義務教育12年化議論の一方で、就学前教育は棚上げか?
2012年02月23日付 Milliyet 紙

教育省は、2013年以降の就学前教育義務化に向け作業を開始している一方で、公正発展党(AKP)の法案では「義務化」はないとしている。

教育省は、2013年以降の就学前教育義務化に向け作業を進めている一方、AKPにより準備された12年間の段階的教育制度の中では、「就学前」について言及されていないことが注目される。現在、71の県で学童が就学前教育を受けている一方、法案はこのために就学前教育普及の妨げとなっている。教育省関係者は、「就学前」に関する諸目標のうち変更はなされないと発表しており、今日法案について議会教育委員会にて行われる会議では、オメル・ディンチェル教育大臣がこの問題を提起することが判明した。

■71県で義務教育

ヨーロッパ委員会が支援し、かつ1700万ドルの財政援助を取り付けているプロジェクトの一環として、過去、就学前教育を行った県の数は57県に達しており、今年は14県(イズミル、テキルダー、オルドゥ、コンヤ、エルズルム、ウードゥル、ゾングルダック、カスタモヌ、カイセリ、アンカラ、ディヤルバクル、ブルサ、カフラマンマラシュ、アダナ)がさらに運用に参加した。こうして、就学前教育を義務として適用している県数は71県に増えた。
教育省における全体計画は、就学前教育が来年にトルコ全体で義務教育される方向で進められている。物理的な施設不足を解決するために教育省は、慈善家に呼び掛けて資金援助の代わりとして幼稚園建設を望んだ。トルコ全体で、義務教育前に教育が行われている県では、就学率が67%に達しており、さらに11の県で17の移動幼稚園により教育サービスが提供されている。

■段階的教育の枠外に

AKPは、第18回教育評議会において、「推奨決議として挙げられた」1年制就学前義務教育について、「段階的教育」の中に含めなかった。評議会では、段階的教育に関して取り上げられた「1+4+4+4形式」に変更を申し立てたAKPは、この件を修正する法案を国会議長あてに提出した。法案では、12年制義務教育の枠内で就学前教育は、「義務」とはみなされなかった。AKP会派副代表ヌレッティン・ジャニクリ氏と数名の国会議員の法案は、今日の委員会で話し合われる。

■「後戻り」批判

トルコ教職員組合長、イスマイル・コンジュック氏は、就学前教育義務化が法案になかったことに反発を示しつつ、「これはとても深刻な矛盾です。就学前教育は71県で義務教育として続けられています。ここから後戻りすることになります。(このことは)政府が就学前教育を放棄したこと、教師と実際のインフラの必要性がまかなえないことを示しています。」と話した。教職員労働組合報道出版事務局長のトゥルル・ジュルファ氏も法案が義務教育を実質的に4年に引き下げたとした。

■教育省は何を言ったか、何が起きたのか?

教育省は、2010年~2014年の戦略的計画において、就学前教育のために次のような表現を用いている。
(就学前教育とは)「0~5歳のグループの子どもたちが体力的、精神的、感情的、社会的に発達するのを支援し、彼らを社会の文化的価値に向かって方向づけ、基礎教育全体のなかで初等教育の準備となるような教育プロセスである。教育省は、この分野の教育活動を、公私立幼稚園、全ての正規教育機関及び非公式教育機関の枠組みの中での幼稚園や児童保育所、移動教室、そしてサマースクールで行われている教育プログラムにより実施している。正規教育の第一段階は、就学前教育である。3~5歳のグループの子どもたちは、この教育を受ける。この教育は、子どもたちの精神的、体力的、感情的発達や、良い行いを身につけ、初等教育への準備をし、好ましくない環境で育った子供たちに共通の生育環境を整え、トルコ語を正しくきれいに話すことができるようにすることが目的である。教育過程の最も重要な段階であるこの時期に、身につける能力は、今後の生活のすべてに影響を与えるものである。」

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( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:25660 )