「良心的兵役拒否」法案問題、諸外国の例を検討中―ユルマズ国防相
2011年11月16日付 Zaman 紙

兵役に従事することを拒む人々に対し、「良心的兵役拒否」の権利を認める法案が議論を呼んでいる。法案の制定に明確な期限を設けていない イスメト・ユルマズ国防大臣は、他国での例を精査すると述べた。「法務省の職員たちが現在調べている。今後(国防省と法務省の)共同で法案制定に取り組ん でいく」と話した。

国防大臣イスメト・ユルマズは、良心的拒否に関して他国での例を検討していると述べ、「法務省の職員たちが現在調べている。今後(国防省と法務省の)共同で法案制定に取り組んでいく」と話した。ユルマズ国防大臣は、議会で報道陣からの質問に答え、法務省が良心的拒否についての議論を続けていると述べた。 「他国での例も調査したのか」という質問についても、「法務省の職員たちはすべてを把握している。他国における(良心的拒否の)適用について検討してい る」と答えた。同国防大臣は、他国での適用例のほか、欧州人権裁判所(AİHM)による、良心的拒否に関する決議も精査していると語った。

一方で、欧州人権裁判所が「トルコ共和国における決議、問題、および解決策審議会」を設置したことに続き、法務大臣サドゥッラー・エルギンと 欧州評議会事務総長トルビョルン・ヤーグランが共同会見を開いた。報道陣からの、トルコにおける良心的拒否に関して今後行われる取り組みについての質問に答えたヤーグラン事務総長は、欧州基準について説明した。ヤーグラン事務総長は、「欧州基準では、良心的拒否の権利を認めている。これまでの経過を見返す限り、良心的拒否を認めたことで兵力が弱まるようなことはない。兵力にネガティヴな影響はない。むしろ、国としての公的秩序を保ちつつ、同時に個人の権利を守ることも可能である」と述べた。

一方でエルギン法務大臣は同様の質問に対して、欧州評議会閣僚委員会が、トルコに対し、良心的拒否の問題について (欧州スタンダードに合わせるよう)要求していることを説明した上で、「この要求にもとづいた取り組みがなされている。しかし、この取り組みにおいては異なる選択肢も候補としてある。最初の段階では、欧州人権裁判所による違反決議の項目を取り除くことを目標としている。しかし、トルコ自体の要請、国防省と参謀本部の見解と要請が私たちにとっては重要である。この(良心的拒否に関する国内での)議論が完了した後、閣議においてこの件に関する議論がなされる予定である」と語った。

■良心的拒否とは?

良心的拒否は、個人の政治的見解、道徳的価値観、あるいは信仰の観点から、義務兵役を拒否することである。良心的拒否が公的に認められるようになったのは20世紀初頭からである。イギリスでは1916年に良心的拒否を憲法に明記した。イギリスに続いて1917年にはデンマーク、1920年にはスウェーデンが良心的拒否を認めた。良心的拒否の権利は、現在、国際連合人権委員会と欧州議会によって基本的な人権として認められている。EU加盟国である ベルギー、チェコ共和国、フランス、オランダ、イギリス、アイルランド、スペイン、イタリア、ルクセンブルク、ハンガリー、マルタ、ポルトガル、スロヴァキア、スロヴェニアでは義務兵役は行われていない。また、他国では、(良心的兵役拒否の)代替として公益業務を行う。たとえばドイツの良心的兵役拒否者 は、兵役期間である9ヶ月間、連邦家庭・高齢者・婦人・青少年省(原文ママ:青少年・家庭・婦人・健康省)所轄の連邦公益サービス事務局によって代替業務 が割り振られる。

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( 翻訳者:萩原絵理香 )
( 記事ID:24565 )