仏「アルメニア虐殺否定罪」、憲法委員会へ提起、審議へ
2012年02月01日付 Zaman 紙
フランス議会で可決されたアルメニア法案の施行停止の提起がフランス憲法委員会に対し行われた。憲法委員会は1ヶ月以内に決定を下す。
フランスの国民議会と上院議会で可決された「アルメニア虐殺否定罪」法案に反対の意を表している上院議員及び国民議会議員は、「憲法第33条と表現の自由に反するとして」昨日憲法委員会に対し申し立てを行った。与党の国民運動連合(UMP)メンバー兼仏土議員友好団体会長ミッシェル・ディーフェンバッハー氏の努力により行動を起こした国民議会議員65人、そして上院でも欧州民主主義社会団体(RDSE)上院議員ジャック・メザード氏の呼びかけで77人の署名が集まった。署名の中には上院議会副議長バリザ・キアリ氏、社会主義上院議員のニエヴル・ガエタン・ゴルス氏、ディディエ・ブロ氏、UMPの元会長で上院議員のクリスティアン・ポンスレ氏、元憲法委員会委員長のジャン=ジャック・イェスト氏の名前が見られる。RDSEからもメザード氏の他にジャン・ピエール・シュヴンモン氏、文化委員会会長マリー=クリスティーヌ・ブランダン氏、環境保護団体のジャン=ヴァンサン・プラス氏も署名した。
■「これは政党の問題ではない」
委員会へと向かった議員らは、「この議論は右派だ、左派だという政党の問題ではなく、法の問題である」と明らかにした。議員を代表して発言をしたジャック・ミヤード氏、ミッシェル・ディーフェンバッハー氏、フランソワ・コルヌ=ジョンティーユ氏は、「この法案には上院と国民議会の両方で、与党も野党も投票した。今また与党、野党、双方の議員が反対の意を唱えている」と述べた。「これは議会や政府の問題ではない」と強調する議員らは、この法案は政府が提案したものではなく、UMP所属のヴァレリー・ボアイエ議員が提案したものだと指摘した。議員らは、12月22日に行われた議会での投票で、政府は決定を議員の良識的判断に任せたと主張し、「反対の申し立ては、フランスと世界のアルメニア人が受けた痛みを見て見ぬふりするということにはならない。我々の目的は、フランス憲法と表現・言論及び調査の自由に見合った行動をすることだ」と述べた。議会が3年前に設立した調査委員会の報告書で明らかにされたように、議会が行った歴史を書か(きかえ)ないようにとの警告に沿った行動であると強調した。9人のメンバーから成る委員会が1ヶ月以内に法案が「合憲かどうか」の決定を下すことになっている。同法案では、「アルメニア人虐殺を否定した者」へ1年の禁固刑と45,000ユーロの罰金が科されることになっている。
■サルコジ大統領は非常に不快感を覚えた
サルコジ大統領はある議員団体との会談で、上院と国民議会議員が「法案の施行停止の提起」を行ったことに不快感を覚えたと説明したことが明らかになった。サルコジ大統領は「この行動は私にとって全く役に立たない」と述べたと伝えられた。
■トルコから感謝のメッセージ
フランスでアルメニア法案を憲法委員会へ持ち込んだ国民議会議員と上院議員らに、トルコから感謝のメッセージが降り注いだ。
■アブドゥッラー・ギュル大統領
「フランス人が、自国を貶める[法案承認という今回の]行動を認めるとは思わない。私たちが見る限り、このプロセスはこうやって進展していく。今後憲法委員会は必ずや正しい決定を下すだろう。」
■レジェプ・タイイプ・エルドアン首相
「署名をした上院議員と国民議会議員へ、心より感謝の意を表したい。まさにこれこそがフランスの政治家だ。フランスの価値に反するような一連の出来事は、再びフランスの価値に合う状態に戻るだろう。」
■アフメト・ダヴトオール外相
「上院議員と国民議会議員は自分たちの価値を守ったのだ。今やるべきことは、辛抱強く憲法委員会の決定を待つことだ。一連の出来事の最後にはトルコとフランスが友好関係を築くことを祈っている。」
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( 翻訳者:釘田遼香 )
( 記事ID:25420 )