フェティエ海岸、津波のうわさに避難の人々―専門家「心配なし」
2012年06月14日付 Hurriyet 紙
ムーラ地方のフェティエ郡のオルデニズ市で日曜日、リヒタースケール(マグニチュード)6の地震が発生したのち、余震にどうにか耐えていた市民は、「海水が50メートル引いた、津波が起きるかもしれない」との噂でパニックに陥った。朝方フェティエとデムレでは、家々を離れ、多くの人が標高の高い場所や村々へと避難した。カンディルリ気象観測所津波センターやヒュリエット紙に語ってくれた地震専門家は、楽観的なコメントを発表し、パニックになる必要はなく、「津波が来る」と言う噂は間違っていると述べた。
日曜日オルデニズ沖で発生し、地中海地方、エーゲ海地方で観測されたマグニチュード6の地震の後、何度も余震が起こったことで、人々は不安になった。そしてインターネットや携帯電話により「海水が50メートル引いた、津波が来る」と言う噂が広まり、市民をパニックへと導いた。
フェティエのクムルオバとカラデレ市に住んでいる人々は、家を後にし3キロ離れた山に避難した。トラクターの荷台やミニバスに乗り込んだ多くの人々は、早朝まで不安な中にあった。
家族を車で高台に連れて避難したイリアス・ウシュクルさんは、「妻に、夜中に津波が来るとの電話が来た。そう言われたので私は家族を連れて逃げてきた」と述べた。噂を聞いて怖くなったと語るアイシェ・クルトさんは「近所の人の電話で津波が来るといっていた。私の家族も皆と同じ様にやっとのことで高台へ避難した」と述べた。
デムレで幹線道路が閉鎖
アンタルヤ地方のデムレ郡で津波の噂が広まり、市民が外に逃げ出した。特に海岸沿いに住んでいる人々は家を出て、カシューデムレ幹線道路に殺到した。警察と軍警察が通行止めとなった道に詰めかけた人々をなだめ、家に戻る様に説得した。明るくなってくるや、落ち着きを取り戻した一部の人々は、警報に注意しながらも家々に戻った。なおも噂を信じている一部の家族は高台で避難を続けた。
海で発生した引き潮は問題なし
フェティエのカラデレ市長、ヤクプ・オトギョズ氏は、夜中に市民の間に50メートルの引き潮があり、津波が来ると言う情報が流れたと述べた。
市民が噂に従って、意味もなく避難したと語るオトギョズ市長は、「先日発生した地震は人々に否応なく恐怖心をもたらした。市民には噂でパニックを起こさぬように申し上げたい。海で発生した引き潮は何ら問題なく、年に何度か発生している」と述べた。
クムルオバ副市長のユルマズ・エヴジルによると、津波が発生する事を信じた人はパニックになり高台へ避難し、一晩過ごしたが、朝になって海の引き潮が50メートルに達していないとわかると、家に戻ったと語った。
毎年何度も引き潮は発生している
カラデレ市のオズレンプラジ浜にある旅行会社で働いているドュルムシュ・ビュユクアーチ氏は、長年この地域で暮らしていると語り、海はしばしば1-2メートルの引き潮が起きることがあると語った。
ビュユクアーチ氏は、凪のときには波が立たないので波が発生した為、海面が通常より少し下がって見えると説明し、「引き潮は何ら問題ない。人々は意味もなくパニックになっている。これは、我々のような観光業に従事している者に損害を与えている」と述べた。
専門家が市民に呼びかけ:家に戻ってください、パニックは不要
カンディリ気象観測所津波センターおよびヒュリエット紙に語ってくれた地震専門家らは、「津波が来る」と言う噂は事実に基づくものではないとし、市民に家に戻る様呼びかけを行った。ムーラ・ストク・コチュマン大学工学部地質工学学科准教授のムラト・ギュル氏は、6月11日に開いた記者会見で、「この地域で津波が発生する可能性が有ることが確認されている」と発表した。この会見以降、地域で津波が起き得るとの議論がなされるようになった。
フェティエでの津波のリスク無し
フェティエ市防災責任者で地質工学者のサーディ・チデム氏は、津波が来るという主張は根拠が無いものだと述べた。チデム氏はフェティエの、クムルオバとカラデレの住民が津波の恐怖で一晩を山や高台で過ごしたと述べ、「津波は海の深層部から生じる波です。この地域で津波が発生する為にはまず先に地震が起きる必要がある。フェティエで発生したマグニチュード6の地震は4日も前の話しである。もしこの地区に津波が来るならば地震直後の15-20分以内に到達するはずである」と述べた。
チデム氏はフェティエの津波のリスクにたいし、2004年に包括的調査がなされたとし、以下のように述べた。「行った調査によると、フェティエの中心部には津波のリスクは無い。外海に面したクムルオバとカラデレのリスクは15%とみている。これも非常に小さな値である。更に津波を引き起こす為にはマグニチュード6.5以上の地震が発生する必要がある。フェティエでの地震で、津波を引き起こしうるような条件はない。カラデレヤクムルオヴァで起こった引き潮は、潮汐現象である可能性がある」
国民はこうした噂を信じてはいけないと強調するチデム氏は、特にソーシャルネットワークのサイトではこうした根拠のない発言をすべきではないとした。またチデム氏は、この噂には悪意があるのではと思いたいほどであると語り、トルコの重要な観光地であるフェティエにパニックのうわさが流れることは、誰にとっても不利益となると述べた。
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( 翻訳者:有田 潤 )
( 記事ID:26712 )