イスラエルと南キプロス接近続く―イスラエル側、2万特殊部隊配置を要請
2012年05月21日付 Hurriyet 紙
イスラエルは、キプロス共和国とイスラエルの間に敷設予定の石油パイプラインとキプロス共和国側にされる建設予定天然ガスターミナルの安全を確保するため、キプロス共和国側に2万の特殊部隊の配置を要望したことが明らかになった。
アナトリア通信は、2012年2月19日、ギリシャ側キプロス(キプロス共和国)に一日だけ訪問したイスラエルのビンヤミン・ネタニヤフ首相とキプロス共和国のデミトリス・フリストフィアス大統領の間で行われた会談の内容と、内容が発表されていない中共同防衛協定の詳細について、いくつかの情報を手に入れた。
キプロス共和国政府に近い筋から得た情報によれパフォスリストフィアス大統領は、ネタニヤフ首相との会談で、イスラエルの実業家の北キプロス・トルコ共和国への投資について話題にした。キプロス共和国大統領は、ネタニヤフ首相に、イスラエルの実業家たちが北キプロス・トルコ共和国に投資しないよう要請した。この要請に対して、ネタニヤフ首相は、空軍と海軍による基地使用の要望を持ちだし、「空軍と海軍の基地を我々に与え、イスラエル兵の派兵を受け入れれば、イスラエルの議会に、投資を禁止する決定をすぐさま決めさせます」と述べたことが明らかになった。
会談の後、(海上での)捜索救援に関する協働協定が署名された。会談にでは3月の末に署名された共同防衛協定の詳細がきめられたが、その内容については、詳細の発表は控えられた。
■「我々が発電所を作りましょう、ただし…」
ネタニヤフ首相は、会談で、キプロス側に対してさらに多くの要望をしたことが明らかになった。
イスラエル・キプロス共和国間の石油パイプラインの敷設と、これによって、イスラエルが東地中海域で発見した天然ガスを、キプロス共和国を通ってヨーロッパに販売することが双方の計画にある。このため、および、キプロス共和国政府が一方的に制限経済水域(MEB)を宣言したいわゆる第12海域で発見された天然ガスを陸上に運ぶため、リマソール県ヴァスィリコ郡に天然ガスのターミナルを建設することも検討課題に入っている。
経済面で厳しい現状にあるキプロス共和国政府が、費用が約1,000万ドルと試算される発電所(ターミナル)を近いうちに建設することは難しいとみられている。このため、イスラエルは、全ての資金の提供を表明して発電所の建設を要望し、その条件としては、約1万人と予想される建設要員は全てイスラエル人とすることを提示してことが明らかにされた。
■リアソールに「小イスラエル」がつくられる
双方が条件について合意し、発電所の建物で働く約1万人のイスラエル人とその家族がキプロス共和国側にくれば、少なくとも3万人のイスラエル人がリマソールに住むことになる。
このイスラエル人たちのために、安全の問題が表面化している。共同防衛協定が適用された際は、イスラエルは、従業員とその家族たちのため、そして発電所とパイプライン、そして「制限経済水域」の安全のため、キプロス共和国側に2万の特殊部隊の派遣を要望している。このようにして、リマソールに5万人以上のイスラエル人が暮らす「小イスラエル」がつくられる予定である。
情報源であるキプロス共和国の情報筋は、「イスラエルに指を差し出したら、腕まで盗られてしまう。イスラエルはここにふらっと来るのではなく、住みついて、出て行かないために来るのだ。」と述べた。
キプロス共和国に初めて訪れたイスラエルの首相であるビンヤミン・ネタニヤフ首相は、(最初の訪問時に)キプロス共和国にパフォス空港から入国した。
ネタニヤフ首相は、キプロス共和国に入国する際、キプロス国民防衛軍のパフォス軍事空港に降りたいとの要望を伝えた。この要望は短期間の危機の原因となり、フリスフィアス首相は、2月15日に全日に亘って行われた国民議会を中座してこの問題に関わり、そして、軍の基地と同じ滑走路を用いているパフォス空港を使うことを提案して、問題を丸く収めた。ネタニヤフ首相のこの要望は、イスラエルがパフォスにあるアンドレアス・パパンドリュー空軍基地をイスラエル軍の飛行機のために使いたいと要望していることに関連したものだった。
マーヴィ・マルマラ号の急襲事件後、イスラエルとキプロス共和国政府の関係には、明らかな進展がみられる。キプロスの報道機関は、ネタニヤフ首相の2月16日の訪問前に、いくつかのイスラエルの要望を以下のように引用していた。
その要望とは、「自分たちの天然ガスを、キプロス共和国にパイプラインによって到達させること、キプロス共和国において建設予定の天然ガスターミナルに参加すること、パイプラインと施設の安全を保証すること、地域において探索と救助の点について責任をもつこと、空軍がアンドレアス・パパンドリュー空軍基地を使用すること」であった。
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( 翻訳者:能勢美紀 )
( 記事ID:26462 )