ベイルート映画祭でエジプト人監督バットゥート氏の『ハーウィー』に最優秀賞
2011年10月15日付 Al-Nahar 紙

■ 第11回ベイルート映画祭の各賞決定
■ 最優秀脚本賞は脚本なしで撮影したバットゥート氏の『ハーウィー』に!

2011年10月15日付『アル=ナハール』

【ハウヴィク・ハバシヤン】

ベイルート映画祭の閉幕にあたって昨夜、最も優秀な中東の劇映画に贈られる「金のアリフ」賞はイブラヒーム・アル=バットゥート監督の『ハーウィー』に授与された。同作品は1年前にドーハ映画祭で大賞を獲得した後、国際的な映画祭で相次いで高い評価を受けている。

アレキサンドリアでストーリーが展開される『ハーウィー』は、ハナーン・ユースフとムハンマド・アッ=サイイド主演である。表現豊かで社会的な象徴性をもつ一群の人物が登場する。これらの人物はエジプトと地域の国々で現在起きている事象の核心を表していると言えよう。

この映画の撮影は殆ど冒険と言うべきものだった。スクリーンの上に示された結果は、撮影の状況にきわめて近いものになった。独立映画の論理を理論ではなく実践によって確かなものとして提示している本作品のあり方について、監督は本紙に対して次のように語った。「私はこの映画を完成させたかった。そして待つのは嫌だった。座して資金提供を待つのは好きではない。私はいいデジタルカメラを持っていたので、とりかかることにした。アレキサンドリアでの映画にしたかった。何故ならあそこには、映画の課目を教えた学生たちがいるからだ。」

「アレキサンドリアの制作チームはカメラマンから編集者まで皆、私の生徒だ。私と一緒に仕事をしたのは皆、映画制作に参加するのは初めての人たち。もちろん、映画の質は劣るかもしれないが、私の関心は質よりも、この映画に何らかの精神を刻むことと、青年たちに初めての仕事を達成するための機会を与えることにあった。この方法がこの低予算映画を完成させる唯一の方法だった」

イタリアのルカ・グァダニーノ監督が今年の委員長を務めた審査委員会はバットゥート氏に対して最優秀脚本賞も授与した。バットゥート監督は製作にあたって脚本なしで取り組んだと主張しており、つまり「書かれた脚本を用いずに」と述べているにも拘わらずの授賞である。物語の全体像は監督の頭脳の中にあって、それが人物造形の出発点である。バットゥート氏も運に任せることは出来ないと認めており、仕事においては厳密な骨組みを追求するタイプであることを自認しているが、同時に様々な変更を加えることを自らに許容しているのだという。

(後略)

Tweet
シェア


原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:南・西アジア地域言語論(アラビア語メディア翻訳) )
( 記事ID:24526 )