英でトルコからの難民申請者への対応めぐり政府・司法対立
2012年05月01日付 Radikal 紙
イギリス高等裁判所は、同国に政治難民として受け入れを申請したトルコ国籍の男が、高等裁判所の決定に反してトルコへ強制送還されたことについて、メイ内務相を強く非難した。
イギリスに政治難民申請をしていたトルコ人が、高等裁判所の決定に反してトルコへ強制帰送還されたことについて、イギリスでは稀に見る問題に発展している。
問題の裁判官はテレサ・メイ英内務相を強く非難し、大臣に対し、現在アゼルバイジャンに避難中であるとされ、氏名が公表されていないトルコ人を見つけ出してイギリスに連れ戻すことと、本件で誤った対応をとったと見られるイギリス国境庁を捜査するよう命じた。
この事件を「テレサ・メイ、難民を違法に退去強制処分にし非難を浴びる」という見出しの記事で取り上げたガーディアン紙は、「稀に見る裁判所の決定は、内務大臣にトルコ人見つけ出し、(イギリスに)連れ戻すよう呼び掛けた」と報じ、「内務大臣は、高等裁判所が出したアゼルバイジャンに避難中の難民申請者をイギリスに連れ戻す命令に、従わなかったために非難の的となっている」と記事にしている。
同紙は、イギリス国境庁が3月に裁判所の決定に反してトルコ人1名をイギリスから追放したとし、また弁護士についてはトルコ人の男が難民申請を希望したが受け入れられなかったと話したと報道した。ガーディアン紙は次のように続けた:
「裁判所の決定が無視された後、シン裁判長は2度目の裁判所命令を下し、テレサ・メイ内務相に、法的理由により氏名非公表の男を見つけ出してイギリスに連れ戻す為、あらゆる手段を尽くし努力するよう要請した」
また同紙は、メイ内務相が裁判所の決定に対して他の裁判所で異議を申し立てたが却下されたと報じ、「メイ内務相は、現在難民申請者の男をイギリスに連れ戻さざるを得ない。裁判所がイギリスを強制退去させられた人を呼び戻させる命令を出すのも珍しいが、それよりもむしろ内務大臣が裁判所の命令に背いたことがより稀な事件である」との見解を示した。
■シン裁判長「政府が命令に背いたことに強い懸念」
政府が命令に従わなかったことについて「強い懸念」を感じているとシン裁判長が話したと報じているガーディアン紙は、問題のトルコ人について次のように記事にした:
「難民申請を希望した37歳のトルコ人の男性は、イギリスに3月13日に到着し、トルコで弾圧されているとの理由で難民の権利を要求した。人権活動家であり、その活動によりトルコで投獄され、拷問を受けたと説明した。イギリスから強制的に出国させられトルコに送還されたあと、トルコ当局によって3日間拘束され、酷い扱いを受けたと話している。解放された後、現在身を潜めているアゼルバイジャンに脱出し、トルコに再び送還されればその命が危険にさらされると言われている」
また報道によると、トルコ人男性の弁護士ジェームズ・パッカー氏は「依頼者が難民申請したあと、申請を取り下げるよう脅迫や恐喝などの精神的圧力を受けた」と話している。一方でイギリス国境庁の報道官は「本国から自主的に出国することを選択した同人が、英国において難民認定申請の審査を受ける権利を得たことは残念だ」とコメントした。
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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:26267 )