バウシュEU担当相、アルメニア「虐殺」否定発言で物議―スイスにて
2012年02月06日付 Milliyet 紙


エゲメン・バウシュEU加盟交渉担当相がチューリッヒで行なった「アルメニア人虐殺は存在しない。私を逮捕したければそうすればいい」という発言に対し、事前聴取が開始された。(トルコ)外務省は直ちに動き、在アンカラのスイス大使に説明を求めた。

スイスのノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング紙の報道によると、バウシュEU加盟交渉担当相がダボス世界経済フォーラムの帰りにチューリッヒで行なった「アルメニア人虐殺は存在しない。私を逮捕したければそうすればいい」という発言に対しスイスのアルメニア人コミュニティが訴えを起こし、これを受けチューリッヒ検察庁は事前聴取を始めた。

チューリッヒ国家検事のクリスティン・ブラウンシュヴァイク氏は、ドアン通信社の取材に対し、バウシュ氏に関する事前聴取が行なわれたことを認め、次のように述べた。

「先週スイスの検察庁はこの件に関する申立書を受け取った。申立書は、バウシュ氏がスイス刑法261条の人種差別に関する項目に違反していると主張していた。スイス検察庁はこの主張を重大と見なし、事前聴取を始めた。現段階では、エゲメン・バウシュ氏が申立書に書かれているようなアルメニア人虐殺を否定する発言を実際にしたのか調査する。バウシュ氏に外交特権があるか否かということも確認する。その結果、法律に反するような状況が存在し、外交特権がないということになれば、この件について裁判を開く。」

■トルコから即座に反応

トルコは聴取に対し素早く反応した。
トルコ外務省参事官のフェリドゥン・スィニルリオール氏は、在アンカラのスイス大使であるライムント・クンツ氏を外務省に呼び説明を求めた。
スィニルリオール外務省参事官は、この件は「受け入れられない」とクンツ大使に伝えた。

■バウシュ氏「黙って結果を待つ」

バウシュ氏は先週、フランス上院議会が1915年の事件に関する法律を承認したことについてスイスの新聞記者から質問を受け、これに次のように答えている。

「これについては首相が言うべきことを言った。我々はこの決定に左右されない。フランスには良識の無い人よりも良識のある人の方が多くいることを信じている。スイスも、我々が知る限りでは、虐殺を否定する発言をすることが罪となる国である。我々は今スイスにいる。そして私は1915年の事件は虐殺では無いと言っている。私を逮捕したければそうすればいい。そうした力が作用するとは私は思わない。これは紙切れにすぎない。」

バウシュ氏はドアン通信社(DHA)の記者の取材に対し、広報担当官のジハンギル・シャーヒン氏を通して、この件について話すつもりはなく事前聴取が終わるのを待つと話した。

■公正発展党から批判

公正発展党のオメル・チェリキ副党首は、他人がどのように考えるべきか決定することは、政治もしくは司法による思想の自由の制限にあたるとし、現在チューリッヒ検察が行なっている制限が意味するものは異端審問の時代への後退以外の何物でもないと述べた。

チェリキ副党首は、「トルコ共和国の大臣に対し、自分の考えを述べたがために裁判を開くことは、到底納得できることではない」と述べた。

ベキル・ボズダー副首相も、アルメニア人虐殺を事実として主張することはトルコ国民に対する中傷であるとし、次のように語った。

「これは中傷であると、誰もがあらゆる場所で言うだろう。私には、実行不可能な法は『死した法』であるように思われる。なぜならトルコから国際舞台へ出ていく多くの政治家はいつも自分の考えを述べるはずだからだ。今の状況は思想と言論の自由と、学問研究(の自由)に反している。あちらで法治国家と民主主義への理解がどれほど未発達であるかということを示している。大臣は自分の意見を言ってはならないのか?ある国の大臣が他国で話すとき、その国で起きていることもしくは自分の見方に関する考えを述べてはいけないのだろうか?これほどくだらないことはない。エゲメン・バウシュ氏は自分の意見を述べた。エゲメン・バウシュ氏は自由な国の大臣である。彼が発言を行なった国は、自由というものに対しあまり忍耐力の無い国のように見受けられる。彼らも学ぶだろう。」

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:25463 )