パレスチナ:労働市場における女性の経済的劣位
2012年02月29日付 al-Hayat 紙

■イスラエルによる就業規制、パレスチナ人女性への経済的負担を悪化

2012年2月29日『アル=ハヤート』

【ムハンマド・ウワイス】

「パレスチナ中央統計局」から発表された指標は、パレスチナ自治区で就業しているパレスチナ人女性の割合が、2006年末に14.5%へ達したと明らかにした。また、複数のランクにおける失業率は20.5%に達したと明らかにした。一方、男性の就業率は、67.7%、失業率は24.2%に達した。

「アッ=ザイトゥーナ調査・コンサルタントセンター」が発行したイスラエル占領下でのパレスチナ人女性の苦難を取り上げた書籍に掲載された資料によると、ヨルダンで就業しているパレスチナ人女性の割合は、離散パレスチナ人のうち最も低く、2000年に12.9%となっている。同年、シリアでは就業率が18%、失業率が18.3%に達した。レバノンでは、パレスチナ人女性の就業率が、1999年に16.8%に達し、失業率は18.4%に達した。

従来の役割

パレスチナ社会では、女性就業率が歴史的に低かった。しかし、占領によってより一層低下した。ヨルダン川西岸とガザ地区での労働状況に関する「国際労働機関(ILO)」の報告書によると、女性の就業率が少ないという数値が指し示していること以外に、農業や、家事、一族の中での仕事など、伝統的に、無報酬の基本的役割がこれに影響を及ぼしてきた。

ILOの報告書は、ヨルダン川西岸とガザ地区の労働市場に対して、占領が与えた継続的な規制が、貧困や失業の増加によって、パレスチナ人女性、特に非正規の労働市場や自営業における女性への経済的・心理的負担の増加を引き起こしたと指摘している。また、その結果、労働を強いられているパレスチナ人女性は、特に給料の面で、ますます搾取の対象になっており、このことは「世界銀行」から出された貧困報告書や、複数の人間開発報告書などの数多くの研究が裏付けていると指摘している。

ILOの報告書は、占領がパレスチナ労働市場での男女差別の報告につながったと述べた。また、ILOは、男女の労働形態が、ヨルダン川西岸とガザ地区で大きく異なったと指摘した。また、教育を受けた女性の数は男性を上回るにもかかわらず、女性の10人に1人しか、労働機会を獲得していない。

賃金に関しては、農業・サービス業両部門で、女性が受け取る時給が、男性が受け取る時給を上回っている。しかし、製造加工業、商業、ホテル、飲食店では、男性の賃金を下回っている。同様に、多くの場合、女性労働の困難な現実の中で、特にほとんどの場合追加の時給が支払われない残業面で、労働が賃金に反映されていない。

また、女性の教育水準が向上し、男性の水準とほぼ同じになろうとしているにもかかわらず、労働機会は、依然として制限されている。女性の労働機会は、法律部門で31.4%以上、報道部門で21.4%、医療部門で11.7%以上を占めておらず、女性労働力は、農業とサービス業の両部門に集中している。

1948に占領された土地に関しては、パレスチナ人女性の就業率が、20.2%に達した。同割合は、他のパレスチナ人居住地に比べ、最も高い。失業率は、2006年に最も低い16.9%に達したが、9%に達するイスラエルでの女性総失業率と比較すると、この値は高いとみなされている。

これは、イスラエルで働くアラブ人女性を苦しめる差別政策を反映している。アラブ人女性は、たいてい、法定最低賃金の半分以下で働いている。なお、イスラエルで働く女性は、そのほとんどが、離婚した者、未亡人、病気の夫を持つ者、稼ぎ手を失った者たちだ。これらの女性の大多数は、難民キャンプから来ており、村からの者はそれよりも少ない。

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( 翻訳者:井上剛 )
( 記事ID:25709 )