バフマニー中央銀行総裁「中央銀行への制裁に効果なし」
2012年01月02日付 Jam-e Jam 紙

 バラク・オバマ米大統領は不満を漏らしながら、イラン中央銀行への制裁法案に署名をした。その一方で、バフマニー中央銀行総裁は、今回の制裁は国の銀行システムや経済部門の働きに何ら影響を与えないとの認識を示した。

 ジャーメ・ジャム紙記者の報告によると、米大統領は総額6620億ドル規模の新たな米国防予算法に署名をして、ハワイでの休暇を開始した。この法律の補足条項には、ホワイトハウスの再三にわたる反対にもかかわらず、イラン中央銀行と取引のある企業や組織への罰則を定める内容も含まれている。

 米上下院は昨年(西暦)の12月中旬、この補足条項を可決した。当初、ホワイトハウスはイラン中央銀行への制裁条項への反対を明確に示していた。この制裁によって米の同盟国の間に〔米への〕不満が生じ、また原油市場にもショックを与える可能性がある、というのがホワイトハウスの考えだった。米政府はまた、この制裁によって、自国とヨーロッパ同盟国の病んだ経済に害を及ぼすことにも、懸念を抱いている。

〔‥‥〕

 この条項には二つの但し書きがある。第一に、イラン中央銀行への制裁開始には6ヵ月間の猶予が与えられている。第二に、国家安全保障上の利益を理由に、イラン中央銀行と取引を行った組織に対して想定されている罰則の一部を科さない権限を米大統領に与えている。このことは、イラン中央銀行に対する制裁は、一部机上のものにすぎないということを意味しうる。

 バラク・オバマ米大統領は、新たな米国防予算法及びイラン中央銀行関連の補足条項に署名する際、米下院の決定に対する不満を隠そうともせず、「私がこの法律を支持したからといって、これに含まれているすべての条項に同意しているわけではない」と述べている。

イランの反応

 他方、オバマ米大統領が中央銀行制裁法に署名した頃、イランでは第151回中央銀行年次総会が開かれていた。

〔‥‥〕

 ジャーメ・ジャム紙記者が入手した情報によると、この総会で中央銀行総裁は、これまでの諸々の制裁を無力化するために同行が行ってきた施策・計画についての報告書を提出した。

 中央銀行の広報も、マフムード・バフマニー総裁がこの総会の中で、制裁に対する同銀行の対策について触れた上で、「中央銀行による計画立案と抑止的施策によって、このような制裁は銀行システムならびにその他の経済部門の働きに最小限の影響しか与えてこなかったし、これからも与えることはないだろう」と述べたことを伝えている。

外貨準備は国内に移動

 同総裁によると、中央銀行は近年、制裁の中身を観察し、国の海外資産が凍結されるのを阻止すること〔‥‥〕に真剣に取り組んできたという。

 バフマニー総裁は「中央銀行は89年〔西暦2010/3〜2011/3〕に約170億ドルの準備金を国内に移動させ、〔‥‥〕海外資産の多様化(金資産の増加)を図ることで、国際市場の変化から最大限の利益を確保することに成功した」と述べた。

世界はアメリカを嗤っている

 他方、メフル通信は米議会による対イラン中央銀行制裁法案は〔イランを陥れるための〕政治的策謀だとする中央銀行総裁の発言を伝えている。同総際は、中央銀行への制裁の可能性について、次のように述べたという。「西洋諸国の中には、政治的議論を始め、中央銀行の独立性を無視する国があるようだ。実際には中央銀行は独立しており、世界中のどの中央銀行も政府には従属していない。それゆえ、中央銀行への制裁は原理原則から外れた、不条理なものだ」。

 同総際はその上で、「国民を制裁の対象としては、断じてならない。このような行為は利己的なものであり、〔国際的な〕基準・原則から外れたものだと言える。世界もそれを非難している」と指摘した上で、「イラン中央銀行に制裁を科そうとしていることについて、世界はアメリカを嗤っている」との見方を示した。

 他方、メフディー・ガザンファリー鉱工業商業相は、中央銀行に対する制裁はイラン経済に対する西洋の植民地主義者たちの最後の武器だと指摘し、「制裁は〔イランに対して〕ダメージを与え始めており、中央銀行を制裁の対象に加えれば、イランも窮地に陥ると考えている人たちがいる。しかし、われわれは彼らとは反対のことを考えている。というのも、これは彼らの最終兵器、最終テストなのであり、〔これを乗り切ってしまえば〕これ以降、制裁など無意味になるからだ」と語った。

〔‥‥〕

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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:25069 )