トルコ・シリア通商関係、凍結状態―シムシェキ財務相
2012年06月30日付 Hurriyet 紙


メフメト・シムシェキ財務相は、トルコとシリアの国民の間にはほんの小さな問題さえもないと言いながらも、「現在二国間関係は経済面においては凍結状態にあります」と述べた。トルコの対シリア輸出高は2010年には総額18億5千万ドルに達していた。シリアのトルコ企業は次から次へと撤退している。

シムシェキ財務相は、トルコ・アラブ経済フォーラムでの「経済協力関係の構築」という題目のパネルディスカッションの後、参加者の質問に答えた。

「シリアでの騒動前、トルコとシリアの経済関係はどのようだったか、そして、この騒動は二国間の経済関係にどのような影響を与えたか?」という質問に、次のように答えた。
「シリアとの関係は、ここ数年で急激に深まっていました。しかし、最近の事件は経済関係全てとあらゆる投資、さらには人々の行き来にさえ、悪影響を及ぼしました。シリアとは、この事件以前には、自由貿易協定を結んでいました。
多方面に渡って関係を築いていました。観光とセメント業界で重要なプロジェクトを抱えていました。シリア国民の意思が一丸となって力強い形で政府に反映されたとき、シリアは中東地域でもっと強い位置づけをなすと、私は信じています。トルコとシリアの国民の間には、少しの問題もありません。
シリア政府が国民を弾圧し国民に暴力を振るうことをトルコは容認できなかったので、現在シリアとトルコの関係は経済面においてほぼ凍結状態にあります。しかし、シリアで国民の意思が優位に立つとき、シリアとトルコの関係はもっと急速に深まることになると信じています。我々は、シリアの発展、独立、一体性、統一、領土保全を非常に重要視しています。我々は隣国として、シリアの発展を支援します。」

■「相互主義はトルコにとって利点になる」

シムシェキ財務相は、相互主義はトルコにとって利点となると言い、「ここで重要なことは、トルコへ投資を誘致することです。非常に長期間に渡って、中東で生み出された資源の多くは西欧で活用されてきた。今日、トルコのような非常に重要な魅力的な拠点があります。この傾向が変わっていくと信じています」と述べた。

シムシェキ財務相は続けて、「相互主義はトルコにとって利点となります。今日、世界の富裕層はニューヨーク、パリやロンドンなどで存在を示すことが可能だ。強い国は自分の国を強く信頼しています。我々も、トルコとして自国を信じています。その意味では、全く問題は無いと思っています。もちろん、これに関して銀行協会が決定を下すでしょう。しかし、ここで重要なのは、トルコへ投資を誘致することです。具体的な数値は挙げませんが、これは完全に民間業界の努力にかかっています。しかし、非常に長期間に渡って、中東で生み出された資源にほとんどは西欧で活用されてきました。今日、トルコのような非常に重要で魅力的な拠点があります。この傾向が変わっていくと信じています」と述べた。

■6万9千人が金納兵役制に応募

「金納兵役制はどうなりましたか?」という質問に対してシムシェキ財務相は、「金納兵役制には6万9千人強が応募しました。予想合計歳入は約20億リラ強(約880億円)になります。この財源を何に利用するかは法律で定められています」と答えた。

■「シリアでの衝突は投資家を逃す結果となっている」

AUDI銀行グループCEOのサミル・ハンナ氏は、シリアに関する質問に対し、「このような問題を抱える国では、当然のことながらあらゆる経済活動が最低レベルになります。今この時期にシリアへ投資をしたい人はいるでしょうか?もちろん、いないのです。
以前に投資をした人たちはこの投資を継続するでしょうか?しないでしょう。プロジェクトの数は少なくなります。AUDI銀行としては、シリアのある銀行で50%の株式を有しています。しかし、経済活動は70%減少し、冬眠状態になりました。この問題の決着がつくまで、この状態が続くでしょう。そのため、この衝突は投資家を逃す結果となっています。現存の投資も停止させるか、そのスピードも弱まってきています」と答えた。

デルタ石油トルコ取締役のメフメト・ハッバブ氏は、「ナブッコ・パイプラインに関する最近の動向についてどう思うか?」という質問に対し、次のように答えた。
「ナブッコ・プロジェクトは非常に遅いテンポで進んでいます。なぜならば、投資環境が変わったからです。当然のことながら、天然ガス田を見つける必要があります。
プロジェクトを進めるために必要なガス田はまだ見つかっていません。トルコはこれほど成長し発展している国なので、天然ガスの需要は大変高まっています。そのため、現在ある天然ガスも多くはトルコへ送られます。イラクのガスもトルコへ送られると思います。ナブッコ・プロジェクトはすぐにでも進めることができます。しかし、プロジェクトが始動するための天然資源がまだ見つかっていません。それでも、この先10年以内にはたぶん始動するでしょう。」

■数値によって損失が明らかに

トルコと800キロメートにも及ぶ国境線を有し、隣国関係も深かったシリアとは、この5~6年で急速に友好関係を取り戻していた。二国間の政治関係の改善は貿易にも反映し、2003年には総額4億千百万ドルであったトルコのシリアへの輸出高は、2010年には18億5千万ドルに増えた。2011年の数値は16億1千万ドルであった。

二国間の貿易高は今年50億ドルという目標が設定されていた。しかし、二国間の貿易を示すデータの数値はどんどん悪くなっている、昨年1~4月期にはトルコからシリアへの輸出総額は5億7千600万ドルであったが、今年の同時期の数値は2億2千100万ドルであった。

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( 翻訳者:津久井優 )
( 記事ID:26889 )