アラブ諸国グリーンエコノミーへ向けて
2012年06月22日付 al-Hayat 紙


アラブ諸国グリーンエコノミーへ向けて

■アラブ諸国グリーンエコノミーへ向けて

2012年6月22日『アル=ハヤート』

サミット「リオ+20」に関して、西アジア経済社会委員会(ESCWA)は決議書を発表した。この決議書は「継続的発展および貧困の諸問題に関するグリーン エコノミー:アラブ地域の原則、機会、課題」というタイトルである。同決議書は、「リオ+20」におけるアラブの動きの基本とみなされる。また、グ リーンエコノミーに関するアラブ参加の姿勢の確定へ向けた優先事項を特定する。この優先事項にはアラブ地域の特性を無視しないこと、同地域の国 家間の大きな違いに注目すること、グリーンエコノミーに向けた意思決定には、市民社会関係者や民間部門が参加する。

発展への課題

決議書はアラブの発展への課題を述べている。例えば、天然資源、エネルギー資源の非継続的な使用、経済レベルの脆弱さ、特に若者の間の失業率の上 昇、これは、平均しておよそ13%に達している。また、2020年までにおよそ5000万の職を確保する必要性や、とくに男性と女性間の社会的格差、同様に都 市と地方の格差も示している。

また同決議書は、完全な社会政策の著しい欠落についても注目した。これは、人的資本の蓄積を利用していないこと、 人的資本と経済成長の結びつきの欠落を伴っている。また世界的経済的危機の影響による経済成長の減速、気候変動がもたらす追加的な負荷に注目した。さら に同決議書は、住居環境の悪化と民間輸送の非効率性、都市の過密、また地方から、都市の密集地その他への移住による無計画な都市の膨張に起因する課題を指摘した。そして、都市を水、エネルギー、輸送に関するグリーンイニシアチブ(環境関連構想)に結び付ける政策策定を求めた。これは、住まいを実際 に、グリーン分野(環境分野)に供するためのものである。

同決議書は、アラブ地域が世界的に最も高い人口増加を記録していることを指摘し、同地域の全人口が2050年 までに5億8千6百万に達すると予想した。これは世界人口の6%を意味する。また、この人口増加は環境への急激な圧力増加を導くと予想される。この圧力増 加は、水や、再生可能でない物質の消費増加と汚染の増加、過放牧、水その他の使いすぎなどによるものである。また農業、環境諸問題の存在に注 目したが、これらは、砂漠化、食の安全の欠如、水の希少化、政治環境の不安定さ、地域紛争の深刻化、治安の混乱により起こるものである。
同決議書は「アラブの春」の諸革命に関心を示し、「長期的にみて、民主主義へ移行する行為が成功し、新しく、効果的な組織が成立すれば、これらはより良い労動環境を生み出し、生産への投資を推進し、付加価値その他を持つ経済活動強化を促すだろう。」とみなしている。さらにこれらは、雇用機会増加、失業者 削減につながることを明らかにした。

同決議書は、アラブ政府にグリーンエコノミーの概念を打ち立てること、プロジェクトやテクノロジーを誘致するための投 資環境を作ること、グリーンエコノミーへ移行に向けての関連諸機関内の調整を容易にするための組織的、国家的、地域的骨組みを設置するこ とを呼びかけた。

同決議書は、民間部門と公共部門間の効果的なパートナーシップを樹立することを提案した。これは、環境活動家と、経済・ 金融機関との関係構築を目的とする。また、民衆や、組織、市民社会、NGO、報道機関の意識の向上を求めた。
これらはグリーンエコノミーに関係する雇用機会増加に貢献するものである。さらにアラブ地域統合、アラブ自由貿易地区の形成を加速することを勧めた。

また、技術革新、研究、発展、移転を結びつける必要性のほか、アラブの科学的な協力関係の必要性を強調した。また、アラブ地域の科学研究 への支出を増やすことを呼びかけた。世界的なGDPに占める科学研究予算は平均1.4%であるのに対し、この地域のそれは0.2%を超えていないためである。同決 議書は青年、女性への配慮に加えて、科学研究機関と民間部門の関係強化を求めた。

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( 翻訳者:渡辺亜実 )
( 記事ID:26796 )