トルコへ仕組まれた罠―シリア危機
2012年06月26日付 Milliyet 紙

トルコのジェット機がシリアによって撃墜されたことを検証した二人のコラムニストは事件を特異な視点から批評し、大事な点を指摘した。

『サバフ紙』のコラムニスト・マフムト・オヴュルは「シリアはウルデレ事件の続きか?」という見出しの記事で、新しい陣営と、トルコが過ちを犯すのを手ぐすねを引いて待つ連中らについて書いた。以下の文章はそのコラムの関係個所。

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以前にも書いたように、この展開によってトルコは、シリアに仕掛けられた深い「罠」に陥れられようとしている。こうした展開と、トルコの内政に多大な影響を及ぼしたウルデレ事件との間には密接な関連がある。ウルデレ事件を国内の(軍事主義的)現状維持派の勢力が起こしたのと同様、シリアのトルコ機撃墜事件も、地域の現状維持派の勢力がトルコを自分たちの方へおびき寄せるために行った行為以外の何物でもない。結果をみれば、そのことはすぐに理解できる。

ウルデレの大量殺戮により、シルヴァン事件以来のプロセスで「威厳」を失ったPKKは勢力を強めている。一方、トルコ機撃墜事件により、シリアをはじめとしてPKKを支援する地域の現状維持派の勢力は「現時点においては」ポイントを得ているように思われる。その勢力は共に手ぐすねを引いてトルコが誤りを犯すのを待っている。

AKPは10年間に及ぶ政権の歴史上、恐らく最も難しいかじ取りを迫られている。このような状況下にあってAKPは国内の、抵抗的で根強い(軍による)後見制度を、ある意味で克服することに成功した。そして、いま、国内の軍国主義的構造に精神的支援を行う外在的な「後見勢力」に直面している。その理由は、トルコが変化を代表しているからだ。なぜならトルコ、そして中東の歴史は根本的に変わろうとしているからだ。

変革の遅れを望む国内、そして国外勢力の標的には、「インスピレーションの源」となるトルコがある。トルコを困難に陥れれば、彼らの寿命はわずかながら延びるであろうことを、彼らは知っている。

トルコはこれにチャンスを与えてはならない。冷静を保ち、地域の現状維持派勢力の罠に陥らず、この打撃を乗り越えなくてはならない。トルコは頑なにならず、冷静な政治を実現しなければならない。政府は現在それを行っている。最後まで外交的なやり方を用いてこの問題を乗り越えなければならない。

これが初めての(トルコによるシリアへの)国境侵犯でないことは、だれもが知っている。それでは、なぜ今回は対空砲、もしくはミサイルによってシリアから攻撃がなされたのか?この問題の答えは重要である。

国内の(軍内部の)「後見主義」勢力が「雷雨計画」により何をもくろんでいるかはある程度知られている。ちょうど同じ理由によって、シリア事件は、多角的に分析される必要があり、「正義」がトルコ側にあることを印象づけることなしに、制裁をすべきではない。

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『スター紙コラムニスト・セダト・ラチネルも「撃墜されたトルコ軍機は釣竿の餌」という題名の記事で同様の点に注目し、「この事件が事故であるということを信じることはできない、背後にはただシリアがあるだけということも・・・。目的が単にトルコへメッセージを伝えるためだけであるとも思えない・・。トルコは大きな構図のなかで利用されようとしている。撃墜されたトルコ機はトルコを引きずり出すための餌のようである」と主張している。

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( 翻訳者:堀谷加佳留 )
( 記事ID:26850 )