子供の命名に宗教家忠告、「コーランにあるどんな単語でもいいわけではない」
2011年11月12日付 Zaman 紙
2009年のデータによると、新生児8090人が「エジリン」と名付けられたという。世の両親はまた、エジリンとほぼ同数で「アレイナ」とも名付けたようだ。ムーサ・カーズム・ギュルチュル准教授は、預言者ムハンマドの「最後の審判の日、あなた方は自分の名前と父親の名前で呼ばれるのです。ですから良い名前をつけなさい」という言葉を引いて、無意味で奇妙、あるいは愚かな名づけは適切ではないと語った。
「アレイナ」、「ウンズィレ」、「エジリン」...。最近これらの名はよく口にされるし、パパママ候補者の頭の中にもあることだろう。特に「アレイナ」と「エジリン」という名が多い。人口・国籍業務総局の登録によれば、2009年に誕生した8090人の赤ちゃんが「エジリン」と名付けられ、それとほぼ同数が「アレイナ」と名付けられている。これらの名が市民権を得たのは、音の響きがよいことと、コーランに登場する単語であるからだ。しかし「イスラムにちなんだ名前をつけたい」という思いが、コーランに登場するあらゆる単語を、意味が適切でなくても人名にしてしまう、という過ちに親たちを追いやっている。「アレイナ」は、「私たちの上に」、「ウンズィル」は「下された」という意味を持つ。また「エジュリン」は、コーラン第36章と第37章に出てくるので好まれるようだが、多くの家族が思っているような神の報いという意味ではなく、「賃金・給与」といった意味である。神学者らは、コーランに登場するすべての単語を名前として使用してよいわけではないと話す。名付ける際には単語の意味を理解すべきだし、良い意味でない場合には使用するべきではない。
新生児に短期間で良い名前をつけることは両親にとって最重要任務だ。イスタンブル大学神学部のムーサ・カーズム・ギュルチュル准教授は、子供につけられた名は、現世でも来世でも通用するものだと言う。ギュルチュル准教授は、預言者ムハンマドの「最後の審判の日、あなたたちは、自分の名前と父親の名前で呼ばれるのです。ですから良い名前をつけなさい」との命を引用。また、預言者ムハンマドが子供だけでなく大人の名前にも関心を持ち、預言者が良くないとしたいくつか名前は改名に至ったとも話す。それらの名にはアルサム(非生産性、無慈悲)、アースィー(反逆者)、アテレ(乱暴、厳しさ)、ハルプ(戦争)、ミュッレ(辛苦)のような名があったという。ギュルチュル准教授は「素晴らしい意味を持つ名前が望ましいでしょう。意味が醜悪で、宗教的に適切でない名前は人間にマイナスの影響を与えるばかりか、イスラムの禁忌に近づくという点からも忌まわしいものです。」と語った。
同准教授は、無意味で奇妙、あるいは愚かな名づけは、宗教的にも適切でないうえに、名付けられた子供に精神的・心理的にマイナスの影響を与えると言う。この種の名前は子どもの自尊心低下の一因となり、十分に活躍できないことにも一役買っている。子どもに意味のない、あるいは奇妙に思われる名前をつける家族は、気付かぬうちに子どもを感情的な衝突やさまざまな問題へと突き動かしているのだ。
神学者ジャーミル・トクプナル氏も、コーランに登場するからといって代名詞や動詞を名前として用いるのは間違いだと指摘する。同氏は、「アレイナ」という名が「私たちの上に」という意味をもつと説明し、この問題について次のように話した。「アッラーを讃える礼拝で唱えられる「エッサラーム アレイナー」とは、「安寧が我々の上にありますように」という意味ですし、「ウンズィル」という単語は「下された」という意味の動詞です。例えば「使徒は信じる」(コーラン第2章285節)の中で"...bimâ ünzile ileyhi min Rabbih"「主から下されたものを」として出てきます。したがって「アレイナ」や「ウンズィル」のような一単語だけを個人の名に使用したのでは意味が通りません。」
トクプナル氏は、コーランに登場する単語を子供に名付けたい人は、必ず詳しい人にたずねるべきであると強調し、自身の身に起こった事例を挙げて次のように説明している。「ある友人が女の子に「ヤーゼル」という名前をつけ、「罪のない僕」という意味だ、と言っていました。しかし、本来「罪のない(günahsız)」に相当するのは「masum」という単語です。何に由来しているのか尋ねたところ、彼は「コーランに『Yâ ze'l-celali ve'l-ikram(ああ、栄光と恵みを持つ者)』と出てくるじゃないか。」と答えたのですが、さて、この場合どこを正せばいいのでしょうか。「Yâ」は感嘆詞で「ああ」を意味し、「ze」は「主人、所有者」という意味ですが、それ一語だけではなく別の語を伴って使用されるものです。
人には、めったにない、新しく個性的な名前をつけたいという思いがあります。それはいいでしょう、しかし、自分が何をしているのか理解し、適切に処すことが重要なのです。」
■新生児にはどのような名が与えられるべき?
赤ちゃんは、出生直後、あるいは出生7日目に名前がつけられる。子供の名前は知識豊かで敬虔な人物につけてもらうのがよいとされる。預言者ムハンマドの友人らは、自分の子供たちの名を預言者ムハンマドに名付けてもらいたがった。子どもは礼拝の清めを済ませた名付け親の腕に抱かれ、名づけ親はキブラ(メッカの方角)の方を向く。まず右耳にアザーンを、左耳でカメート(祈りの朗唱)を聞かせ、その後、子どもの両耳にそれぞれ3度名前が繰り返される。名付けられた後には、祝福を受けさせなければならない。
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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:24516 )