仏憲法委員会は、アルメニア虐殺を否定することを罪とする法案が違憲であると結論付けた。同判決後に、ニコラ・サルコジ仏大統領は、政府に新法案を作成するよう求めた。
憲法委員会は、同法案が表現の自由に抵触していると発表した。同委員会は、発表で「従って委員会は、同法案が違憲であると判断した」と述べた。
さらに同発表では、「委員会は立法者が認定した、あるいは罪と定義付けた事実に異論を唱える者が刑罰を受けた場合、立法者は表現の自由を侵害しており違憲であると結論付けた」と言及された。
但し、委員会は、その適正妥当な決定において、2001年に承認された1915年の事件が「虐殺」であると認める法には触れず、問題の法が審議に上る危険性を取り除いた。
■ 調査は手順を踏み、かつ抜本的に実施された
国民議会及び上院議会で可決後、先月、国会議員65名、上院議員77名の署名で憲法委員会に送られた「アルメニア虐殺否定罪」法案は以上の通り棄却され た。異議申し立てでは、同法が仏憲法第34条及び欧州人権条約第10条で保障されている「表現の自由を侵害」していると主張されている。
ジャン=・ルイ・ドブレ元下院議長が議長を務め、11名から成る憲法委員会が実施した投票に委員8名が参加した。
ユベール・アーネル委員とジャクリーヌ・ド・ギエンシュミット委員は、以前、同法に異議を表明しており、また、前大統領のジャック・シラク委員はアルツハイマー病を発症し、また有罪判決を受けているため投票に参加しなかった。
委員は本日の審議で、手順を踏み、かつ抜本的に虐殺否定禁止法が合憲であるかどうか調査を行った。
■ トルコは決定に満足している
アフメト・ダヴトオール外相は、決定が前向きなものであると強調し、委員らに賛辞を贈った。同外相は、同法の再発議が「重大な過ち」となるであろうと伝えた。
更に、ダヴトオール外相は、フランスとの経済・政治・軍事的な関係の再構築に関しては、閣議決定に委ねられるであろうと付け加えた。
■ ダヴトオール外相:重大な過ちが正された
公正発展党副党首兼NATO議会会議トルコグループのメンバーであるオメル・チェリキ氏は、同決定を受けトルコは、対仏追加制裁を実施しないであろうと伝えた。
NTVに語ったチェリキ氏は、「仏政府が同法案を別の手段で再発議しようと努めるのであれば、同様の緊張状態が継続するであろう」と述べた。
ビュレント・アルンチ副首相は、同法の棄却に関し「仏・トルコ間で予想されていた大危機は回避された」とコメントした。
更に、在トルコ仏大使館は、同法案の棄却を「喜んで歓迎している」と発表した。同大使館のエンギン・ソラクオール報道官はAFP通信に対し行った発表で、当該決定が両国関係を修復するよう願っていると伝えた。
一方、憲法委員会の決定に関しコメントしたエゲメン・バウシュEU加盟交渉担当大臣は、「分別が愚行に勝利したのだ」と語った。
■ サルコジの新たな思惑
ロイター通信の情報によると、憲法委員会の棄却決定を受け、サルコジ仏大統領は政府に新法案作成を指示した。
その後、同趣旨の法が議会で審議されるためには、法案を棄却した憲法委員会の正当な事由に基づき、まず憲法改正が必要であると言及されていた。
サルコジ大統領が支持表明した同法案は、12月に国民議会、1月に上院議会で投票が行われている。同法案では、アルメニア虐殺を否定した者に一年の禁固刑と45,000ユーロの罰金が科されることになっていた。
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( 翻訳者:藤井庸平 )
( 記事ID:25704 )