラビアの両国大使館に対する爆弾テロ計画も実行する予定だったともされている。
※訳注:海外での特殊任務にあたる革命防衛隊の部隊の一つ。日本語では「クッズ」と表記されているが「ゴドゥス」の誤り〕
同長官はその上で、ゴドゥス部隊の一員でイラン在住の《ゴラーム・シャクーリー》という人物も、この陰謀に関わっていた容疑がかけられているとも述べた。
この発言の後、ヒラリー・クリントン米国務長官も短い記者会見のなかで、このイラン人の逮捕を大いなる成功だと表現し、こうした問題はイラン政府の孤立とペルシア湾〔岸諸国〕の安全保障上の連携強化、そしてイランに対する制裁のより厳格な実施に帰結するだろうと主張した。その上で米国務長官は、アメリカは各国と一致してこの犯罪行為を非難するべく努力しているところだと述べた。
しかし、米当局のこうした発言・非難に対して、我が国の当局者らも黙ってはいなかった。イランのモハンマド・ハザーイー国連代表は潘基文事務総長宛ての書簡で、正式にこの嫌疑に抗議したのである。
ハザーイー氏はこの書簡のなかで、次のように述べている。
アメリカ当局による妄想に満ちた非難は、彼らの悪名高い反イラン政策の延長線上にあるものであり、政治的な動機によるものである。彼らはそうすることで、ホワイトハウスが国内・国外の両方で現在抱えている問題から、国際世論の関心を逸らそうとしているのである。
また同氏は、国内の経済・社会問題、そして〔中東北アフリカ〕地域で生じている反米の波(これはホワイトハウスが〔同地域において〕独裁政権を支持してきたことに由来する)、この二つの問題を米政府が抱えていることが、同政府が最近になって〔イランに対して〕陰謀を画策し、〔ありもしない〕嫌疑をかけてくる本当の理由なのであり、そうすることで米政府は国際世論の関心の逸脱を目論んでいるのだ、との見解を示した。
イラン国連代表はこの書簡の中で、さらに「イラン・イスラーム共和国はアメリカ当局によるこの恥ずべき言いかがりを、断固として、かつもっとも強い言い方で否定し、これを画策した者たちの意図を非難する」と強調している。
〔‥‥〕
またアリー・アクバル・サーレヒー外相も、アメリカ政府のイランに対する新たなシナリオについて、「このシナリオは〔米がイランに仕掛けてきた〕きわめて幼稚なゲームにすぎないのであって、ペルシア湾岸の我々の友人たちも、このような悪戯にもう慣れっこなっている。アメリカ政府も〔早晩〕謝罪を余儀なくされるだろう」と述べた。
同氏は閣議後に記者らを前に、「我々はサウジアラビアと良好な二国間関係を保っており、我々の間に意見の相違があるとしても、それは国際的な問題に関してであって、二国間の問題ではない」とも付け加えた。
〔‥‥〕
関連記事(イラン、アメリカの虚偽の主張に反発)
原文をPDFファイルで見る
( 翻訳者:神田浩輝 )
( 記事ID:24298 )