対独訴訟、却下―「アルメニア裁判」かかえるトルコに、朗報
2012年02月06日付 Milliyet 紙

イタリアの裁判所でドイツに対して始められた裁判が、国際司法裁判所によって棄却されたことは、「アルメニア側の訴え」により、様々な国の裁判所で、トルコに対して開かれるであろう裁判の前例となり得る。

イタリアの裁判所で、ドイツが第二次世界大戦時に犯した罪について始められた裁判が、国連の司法機関である国際司法裁判所によって棄却された。ドイツの、一国が行った行為のために、他の国の裁判所で裁判が行われることは「裁判権免除」の原則に反する、との主張が、国際司法裁判所によって受け入れられた形だ。裁判所は、「人道に対する罪」であっても、(国連が定める)規約が優先されることを示し、他国の裁判所が、別の国家の行為を裁いてはならないと結論付けた。

(国際司法裁判所の)決定によれば、今後、アルメニア人虐殺問題について、他国の裁判所で行われるであろう裁判に対して、トルコも同様の理由で国際司法裁判所に申し立てを行い、裁定を得られる可能性が出てきた。ケレム・アルトゥパルマク助教授は、決定について、「決定は、フランスにおける、アルメニア人虐殺を否定することを禁じた法律に基づいて行われる裁判に関するものではありません。なぜなら、彼らは自分たちの国におけるある行為を裁くことを議論しているからです。しかし、アルメニア人が、1915年に遭遇した被害に対して、他の国でトルコに対して裁判を行うという行為が差し止められるという点で、判決は重要な意味を持っています」と述べた。
国際司法裁判所は、2月3日に、結果がトルコにも関係する重要な決定に署名した。

■ドイツのイタリアへの異議申し立て

ドイツは以前、イタリアの裁判所で第二次世界大戦中の(ドイツによる)人道に対する罪について始められた裁判は、法に反するとして、国際司法裁判所に提訴していた。イタリアは、国際司法裁判所に対する弁論で、ドイツによる提訴で問題とされているイタリアにおける訴訟は、第2次世界大戦時にドイツ政府によって生存権を侵害された人々と、ドイツに強制連行され、戦争捕虜のカテゴリーに入れられず、強制労働させられた人々の近親者たちが、イタリアの裁判所に訴えたために行われたものであると述べた。
さらにイタリアは、罪が、「人道に対する罪」のカテゴリーに属するため、裁判所が裁きを行い、ドイツに対して判決を下すとした。一方でドイツは、ギリシャにおいても同様の裁判が開始され、裁判所はドイツに対する決定を下したが、この決定が適用されないために、ギリシャ人はイタリアの裁判所に提訴したことを明らかにした。ドイツは、イタリアの裁判所はこのことによって国際法を侵害したとし、国際法に従って設立された基金によって、第2次世界大戦時の損害賠償については努力がなされており、この枠外で一国の裁判所が下した決定は裁判権免除の原則に反しているとした。

■国家は他国では裁かれない

国際司法裁判所は、2月3日、ドイツが提訴した問題に判決を下した。同裁判所は、イタリアの、国際法の基本原則の重要な部分が侵害されたとの、そして、「人道に対する罪」は裁判権免除の適用を受けないとの見解に同意せず、本件が裁判権免除の例外とはならないと結論付けた。
国際司法裁判所は原則の重要性を示し、「人道に対する罪」であっても、ある国の行為を、他の国の裁判所で討議することはできないことを強調した。

■トルコにとっても同等の貢献が期待?

アンカラ大学政治学部のケレム・アルトゥパルマク助教授は、決定は、全ての国にとって重大な意味を持つとし、アルメニア人が1915年に遭遇した被害について、他の国で裁判を始める可能性があるため、トルコにとっては特に重要であると強調した。アルトゥパルマク教授は、トルコは、他国で開始されるであろう裁判について、(国際司法裁判所の)決定を一つの判例として、国際司法裁判に提訴を行い得るとした。アルトゥパルマク教授は、「決定は、フランスにおける、アルメニア人虐殺を否定することを禁じた法律に基づいて行われる裁判に関するものではありません。なぜなら、彼らは自分たちの国におけるある行為を裁くことについて議論しているからです。
しかし、アルメニア人が1915年に遭遇した被害に対して、他国でトルコに対する裁判が開かれるのを阻止するという点で、決定は重要な意味を持っています」と述べた。これによれば、トルコは(トルコに対する)裁判が他国で開かれた場合、その裁判に関係なく、事件は国際司法裁判所によって審議されなければならないと主張でき、また国際機関が事件に関し決定を下すよう要求できることになる。

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( 翻訳者:能勢美紀 )
( 記事ID:25462 )