シリア情勢:ロシアがシリア沖を含む地中海に艦隊を派遣
2011年11月29日付 al-Hayat 紙

■ロシア、地中海へ艦隊を派遣。タルトゥースを含む諸港に寄港

2011年11月29日 『アル=ハヤート』

【モスクワ:ラーイド・ジャブル、エルサレム被占領地:アーマール・シャハーダ】


 ロシア筋は、空母を含む艦隊が近々地中海に向かう予定であり、艦隊はタルトゥース港を含む複数の港に停泊予定であると発表した。ロシア艦隊参謀本部はこの措置を確認、「今般の艦隊派遣措置は訓練航海であり、昨年(2010年)から計画されていたものである。シリアについての情勢推移とは無関係である。」と指摘した。

 今般の艦隊派遣は、発表直後から地中海でのロシア軍艦艇の動きの意図に関する疑念を惹起した。特に、ロシア北方艦隊に所属する派遣艦艇8隻には、砕氷船、空母「アドミラル・クズネツフ」が含まれている。同空母は、「スホーイ」、「ミグ」型戦闘機、ミサイル発射台、ヘリコプターを装備している。また、艦隊派遣は、ロシアがシリアに対する西側の干渉を拒否する最中に行われる。しかしながら、ロシア艦隊の参謀本部の報道官は、昨日(28日)モスクワで記者らの質問に答え、ロシアの動向とシリア情勢とは無関係であると強調した。

 同報道官は、艦隊はタルトゥース港に加え、ベイルート港、イタリアのジェノバ港、キプロスの港を訪れる予定であると述べた。同艦隊は、来春の初頭に地中海沿岸地域に到着する予定である。また、同報道官は、航海は最近の地域情勢の展開が生じる前の昨年(2010年)から計画されていたもので、「航海を延期したり、中止したりする理由はない。」と付け加えた。

 更に、同報道官は公開中は、「ミグ」型航空機の試験が実施される予定であると述べた。同型機は、インドとの契約に基づき生産された。同報道官は、航海は訓練航海であり、この種の航海はロシアの軍事艦艇が時折行なっている性質のものであると述べた。

 空母「アドミラル・クズネツォフ」は、1995年と2007年に地中海沿岸地域を訪れ、シリアのタルトゥース港に寄港したと言われている。

 地中海地域におけるロシア軍の動向をめぐる騒ぎは、数週間前から強くなった。その際、イスラエルの報道機関が、ロシア軍の艦艇3隻がタルトゥース港に停泊したと報じ、これら艦艇の任務はアメリカ軍の艦艇との対峙の一環であるとみなしていた。アメリカ軍の艦艇は、シリア沿岸の公海に停泊していた。報道が流布

した際、ロシア軍は論評を拒否し、ロシア軍の報道官は「軍は、軍部隊が通常行う動きについての新聞報道を論評しない。」と述べていた。しかし、ロシア海軍の元参謀長であるニコライ・スルビノフ提督は、哨戒艦「シミティルヴィー」が実際に通常任務でタルトゥース港に寄港し、同地のロシア軍整備拠点に1カ月停泊、その後黒海に向けて出港したと述べた。

 ちなみに、タルトゥースのロシア軍艦艇整備拠点は、1971年に建設され、ソ連時代は燃料補給のために使用された。そして近年は埠頭の拡張と改修が行われたが、これはロシア北方艦隊の整備のためであった。この整備拠点では、約50名のロシアの軍人が常勤している。ロシア国防省の情報によれば、現在タルトゥースの整備拠点にロシアの艦艇は停泊していない。

 一方、イスラエルの治安筋は、イスラエルはシリア・レバノンとの北部国境に機甲部隊3個部隊を展開させることを決定したと述べた。シリアに対するアラブ連盟の経済制裁の影響が、地域全体を含む治安上の緊張を招くシリアの反応を喚起するのを恐れての決定である。

 同筋は、中東地域の7カ国が軍事警戒態勢を上げ、対シリア制裁が課されたあとのための治安準備を行ったと述べた。また、同筋は、特にイスラエルについては、適切な時期にさらなる増援部隊を派遣するつもりがあること、シリアとの境界上の治安防壁建設と塹壕掘削作業を強化したことを指摘した。

 イスラエルの情報機関に近いインターネットサイトや治安情報問題の専門家は、イスラエル、西側、アラブの情報機関筋の話として「治安情勢の激化に警戒している諸国は、イラン、トルコ、レバノン、ヨルダン、イスラエル、さらにロシアと米国の艦隊である。」と伝えた。

 この情報筋は、情報機関がイランのかつてない活動を監視したと主張した。すなわち、テヘランから同筋が「空の列車」と名付けたものがダマスカスへと出発し、イランの「革命防衛隊」多数を輸送した。そして、「革命防衛隊」隊員は、あらゆる緊急事態に備えて「ヒズブッラー」に合流するため、レバノンに移動すると思われるのである。

 イスラエルによると、これまでに既にイラン人戦闘員150名が「ヒズブッラー」の展開地域に移動した。また、イスラエルの報告書によると、同じ時期にロシアがシリアに向けて大量の先進的な兵器を送付した。これら兵器は、シリアに飛行禁止措置が科されても対抗できる能力があるほどの兵器である。その中には、パントシールS1型対空ミサイルが含まれるが、同型はヘリコプター、無人航空機、戦闘機に対し、高度15㎞まで対抗可能である。また、このミサイルは、特定の目標に向けて戦闘機から発射された精密誘導兵器にも対抗できる。

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( 翻訳者:高岡豊 )
( 記事ID:24686 )