トプカプ宮殿前発砲事件で負傷の警備兵、観光客は救ったが・・
2011年12月06日付 Milliyet 紙
兵士のシェラフェッティン・エライ・トプチュさんは、トプカプ宮殿での警備の仕事中、リビア国籍のサミール・アリ・エルマドハヴリ容疑者によって銃撃され、現在もイスタンブル大医学部付属病院で治療を受けている。トプチュさんは手術を受けたが、体に撃ち込まれた13発の銃弾は摘出されておらず、障害が残る可能性もあるという。
トプチュさんは、経営学部を卒業後に短期兵役に就いていた。退役まではあと43日だった。同じ短期兵役の仲間34人と一緒に、トプカプ宮殿の警備隊に勤めていた。トプチュさんは現在も入院中で、歩けない状態だ。過酷な治療生活が彼を待っている。正道党(DYP)キュタフヤ県支部長であるトプチュさんの父ハムザ・トプチュさんは夕方、新聞記者にコメントを寄せ、息子との会話を明らかにした。
「息子は虐殺行為を阻止しました。息子は、襲撃犯が銃を観光客に向けていることに気付き、肩にかけていた銃を下ろそうとしたところを撃たれたのです。最初に撃たれたあと地面に倒れ込んだ息子は、それでも「帝王の宮殿」の門(帝王の門のこと)を閉め、自身の安全確保と、襲撃犯が宮殿内へ入るのを阻止しようとしました。しかしこの間に2発目の銃弾を撃たれました。その後、襲撃犯が息子のそばにやって来て頭部に銃口を向け、英語で「すまないが君の運は尽きた」とささやいたのです。(襲撃犯が)銃をとうとした、まさにその時、息子の上官のレヴェント上級曹長が空に向けて発砲し、犯人の気を散らしたのです。」
■「片足は短くなる」
「(軍は)ギュルハーネ軍医学校(GATA)への搬送を申し出ましたが、しかし息子はこの病院での治療を望みました。事件から一日後、まる一日かけて手術が行われました。左太腿骨は完全に砕かれていたそうです。体内に大きな負傷を負わせた銃弾が13発も残っていて、息子がこの銃弾を取り除くかどうか尋ねると、医者は『これは君への贈り物だ、一緒に生きていくしかない』と答えました。銃弾を取り除くと、神経に損傷を与える可能性が高いそうです。2年間は理学療法を受けなければいけません。骨が粉々に砕けているため、片足は6~7センチ短くなるのです。」
■私の一人息子は、結婚もするはずだった
「シェラフェッティンは私の一人息子で、私たちは息子の将来を確かなものにするためにこれまで働いてきたのです。息子は仕事も、伴侶も選び取って生きていくはずだった…しかし今では困難な生活が私たちを待っています。息子に障害が残る、という事実があるのです。両親として、私たちはずっと息子のそばにいます。宮殿の門の前の、何もないような場所に、セキュリティは全く確保されていなかった。男はその場所まで銃を持ってどうして来れるのでしょうか?男が銃を観光客に向けなかったならば、息子もそのことに気付くことはなかった。息子が撃たれた後、(セキュリティのために)X線検査装置が置かれたそうです…息子の回復を願っています…」
■故郷ならば村長までもが見舞いに訪れるところを…
父ハムザさんは、国の対応も批難した。事件当日、内務大臣と文化観光大臣はイスタンブルにいたが、見舞いに来なかったことを指摘しているのだ。キュタフヤでは兵士が殉職あるいは負傷すると、皆が見舞いに訪れる。しかしイスタンブルでは連隊司令官フセイン・クルトオール大佐と駐屯地司令官レヴェント上級曹長が、トプチュさんの見舞いに訪れたのみだという。故郷なら村長までもが訪れていただろう、イスタンブルはこんなものだ、とハムザさんは語った。
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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:24775 )