Fikret Bilaコラム:トルコはシリアに介入するのか
2011年11月20日付 Milliyet 紙

欧州のメディアを見ると、以下のようなことが言われている。
「トルコはシリアに介入した、介入する」「介入するとすればトルコだけだ」「イスラエルがイランを攻撃した日には、トルコはシリアに介入する」…。
これらのニュースを見て分かるのは、トルコをおだてあげて、トルコがシリアに介入することを望む国があるということだ。
このような空気の形成にトルコ政府が果たした役割はないだろうか?
いや、ある。間違いなく。
政府から頻繁に「傍観者になることは出来ない」という発表がなされ、これは「シリアへの介入」という問題を煽り立てた。

■ 「トルコから指揮をしている」

トルコがシリアへ介入する空気は、反体制派のリーダーであるといわれるリヤード・アル・アスアド大佐が行った発表によっても煽られた。「私はトルコの安全なところにいる」と述べたアスアド大佐は、これだけを言うにとどまらなかった。「私は1万5千人のシリア自由軍を率いている」と付け加えたのだ。
その後、シリアでアサド大統領の軍事施設に対して攻撃が行われた。
トルコ軍はシリアに介入していないが、シリア軍から離反した反体制派がトルコから攻撃を行ったというニュースがまた欧州のメディアに取り上げられ始めた。

■ 1998年とは違う

トルコのシリアへの介入が議論されるのはこれが初めてではない。
1998年にトルコは、シリアに介入するところだった。
当時のスュレイマン・デミレル大統領は、国境に兵士を集め、シリア政府に対して強い警告を行った。また、当時のアティッラ・アテシュ陸軍総司令官も、ハタイ県レイハンル郡でシリアに向けて同様の警告を行った。
-「もしアブドゥッラー・オジャランを引き渡さず、PKKへの支援を打ち切らなければ、トルコはシリアに介入すると決めている。」
これは公式の宣戦布告による脅迫であり、うまくいった。
当時トルコには、(その行動が周囲に)認められるだけの理由があった。

■ 「今回は求められている」

現在は当時と同じ条件ではない。
それにもかかわらず欧州の一部の国はトルコを煽り、シリアのムスリム同胞団もトルコの介入を求めている。
ムスリム同胞団のリーダーは、「介入するならトルコがいい。シリア人は喜ぶだろう」と述べ、アンカラ政府に呼びかけている。シリアは今にも内戦に突入しそうなほど危険な状況だ。宗派、民族グループ間の衝突が始まり、拡大するのは時間の問題だ。
シリアの安定と安全の問題は、トルコだけの問題ではない。
トルコが、「事態を考慮し、義務を負う」として、単独でシリアに軍事干渉を行うことは、この先非常に大きい問題を生み出す原因になりうる。このような行動は、シリアだけでなくイランも戦争の相手にすることを意味する。これではイスラエルの漁夫の利である。

■ 人道支援の範囲内に留まること

トルコは、最も長い国境を接し、友好関係にあるシリアに対して、「人道支援の範囲内」に留まらなければならない。
国連の決議の範囲内で、人道支援目的以外の目的でシリアに介入することは考えてはならない。
逆に、結果がどうなるか分からない泥沼状態に陥ってしまっていることで、この情勢をトルコに有利に展開させるため、多くの努力が必要なことは明らかである。
現在、シリアに矛先を向けている者たちは、シリアやイランとことが終われば、ある日、似たような方法でトルコに対しても行動を起こしうるのである。

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( 翻訳者:菱山湧人 )
( 記事ID:24601 )