■「同胞団」はコプト教徒の懸念鎮静化を試みる
2011年12月29日『アル=ハヤート』
【カイロ:アフマド・ムスタファー】
エジプトの「ムスリム同胞団」は、同胞団が政権を取ることを懸念する人々を安心させるため、多方面で活動し始めた。軍最高評議会、西欧、実業家、諸政治勢力に向けたメッセージを送った後、今度はコプト信徒にメッセージを送る番が来た。すなわち、同胞団はその歴史上初めて神聖な生誕祭に参加するつもりだと発表したのである。
同胞団はキリスト教団体に対し、「一つの社会を引き裂こうとする騒乱を求める機会を与えない」ように呼びかけた。そして、同胞団は軍に対し来月の第1週の生誕祭の期間中、教会を保護するよう要求した。この要求は、「犯罪的な手、恥知らずな指がかかる祝祭を汚すのに届かないよう」保護を求めた。また、同胞団は、この目的で人民委員会に参加するつもりだと発表した。
2月に失脚したフスニー・ムバーラク元大統領が打倒された後、イスラーム主義潮流が公然の場に台頭して以来、エジプトの政治的領域では対立状況が起きた。この対立状況はイスラーム教徒とコプト信徒の間の将来の平和的共存への懸念を引き起こした。また、議会選挙は、競合する諸会派・諸潮流の間で「宗派的選別」を強化した。議会選挙は、来週に第3段階に入る。
コプト信徒の大部分は、過激な潮流が政権を獲得することを恐れる状況に陥った。コプト信徒の活動家は、数百名のキリスト教徒が過去数カ月間、エジプトから遠ざけられているとの印象を抱いたと繰り返した。この懸念は、「同胞団」にキリスト教徒の恐れを鎮める試みをとらせた。同胞団は、選挙結果で先行し、議会の多数派を獲得すると予想されている。この試みが、イスラーム主義者の指導部、特にサラフィー主義の潮流の発言と大いに衝突するとしても、同胞団はキリスト教徒の恐れの沈静化を試みることとなった。サラフィー主義潮流は、選挙で第2位の座を占めた。同様に、「同胞団」自身も、コプト信徒が大統領の座につくことを拒否している。
同胞団は、生誕祭という機会を放置することなく、活用することを望んだ。すなわち、同胞団は昨日(28日)の声明で以下のような祝辞を送ったのである。「我らが同胞たるキリスト教徒へ、それだけでなくムスリムへ。神・至高なる天・理想像の預言者たるイエス様の生誕の機会に。クルアーンはどこであろうともイエス様を祝福し、イスラームの信仰箇条のテキストから、彼への信心をもたらした。」
同胞団は、最高軍事評議会と警察に対し、「選挙期間中に選挙委員会を警護したのと同様に教会を警護すること」を要求した。そして、同胞団が「教会警護に参加するため、ムスリム同胞団からなる人民委員会を編成するであろう。これは、罪深い手、恥知らずな指が生誕祭に及ばないようにするためのことである。かつての堕落した体制の手は、繰り返しキリスト教徒の祝祭に及んでいた。」と指摘した。
同胞団は、この措置は「お為ごかしでも、嫌々でもない。そうではなく、祖国の同胞と人道主義に対する我々の感情・原則・立場の真実である。このような真実は、長きにわたるエジプト復興建設の歴史を通じた真実である….。我々は、高貴な精神の回復に努めている。高貴な精神とは、1月25日革命の間に顕現した精神である。」と強調した。そして、同胞団は「(高貴な精神の回復で)我々を支援するよう、そして、騒乱を呼びかける者どもに機会を与えないよう呼びかける。騒乱を呼びかける者どもは、不当にも騒乱を欲しており、単一のエジプト社会を引き裂こうとしている。」と呼びかけた。さらに、同胞団は副監督官のマフムード・イッザト博士を代表とする行為の代表団が、教会からの招待に応じ「(生誕祭という)高貴な時節を祝う義務を果たすであろう」と発表した。
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( 翻訳者:増田里紗 )
( 記事ID:24999 )