ダム工事で大事故、10名行方不明―アダナ県コザン郡
2012年02月24日付 Radikal 紙
アダナ県コザン郡ギョクス川のギョクデレ・キョプリュ・ダムの堰が決壊し、その結果ダムの建設現場で働いていた作業員の内、10名が水にのみこまれ行方不明となった。
コザンから40キロ程の距離にあるギョクデレ・キョプリュ・ダムのトンネル周りが決壊した後、行方不明になったとされていた4名の他、新たに6名の作業員が行方不明になっているという。この結果、濁流にのまれたとされる作業員の数は10名となった。
捜索救難活動を見守る行方不明となった作業員達の近親者達は、大きな希望とともに、ダム現場からの朗報を期待し始めた。作業員の近親者達は、ダムの堰に亀裂が生じたことを、また2日前に亀裂が入った箇所に土嚢が積まれたことを主張した。亀裂を塞ぐために土嚢が積まれたにもかかわらず、今日ダムの堰の亀裂が大きく開き、その後決壊したとされる。
行方不明となっている10名の作業員の安否はいまだ分からないと話す村人達は、「まだ報せは得られていません。携帯電話もつながらず、本人たちとも連絡がとれていません。従ってダムの水にさらわれてしまったのかもしれないと私たちは考えています」と口々に述べた。
■ 捜索救難活動は翌朝に再開予定
アダナ県コザン郡のイゼッティン・セヴギリ郡長は、郡内のギョクデレ・キョプリュ・ダム排水トンネル周りの決壊後に始められた捜索救難活動が、夜間は行うことが出来ず、翌朝に救出活動を再開する予定であると述べた。
セヴギリ郡長は、新聞記者達に対し、キョプリュ・ダムの排水トンネル周囲が13時から13時30分の間に決壊し、また程なくしてここにその知らせが届いたと説明した。
点呼・確認作業が行われ、10名が行方不明であることが明らかになったと説明するセヴギリ郡長は、「事件で2名の負傷者が救出されました。現在彼らは国立病院で治療を受けています。命に別状はありません」と語った。
捜索救難活動を夜間は継続出来ないとしたセヴギリ郡長は、以下のように続けた。
「夜間は水位がとても高いことはご理解いただけるでしょう。我々の予測では明日朝には水位は下がるはずですので、明け方頃には捜索救難活動を再開する予定です。捜索救難活動には国立医療捜索救助チーム(UMKE)、警察のダイバー、県災害緊急事態対策局の複数のチーム、それからコンヤから一機のヘリコプターが到着しました。ヘリコプターは、先端技術を備えており、水上から捜査を行います。朝には再び戻ってくる予定です。全員が一丸となって作業にあたっており、請負会社の責任者とも連絡をとっています。行方不明者達のご親族の方々とも我々は連絡をとっており、情報も提供しております」と述べた。
セヴギリ郡長は、決壊の原因調査は今後実施される予定であり、原因を現段階で述べることは不可能であるとした。
■ 作業員の数は減っていた
ダムに作業員を運んでいた送迎バスの運転手であるザファル・カラジャさんは、「ダムでは2~3社の下請け業者が、それぞれ別の場所で作業をしていました。ダム建設は後三ヶ月間程で終わる予定だったので、仕事量は減っていました。ダムには日中と夜間で別々のシフトが敷かれています。私が送っていった作業員達は夜間シフトで働いていたため、彼らは無事でした。トンネルで決壊が起こったため、そこで作業をしていた作業員たちが事故に巻き込まれたそうです。行方不明者の数については誰も何も言っていません」と話した。
■ アダナ県知事の談話: 10名の作業員は点呼で確認出来なかった
アダナ県のヒュセイン・アヴニ・ジョシュ知事は、建設現場の監督が行った点呼により、10名の作業員が行方不明であることが確認され、またその内の何名かは、どこかに避難している可能性があると語った。ジョシュ知事は「この者達が行方不明なのか、或いはどこかに避難しているのかについては調査中です。現場で必要な作業は全て行っています」と語った。
■ 治療は継続中
濁流から救出されコザン国立病院で治療中の作業員、ザキル・エルデムリさん(31歳)とメフメト・アクソイさん(52歳)は命に別状がないという。
水にのみこまれ安否が分からない10名の作業員は以下の通りである。
エルタン・イェエンさん、ジュマリ・デイルメンジさん、ラティフ・デイルメンジさん、エルダル・デミレルリさん、エユップ・アルトゥンタシュさん、メフメト・ユルマズさん、ハサン・ボラトさん、ヴェリ・ダマクスズさん、セラハッティン・アラルさん、ネジュメッティン・カライイトさん。
■ 450メートルのトンネルが作られていた
民間企業によってギョクス川で計画され、145メガワットの発電量を有するアダナ・コザン・キョプリュ・ダム水力発電所の建設は2009年に始まった。計画の枠組みにおいて450メートルの長さのトンネルが掘削された。計画はジェンギズ社とオゼルトゥン社が共同で請け負っていた。ダムは2012年内に竣工されることが計画されていた。
■ 9,000万立方メートルの水が貯められていた
ギョクデレ・キョプリュ・ダムの貯水量は9,300万立方メートルであり、事件当時の貯水量は約8,000万立方メートルであったことが明らかにされた。トンネル口の破裂後、ギョクス川に秒速6,000立方メートルの水が流れ出たとされ、この水はイマームオール郡とアラダー郡の境に建設されているイェディギョゼ・ダムに流れたと言われる。
■ セイハン川流域にも脅威が及ぶ可能性
セイハン川上にあるイェディギョゼ・ダム、チャタラン・ダム、そしてセイハン・ダムの各貯水率も90%程度に達していることを明らかにし国家水道総局(DSİ)の担当者は、水を溜めておくことは危険であり、ダムの水門は自動的に開放され、流れ込んできた水を海に放出する作業が行われていると述べた。DSİの担当者は、アダナでは放流水による危険性は低いものの、セイハン川流域の住宅と農業用地に悪影響が及ぶ可能性があり、また川が海に注ぐトゥズラ河口域にも浸水が生じる可能性があるとした。
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( 翻訳者:濱田裕樹 )
( 記事ID:25670 )