ダマスクスは午後6時になると一日が終わったようだ
2012年01月08日付 Yeni Safak 紙
バッシャール・アサド大統領の招きによりシリアを訪れている至福党訪問団は、ダマスクスとフムスでひと気のない街を目の当たりにした。3月に始まったデモで何千もの人が亡くなったダマスクスとフムスでは、人々が家から外に出なくなってしまっている。諸文明の都であるダマスクスでは午後6時になると一日が終わったようになってしまっている。
至福党ムスタファ・カマラク党首および訪問団が、バッシャール・アサド大統領の招きにより実現したシリア訪問は、3日目にはいった。訪問団は20人からなっている。
この訪問は、バアス党政権がシリア国民に行った弾圧を白日の下に晒した。ダマスクスでは、3月に始まったデモでの大量殺戮ののち、昔の華やかなりし日々の面影はどこにもない。中東における諸文明の中心のひとつであるダマスクスは、沈黙に包まれた。至福党訪問団が、シリア当局が付き添う中行った市場や商店街の見学においてさえ、国民への弾圧を感じさせる。シリアの人々はアサド政権に賛成だと話しているが、ダマスクスでの人々の暮らしは、これとは正反対のことを物語っている。午後6時以降、首都ダマスクスでは、どこであれ一日が終わっているかのようである。
■外は兵士でいっぱい
ダマスクスのレストランにはほどんど客がいない。当局が訪問団を連れて行った夜のレストランでさえ、訪問団員以外客はいない。ダマスクスで制服を着ている人(警官や兵士)の数は、普段に比べて4-5倍増加している。どの街角にも兵士か警官を見ることができる。アサド政権に反対する暴動が起こった中心のひとつであるフムスでは、最近当局がほとんどをコントロール下においているというのが現状である。ダマスクスから遠くにあるにも関わらず、フムスの公的スポークスマンが行った発表ではすべて、ダマスクス当局に賛成する発言をしている。アサド政権は機会を見つけるごとに、国民に対する大量殺戮は行われていないというメッセージを発しようとしている。
■ウマイヤ・モスクでアサド大統領のプロパガンダ
アサド政権は、体制のプロパガンダをメディアと宗教関係者らを通して行っている。新聞やテレビなどで引き続き、「トルコは我々の同胞であるが、トルコ政権は間違っている」と強調している。商店街の人々の一部はこれを信じてしまっている状況だ。エルドアン首相がダボス会議で中途退席したこと(訳者註:2009年1月ダボス会議でのガザ関連討論会で、イスラエルのペレス大統領の発言に抗議し、中途退席した『事件』)やマーヴィ・マルマラ号事件が取り上げられ説明され、「エルドアン首相はこれについては正しいことをした。しかし今は、誤っている」としている。ダマスクスと中東のもっとも重要なモスクのひとつであるウマイヤ・モスクでの金曜礼拝においてさえ、アサド政権は擁護されている。当局から情報を得ていたイマームは、トルコ人がモスクにいることを知り、メディアを通して発せられたのと同じような言葉をフトベで述べている。すなわち「トルコ人は我々の同胞である。アメリカ合衆国とイスラエルはムスリムを分裂させるためにシリアを混乱させようとしている。イラクやリビアのようにならないために、我々はともに行動を起こさなくてはならない」。しかしウマイヤ・モスクでの礼拝の後に行われた談話会はかつてのようなものではない。かつては地域で信頼を得ていたウラマーらが会話の輪を作っていたのに、今日はその輪を見ることはできない。
■シリアで野党の条件
至福党ムスタファ・カマラク党首は、シリアのバッシャール・アサド大統領と行った会見で、民主主義を強調した。同胞の血が流されるのを食い止める必要があるとするカマラク党首は、「議会でも、メディアでも『野党』勢力ができるべきだ。外国の干渉を我々は残念に思っている。西欧諸国は、どこに行っても略奪をおこなっている。イスラム諸国では同胞たちは残念ながら、互いに殺し合いをしている。双方が使っている武器は帝国主義者の武器である。こうした事態はムスリムらに起こっているのであり、帝国主義者の財布は膨らんでいる」と述べた。バッシャール・アサド大統領は2月までに新憲法が発布されるとし、「新憲法を待たずに非常に重要な改革を実現させた。みなこのプロセスができるだけ早く完了することを期待している」と述べた。
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( 翻訳者:倉田杏実 )
( 記事ID:25118 )