シリアの撃墜したRF-4(ファントム)機で殉職したパイロットは昨日、埋葬された。葬儀に参加したすべての関係者は同じ問いを問うていた。参謀本部は、197時間、昼も夜も作業をし二人の犠牲者の遺体にたどりついたが、引きあげた部分をまとめてもRF-4、別名ファントムに何が起きたのかを理解するのは難しい。依然、未発見の機体の部分と疑問が残っている。
■軍機はどこで撃たれたのか?
トルコ側は陸から13マイル、シリア側は陸から1.5~2マイルの沖合だといっている。飛行機の残骸は、8.6マイルの沖合にあったことは、トルコ側の言い分に沿っている。飛行機が13マイル沖合で撃たれて、東に進み、9マイルの地点で墜落したという説は、撃たれたあと陸から西へ7マイル進んだとする説よりも、説得的だ。しかし、この件で正しいコメントをするには飛行機が何で撃たれたのかを見極める必要がある。
■軍機は何で撃たれたのか?
みつかった残骸の一部には、本体のプラスチックの覆い以外には、爆発や燃えたことを示す証拠はない。これは、ミサイルで撃たれたとする説を弱めている。発見された残骸の中には、13マイルの距離にある飛行機を撃墜できるようなサイズのミサイルの一部が含まれていない。飛行がばらばらになった原因は、ミサイルだけとは限らない。あのスピードであの高度から(おそらくは回転しながら)海面にぶつかった飛行機が、接合部で解体することはあり得るからだ。しかし、その一方で、軍機が陸から2キロの地点で高射砲で撃たれたことを示す証拠もない。もし高射砲からの砲撃だとするなら、残骸が8.6マイルの沖合で見つかったことからみて、パイロットが少なくても10~12キロ飛行機を飛ばしたことになる。ではなぜ、緊急脱出装置を使わなかったのか、という疑問が浮かんでくる。
■軍機はどこを撃たれたのか?
発見されたもののうち、もっとも注目されるのはジェット機のモーターだ。それは解体しておらず、爆発したことを示す痕跡もない。これは、飛行機が前方から撃たれた可能性を示している。しかし、参謀本部の発表した写真をみると、機体前方のパネルはバラバラになってはいるが、焦げたり焼けたりした跡はない。軍機がミサイルで撃たれたと主張している評論家たちは、前方と後方が燃えずにバラバラになっていることから見て軍機の胴体部分が撃たれた、としている。
■パイロットは緊急脱出できたのか?
見つかったブーツやヘルメット、一人のパイロットのもととされるベレー帽は、パイロットが緊急脱出した可能性を取沙汰させるものだった。パイロットの訓練で海に落ちた場合、最初に体からはずす品がブーツとヘルメットであるため、パイロットたちが訓練通りにしたはずだという評論家もいた。しかし、パイロットの遺体は飛行機の残骸の近くで見つかったと発表されている。これは、緊急脱出の機会がなかったことを示すものとみられている。そもそも、軍機がミサイルで撃たれたとするシナリオは、パイロットが生存する可能性が低いとする見方の原因となっていた。事件当日にはパイロットから通信があり、シリア関係者につかまったのだとする報道も、一部にはあった。これは、一部の評論家が、パイロットがシリア側により殺されたのだとする論評の根拠になっている。この件の疑問には、パイロットを検死した関係者だけが答えることができる。
■大事な部品は見つかっていない
緊急脱出の際に最初に飛び散る部品である、操縦席の上の覆いのガラスはまだ見つかっていないという。緊急脱出システムに連動している操縦席についても、発見はない。海上に引きあがられた30個の部分は、どちらかというと飛行機の前方と後方のものだ。砲撃を受けた際の痕跡は、飛行機の大部分を構成する未発見の胴体部分にある可能性がある。すべての疑問の解明には、これらの部品の発見が不可欠だ。
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( 翻訳者:和泉由美子 )
( 記事ID:26940 )