経済危機に倦んだ元イスタンブル在住のギリシャ人に帰郷の流れ
2011年10月30日付 Hurriyet 紙
経済危機により疲弊した元イスタンブル在住のギリシャ人らが、故郷に帰るために動き始めた。トルコへ帰郷することを考えているギリシャ人らは、イスタンブルのギリシャ正教会総主教座やギリシャ系各協会へ問い合わせを始めている。
経済危機により、トルコでより良い未来を探しているのはギリシャ人だけではない。ギリシャへ大きな希望を抱いて移住した元イスタンブル在住のギリシャ人(ルーム)らも、移住から何年も経てトルコへ帰郷し始めた。元イスタンブル在住のギリシャ人らは、イスタンブルのギリシャ正教会総主教座やギリシャ系各協会を頼り、出生地に戻った場合仕事や家を見つけることが出来るか否か調べている。さらには、イスタンブルのギリシャ系新聞社に手紙を送り、情報を集めている者もいる。
ギリシャ正教会総主教座のスポークスマンであるディセテオスさんは、「プロト・テーマ紙」に対して以下のように答えた。「仕事や家を見つけるための情報を得るために、われわれを頼ってきています。私は少なくとも30件の問い合わせに答えました。それらすべての問い合わせが、家族や親戚とともにイスタンブルに戻ることを考えているとすると、その数はとても多いものとなります。(しかし)トルコ語を話すことのできる人は仕事を見つけやすいでしょう」。また、イスタンブルのギリシャ系コミュニティ協会のアンドニス・パリズィアノス副会長は以下のように話した。「電話での問い合わせの数は何十件にも及びます。彼らは仕事や住居について尋ねてきます。イスタンブルに戻ってくるギリシャ人は(確かに)いるのです」
■仕事が見つからない人々がトルコへ
元イスタンブル在住のギリシャ人であり、心理療法士であるオディセアス・ヴトゥシナスさんも、生まれた故郷に帰ることを以下のように話した。「イスタンブルに戻ることは、難しい決断ではありませんでした。ギリシャでは仕事を見つけられないでいました。2月にイスタンブルへと帰ってきました。今では自分のオフィスもありますし、家も借りました。トルコ人の患者さんのほうが、ギリシャ人(ルーム)の患者さんより多いです。(今)トルコでは、私たち(ギリシャ人)にとってよい風が吹いています」。また50歳のある女性は、イスタンブルで発行されているアポイェヴマティーニ紙に送った手紙に以下のように書いたという。「母とともに暮らしています。もう1年間も失業中です。イスタンブルでの生活はどのようなものでしょうか?物価は高いのですか?仕事はありますか?ギリシャでの母の年金をトルコで受け取ることは可能でしょうか?」
■異なる心理状態
世界イスタンブル出身ギリシャ人(ルーム)連合のニコス・ウズオール会長は、以下のように話した。「帰郷に至った本来の理由は、私が思うにギリシャでの経済危機ではありません。ギリシャ人(ルーム)たちの心理状態が、イスタンブルから離れたときとは変わりました。1960年代に移住した人々は、『もう二度と戻らないために』、イスタンブルを立ちました。年月は流れ、新しい世代はあのかつての嫌な事件を経験していません。そのため、彼ら(新しい世代)は異なる心理状態なのです」
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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:24406 )