イラク、ホルムズ海峡閉鎖にともなう損失の予測見解は様々
2012年01月15日付 al-Hayat 紙


■イラク、ホルムズ海峡閉鎖にともなう損失の予測見解は様々

2012年01月15日『アル=ハヤート』

【バグダード:ナスィール・アル=フスーン】
 イラクの石油省の報道官アースィム・ジハード氏は、イランによるホルムズ海峡閉鎖がイラクの石油輸出収益に与える影響は少ないと発表した。氏は「ホルムズ海峡が閉鎖された場合、国際市場において石油価格が1バレルあたり300ドルまで上昇する見込みだが、イラクは輸出量の4分の1をトルコ経由で輸出することにより、収益を守り続けるだろう」と明言している。

 ジハード氏は『アル=ハヤート』向けに語った中で、「イラク南部の港からの輸出量は、一日175万バレルに達する。一方、トルコの港経由での輸出は約45万バレルであり、合わせて石油輸出量全体の80%を海の港から輸出している」ことに触れ、ホルムズ海峡閉鎖の影響については「他の湾岸諸国よりは非常に小さい。特にイランは、極めて多大な損害を蒙る。」サウジアラビア、イラン、アラブ首長国連邦、クウェイト、イラクなどから輸出される石油と、カタールから輸出される天然ガスの大部分は、オマーンとイランの間に6.4キロメートルほど広がるホルムズ海峡を通っている。ジハード氏は、可能性として「イラク北部のみの一日あたりの石油増産能力は一日当たり45万~60万バレルであり」「ホルムズ海峡が閉鎖された場合、石油価格は1バレル100ドルから300ドルに跳ね上がるだろう。そうなればイラクは南部での損害を北部の経路からの輸出でまかなうことになる」と語っている。

・輸出経路
 イラクにおける石油輸出経路についてジハード氏は、「一日あたり600万バレル以上の輸出を扱っている南部の港はもちろん、トルコのジーハーン港やシリアの港、それに加えて二本のパイプラインを敷設した後は、一日250万バレルに達するように修復可能な以前のラインがある。これはシリアとも最終合意に至っている。ヨルダンとの間ではタンク車のみで輸出されている。サウジアラビアとは1990年に停止したラインがあるが、これはサウジ側からの修復に対する決定を必要としている。」と述べた。

 一方イブラーヒーム・ハバル・アル=ウルーム 元イラク石油大臣は、「ホルムズ海峡が閉鎖された場合のイラクの損害は、一日あたり2.5億ドルに達する」と予測している。

 また議会の経済対策委員会のメンバーで、経済の専門家であるヌーラ・アル=バジャーリー氏は世界経済は、「回復期にきている。特に輸出量やイランがホルムズ海峡閉鎖を決めた場合の価格上昇に関しては、如何なる新たな危機も想定されない。全ての消費国と輸出国がこれを食い止めるよう働きかけるでしょう。」と明言した。イラク港湾運営当局は『アル=ハヤート』の取材に答えて、4つの港、すなわちアブー・フルース、アル=マウカル、フール・アッザビール、ウンム・カスルの各港において、機能が戻れば、荷降ろし効率を、多種多様な品物を積んだ2209船舶以上、積載量で年間1300万トン受け入れることができると語った。
 国内の学識経験者アマード・アル=ウブード氏の見解によると、イラク南部の港は「イラクの肺であり、それ以外の港をイラクは所有していない。それゆえホルムズ海峡閉鎖は、代わりのルートはコストがかかるであろうことから、イラクの商業を窒息させる。」また『アル=ハヤート』の取材のなかでは、「イラクの輸出品の92%は石油であり、海峡閉鎖でその80%が損なわれると考えると、経済に相当大きな影響を与える」との点も強調した。
 また経済学者ジャミール・アントワーン氏は、イラク・マーケットは「商品需要の85%を外国に依存しており、その半分は南部の港から入ってきている。この事態は需要と供給の混乱を引き起こし、他方で物資の不足や必要を補う国産の代替品は我々にはない。」と説明している。

Tweet
シェア


原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:梶原夏海 )
( 記事ID:25212 )