高速船カルテペ号を乗っ取ったテロリストは行なわれた制圧作戦で殺害された。船の乗員乗客の健康状態は良好である。
PKKメンバーであるとされる人物が、昨夕イズミト・カラミュルセル間を運航するコジャエリ広域市所有の高速船「カルテペ」を武器と爆弾で脅して乗っ取った。操舵室で乗組員を人質にとったテロリストの指示により、同船はマルマラ海で旋回した後燃料を使い果たしてイスタンブルのシリヴリ沖に碇泊した。治安部隊が派遣されたという警告が行なわれたが、テロリストは考慮しなかった。これを受けて朝5時35分あらゆる治安部隊が行なった共同作戦でテロリストは遺体で確保された一方、乗客と乗組員も無事救出された。
■知事の会見
イスタンブル県のヒュセイン・アヴニ・ムトゥル知事は、コジャエリ広域市所属の高速船カルテペ号を乗っ取ったテロリストが一人であり、遺体で確保されたと述べた。ムトゥル知事は作戦のプロセスについて次のように述べた。
「コジャエリ広域市所属のカルテペ号という高速船が一人の実行犯によって乗っ取られたことに関して今朝5時35分に治安部隊が共同作戦によって作戦を成功させ、実行犯は遺体で確保された」
この事件に関してイスタンブル港湾地域では乗っ取られた船の入港以降すべての関係部隊および治安組織は深刻な協調体制をとって同船の行動を追跡し、実行犯に関して人数、身元、活動の実行方法、爆弾の準備について非常に入念な調査と協調を行なった。県庁危機管理センターですべての情報が綿密に調査され実行犯の投降する地点で監視が続けられる一方実行される制圧作戦も細心の注意を払って準備された。
■乗員乗客の状態は良好
ムトゥル知事は「シリヴリ沖で同船が碇泊して以降制圧作戦の枠組みで5時35分をもってこの作戦実行の決定が下され、非常に短時間で同船に突入し実行犯は遺体で確保された。乗客と乗組員に関してはわずかな問題もない。司法当局にも情報が通知された。彼らもこの時点以降行なわれる行動を協力体制で追求する」と話した。
■爆発装置を身に着けていた
ムトゥル知事は、「身元の特定を続けているが、得られた情報をみるかぎり、いろいろな顔があるようだ。実行犯は爆発装置を身に着けていた。配線された装置を身につけていた。専門家の調査をまって、どういう装置だったかがわかるだろう。武力での制圧へ共同作戦が行われた。治安関係のあらゆる組織が協力して実施した」と述べた。
■乗客は避難
シリヴリで制圧作戦が行われた高速船「カルテペ」の乗客は、沿岸警備隊のボートに乗船して避難した。
■どのように乗っ取られたのか?
5人の女性を含む乗客18人と乗組員4人、訓練生2人を乗せた高速船は、昨夕17時45分にイズミト埠頭を離れた。さほど経たずに武装した一人が操舵室に現れた。実行犯は船長を武器で脅して「我々は5人だ、爆弾を身に着けている」と言って船を制圧し、ルートをヤロヴァに向けて変更させようとした。
事件に気付いた船長補佐は、関係船員を探して乗っ取り発生を知らせた。武装メンバーの一人は高速船を制圧した後乗務員と乗客の携帯電話を集め、155の警察緊急番号にかけて「邪魔をするな、我々は爆弾を身に着けている。爆発させる」と脅迫した。武器を持って操舵室に入り、船のコントロールを奪ったPKKメンバーが一人ではないことは、追跡する治安部隊のボートが近づかないよう空中に発砲したことで明らかになった(訳注:この時点では犯人が一人であると特定されていなかった)。
ヤロヴァ警察署のチームは海上警察所に集められた。警察はライフル銃を持ち防弾チョッキを着用し、高速ボート「ポリス1」号とゾディアックボート「ポリス2」号で海に散開した。ヤロヴァの治安当局者らは同船をどの海岸にも接近させないと述べていた。
■GPS装置を取り外す
ヤロヴァ方面から方向転換してイスタンブル諸島からセリムパシャ方向に向かった高速船が衛星から追跡されるのを防ぐため、テロリストはCPS装置を取り外させた。関係者は、必要であれば海上で高速船を制圧しようと準備をはじめた。高速船は燃料切れのため23時15分にイスタンブルのセリムパシャ沖で碇泊した。
テロリストはジュムフル・トゥンジェル船長の携帯電話を使って治安隊員と連絡を取ったが、食料・燃料の補給の他いかなる要求もしなかった。操舵室にいたテロリストが爆弾を身に着けていること、確保した船長とともにこれを爆発させるという脅迫で威嚇したことが明らかにされた。
高速船がイスタンブル諸島近くを通過すると、海軍司令部もおかれているギョルジュク海軍基地は警戒態勢に入った。SAS特殊部隊を載せた3隻の沿岸警備ボートが同船を追跡した。軍事ヘリコプターも上空から追跡を開始した。海事庁の職員も同船のルートを自動船舶識別装置で追跡した。さらにイズミト湾に並ぶトルコ製油所株式会社(TÜPRAŞ)を始めとする引火性・爆発性の貯蔵設備を持つ施設でも警戒態勢がひかれた。イスタンブル、コジャエリ、ヤロヴァ、ブルサで警備体制が強化される一方、沿岸部では広範な安全対策が取られた。5マイル以内への接近が禁止され警戒態勢の取られた(オジャラン終身刑囚のいる)イムラル島周辺では小型砲艇が待機した。早朝、同船に対して制圧作戦が実行されテロリストは殺害された。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:24519 )