怒れる学生たち、イギリス大使館を襲撃
2011年11月30日付 Jam-e Jam 紙
2011年11月30日付ヘマーヤト紙1面に掲載されていた写真を転載
2011年11月30日付ヘマーヤト紙1面に掲載されていた写真を転載

 国会がイギリスとの関係の引き下げに関する法律を可決して2日、テヘランにある同国の大使館関係者らはテヘランの各大学に通う学生たちがこの国会の決定を強く支持している様を目の当たりにした。イギリス政府による反イラン政策に対する学生らの怒りは極めて強く、治安部隊も彼らの一部が英大使館、ならびにシャリーアティー通り沿いにある同大使館の庭園に侵入するのを防ぐことができなかったほどだった。

 我が国の核の専門家であったマジード・シャフリヤーリー博士の殉教1周年にあたる昨日、フェルドウスィー通りにある英大使館、及びシャリーアティー通りにあるゴルハク庭園の前で集会を開いた学生らの一部が、状況の統制に努める治安部隊の努力にもかかわらず、両施設の敷地内に立ち入った。

 学生らのこうした行動と相前後して、アリー・ラーリージャーニー国会議長は昨日午後、イギリスとの関係の引き下げに関する法律の施行に向けて、同法律を大統領に通知した。この法律によると、外務省は2週間以内に、イラン・イスラーム共和国とイギリス王国との関係を臨時代理大使のレベルにまで引き下げなければならない。

 昨日の学生集会は14時に始まった。集会参加者らは当初、「アメリカに死を」「イギリスに死を」「イギリス大使館は閉鎖すべきだ」のシュプレヒコールをあげ、同国大使の即自国外追放を政府に求めた。

 イラン国営放送報道センターが伝えたところによると、この集会の続きで大使館の占拠を予定していた一部の怒れる学生らが、大使館内に投石して、窓ガラスを割るなどの行動に出た。この出来事の直後、一群の学生らが在テヘラン英大使館内に侵入、同大使館に掲げられていたイギリスの国旗を引きずり下ろし、それに火を付けた上で、我が国の国旗を代わりに掲げた。

治安維持軍も学生らの大使館への侵入を止めることはできなかった。ほとんどの学生はこの時、同大使館近くの通りにいたが、一部の学生グループが大使館内に立ち入り、同大使館の一部で第3代イマーム・ホセインの旗を掲揚した。

 メフル通信の報道によると、昨日午後の集会に参加していた学生らは英大使館の事務棟に入り、英女王の写真の入った額縁を引きずり下ろしたという。学生らはまた、大使館1階にあった一部の書類を外に持ち出し、学生らの前でそれに火を付け、「イギリスに死を」のシュプレヒコールをあげた。その後テヘランの怒れる学生らは英大使館の正門を開け、さらに多くの学生が大使館内になだれ込んだ。この時、現場にいた警察が学生らの侵入を阻止することは、事実上不可能だった。

 その数分後、治安維持軍の隊員らが英大使館の扉を閉め、さらに多くの学生が大使館内に入るのを阻止した。大使館内にいた残りの学生たちも外に出されたが、その際3〜4名の隊員が大使館内に立ち入った。

抗議運動に参加していた学生ら、ゴルハク庭園にも侵入

 こうした出来事が英大使館で発生する一方、テヘラン北部にあるイギリスの外交施設の一つであるゴルハク庭園でも、治安維持軍の隊員らによる努力にもかかわらず、約100名の怒れる学生らによる侵入事件が起きた。

 イラン国営通信(IRNA)の報道によると、一部の学生らはゴルハク庭園内にあったイギリス政府の機密書類やスパイ資料などを押収、同施設内にいた外国人らを自らの保護下に置いた。IRNAの報道から数時間後、ファールス通信も約19時頃、ゴルハク庭園にいて、学生らに取り囲まれていた6名のイギリス人職員が外交警察の手により解放され、学生らもシュプレヒコールをあげながら、現場から立ち去るところであることを伝えた。

 ジャーメ・ジャム紙の取材では、昨夜ゴルハク庭園前で集会を開いていた学生たちは集会解散の条件として、同庭園内にいる学生ら全員の無拘束の立ち退きに警察が同意することを求めた。しかしファールス通信によると、治安維持軍の隊員らは学生らをゴルハク庭園から立ち退かせる際、彼らの一部を逮捕し、付近の署に連行したとのことだ。

学生らによる大使館侵入、再び

 また昨夜、イラン国営放送が伝えたところでは、学生らによる大使館内への侵入を阻止しようと数百名の警察官が絶え間なく努力したにもかかわらず、複数の怒れる学生たちが日没の礼拝を済ませた後、再び大使館内に侵入した。

 昨日の出来事を受け、英外務省報道官はイラン政府に対し、責任をもって同大使館職員の身の安全に努めるよう要求した。同報道官はその上で、「国際法及びジュネーヴ協定により、イラン政府は大使館職員の命を守る義務がある。我々が彼らに期待しているのは、彼らが早急に対策を講じ、状況を自らの統制下に置くことである」と付け加えている。

学生らの大使館への侵入は自然発生的なもの

 英大使館前で行われた集会に参加した学生らは声明を出し、その中で学生らによる英大使館への侵入は自然発生的に起きたものだと強調した。彼らはその上で、英植民地主義体制との国交断絶の必要性を力説した。

イラン外務省、遺憾の意を表明

 在テヘラン英大使館前で起きた学生らによる抗議集会が、〔当局による〕統制を外れたデモに発展した事態を受け、イラン・イスラーム共和国外務省は声明を発出し、その中で治安維持軍の努力と大使館警護隊の増強にもかかわらず、限られた数の抗議参加者らによって容認しがたい行動が一部取られたことに、遺憾の意を表明した。声明はその上で、関係当局に対し、本件に関して早急かつ十分な調査を行うよう求めた。

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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:24698 )