昨日、イスラエル議会の文化委員会はアルメニア人に関する一連の事件を虐殺として認めるため集まった。しかし審議は政府の介入を受けて延期された。イスラエル政府は「歴史的事件は我々の扱うところではない」と述べた。
フランスに続きイスラエルにおいても1915年事件に関する法案が国会に提出されたが、政府の干渉を受け、会合ではいかなる結論も出なかった。イスラエル 議会クネセト教育・文化委員会は昨日、1915年に起きた事件を「アルメニア人虐殺」として認めること、「アルメニア人虐殺追悼記念日」を制定すること、 この事件を教科書に載せることをねらいとする法案を、公聴会で取り上げた。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の指示で外務省が介入したため、この会合ではいかなる決定ももたらされなかった。会合の最後には委員会による法案承認のため投票が行われる予定だった。しかし委員長は、いずれこの件も再検討するとしつつも、具体的な日程は明らかにせずに審議を延期した。
■外務省の反対
イスラエル外務省のスポークスマンであるイガル・パルモル氏は、「1915年に起きた悲劇は議論されねばならない。イスラエルは、このような議論は開かれ た場でアカデミックな空気のなか事実に基づいて行なわれるべきだと考えている。我々はこの件が政治的議論の道具にされないよう望んでいる」と述べた。
イスラエルの左派新聞ハアレツ紙も、イスラエル外務省が委員会に警告を出したと報じた。ある関係者は「我々(訳注:トルコとイスラエル)の関係はデリケートで危うい。決定的な一歩を踏み出すわけにはいかない。この件は慎重に扱わなければならない。このような動きは深刻な結果を招きうる」と述べた。
この議論は議員たちを二分した。法案を支持する議員は、「ヨーロッパでユダヤ人が体験したことを忘れてはならない。我々はあらゆる虐殺に対し反対の姿勢を 示さねばならない」と述べ、トルコとの関係は既に破綻しているため(虐殺として)認めるにあたって障害は存在しないと話した。議案に反対する議員は、トルコがフランスでこうした法案が通過した際に取った姿勢を指摘し、「関係がデリケートな時期にこうした決定を下すことはできない」と述べた。
■歴史は当初から明白だった
メレツ党のザハヴァ・ガルオン議員は、「長年の間、イスラエル政府は戦略的、経済的理由とトルコとの結び付きのために、虐殺と認識することを拒否してきた」と述べ、道徳的責任はこうした理由の外にあると主張した。
(教育・文化委員会の)アレックス・ミラー委員長は、この会合とトルコ(との関係)の間には何の関係もないと強調し、「これはあくまで教育に関する問題である」と述べた。 カディマ党のオトニエル・シュネラー議員は、法案に対し最も明確に反対を表明している議員の一人である。シュネラー議員は、「この問題を、我々が修復しようと努めてきた対トルコ関係と無関係なものとして考えることはできない」と述べた。ハアレツ紙も、「イスラエルはトルコを挑発しようとしている」と解釈している。2007年にも同様の法案が却下されていた。最近では8か月前にイスラエル議会に法案が提出されたものの審議は延期されていた。
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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:24976 )