プロジェクトの費用はすでに計画よりも5割増となり、完成日が延期され続けている。
「解決できない13の重大な技術的ミスがあった」とするペンタゴン文書がインターネット上にリークされたことによって、「プロジェクトを打ち切れ」という呼びかけが始まった。トルコを含む11カ国が共同で参加しており、「歴史上最も高額な防衛プロジェクト」とされるF35戦闘機の誕生が危ぶまれている。トルコが110億ドルを投資することになっており、アメリカの費用がすでに3880億ドルに達しているこの計画は、様々な問題の発覚により立ち止まる時期を迎えた。
ヴァタン紙の報道によれば、このプロジェクトは2003年に「戦争における様々な目的のために異なる飛行機を改良するのは経済的でないため、ひとつの飛行機をあらゆる任務に対応させるという目的で」始められた。このプロジェクトにより、アメリカをはじめ多くの国が航空団を一新するはずだった。当初は、この計画の費用は戦闘機一体あたり8900万ドルと見積もられた。しかし、次第に費用は上がっていった。現在の見積もりによれば、一体あたり1億5600万ドルで、さらに上がることが予測されている。費用が約二倍になったことによって、各国の予算は混乱した。
これに加えてプロジェクトにおける技術的な問題が発覚すると、F35戦闘機構想は徐々に実現が難しくなり始めた。インターネット上にリークされたアメリカ国防省の内部文書によれば、プロジェクトにおいて特定はされているものの、いまだ解決されていない13の重大な技術上の問題がある。文書では「調査結果の獲得と製造計画を再度きちんと見直すこと」が提案されている。プロジェクトのスポークスマンであるジョー・デラヴェドヴァ氏は、生産ペースを少し落とす可能性があることを明らかにし、「これはコスト削減のためだ」と話した。しかし、防衛情報センターのウィンスロー・ウィーラー氏は、今回明らかになった問題は「プロジェクトの中断でしか解決できないだろう」と主張する。ウィーラーー氏は、「確認されている問題の数と規模は、F35戦闘機の製造を中止するのに十分な理由となる。少なくともペンタゴンの現在の責任者がいるうちに中断するべきである」と話した。
■最も複雑な部分はトルコで作られた
トルコの航空宇宙分野の中心であるトルコ航空宇宙産業(TUSAŞ)は、F35戦闘機の中心部分にあり、戦闘機の最も複雑な構造として知られている「複合吸気ダクト」の製造を実現した。アメリカ以外では世界で唯一F35戦闘機の「中心」の製造を行うTUSAŞは、「ファイバー敷設装置」という高度な技術を使い、全てを複合材料から作り出した最初の「複合吸気ダクト」を2010年6月に開発した。
■ 誰がいくつ戦闘機を手に入れるのか?
アメリカ:2443
イギリス: 138
イタリア: 131
トルコ: 100
オーストラリア: 100
オランダ: 85
カナダ: 80
ノルウェー: 48
デンマーク: 48
イスラエルとシンガポールもこのプロジェクトを支援している。
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( 翻訳者:小松裕美子 )
( 記事ID:24857 )