バカな!―2005年アイドゥン・テロ犠牲者への賠償金に返還決定
2012年07月09日付 Hurriyet 紙
アイドゥン県クシャダス郡で7年前発生した爆破事件で(亡くなった)へリン・ベネットさん(当時21、イギリス国籍)、タナ・ワーレンさ ん(当時17、アイルランド国籍)、デニズ・トゥトゥムさん(当時21)、ウフク・ユジェデニズさん(当時23)、エダ・オクヤイさん(当時24)の遺族 へそれぞれ70,000TL(3,051,034円)の賠償金が支払われた。しかし内務省が異議申し立てを行い、最高行政裁判所が「国の業務上過失にはあたらない」としたことで賠 償決議は無効となった。アイドゥン行政裁判所がこの決議無効に歩調を合わせたことに大きなショックを隠せない遺族は、異議申し立てが最高行政裁判所で認められない場合、受け取った賠償金を利子付きで返還しなければならない。亡くなったデニズ・トゥトゥムさんの母、セビム・トゥトゥムさんは、「お金はいりま せん。国の過失がないのなら、娘を返してください」と訴えた。
2005年7月16日、クシャダス郡の女性用ビーチへ向かうミニバスで爆破事件が起こった。この事件で、デニズ・トゥトゥムさん、ウフク・ユジェデニズさ ん、エダ・オクヤイさん、タナ・ワーレンさんが事故現場で、へリン・ベネットさんが搬送先の病院で死亡した。同事件では他13人が負傷した。事件から約9 か月後、実行犯のM.S.Kがエラズー県で逮捕された。M.S.K.はイズミール第8重罪裁判所で審理を受け、終身刑5回が判決として下された。
■遺族にとって大きな衝撃
死亡したデニズ・トゥトゥムさん、ウフク・ユジェデニズさん、エダ・オクヤイさんの遺族はアイドゥン行政裁判所に賠償訴訟を起こした。審理の結果、遺族両親に対しては、各々30,000TL(1,307,586円)、遺族兄弟に対しては10,000TL(435,862円)の賠償金支払いを決定した。更に子供を抱える遺族には、決議に従い 70,000TLが支払われた。内務省弁護団は、賠償額を過多とみなし、決定に対し異議を申し立てた。
最高行政裁判所第10法廷は記録を調べ、同事件で「国の業務上過失にあたらない」という理由で決議を無効とし、賠償金の支払いを不要とした。差し戻しとなったアイドゥン行政裁判所は、賠償金70,000TLの支払決定を否定することはせず、最高行政裁判所が採った無効決議の理由に歩調を合わせ、賠償金不払いの決議を取った。
■失意の遺族、利子付きで賠償金を返還
地方裁判所の決議は遺族に更なるショックを与えた。彼らに残された唯一の道は、決議を無効とした行政裁判所第10法廷に対する異議申し立てとなった。同法廷の決議が承認されると、遺族には、子供を失ったことの苦しみと共に、経済的に重い負担がのしかかる。遺族は、地方行政裁判所の決定後に支払を受けた 70,000TLを利子付きで返還せざるを得ない。
■へリン・ベネットさんに対する賠償の説明がない
事件後、英スカイニュースは、同事件で亡くなったイギリス国籍のへリン・ベネットさんの遺族に対し、トルコ政府より100万ポンド(約280万TL(122,041,360円))の賠償金が支払われると報じた。これを受け、トルコ人遺族が書面申請を行ったが認められず、本件で十分な説明がなされていないことが明らかとなった。
■遺族は困惑
テロ組織の爆破攻撃の犠牲となったエダ・オクヤイさんの父アズミさんは、(国の)決定は自身のみならず他の犠牲者遺族に大きな悲しみを与えた、と述べた。 アズミさんは、賠償金の一部を充当すべき用途があると話し、「子供たちはテロの犠牲となった。国は、我々遺族に対し決して決して子供の代わりとなることはないが、我々遺族に対する賠償金を支給した。今、あたかも子供達の死が我々の落ち度により亡くなったかの如く、(国は)賠償金の返還へと舵を切ってい る」と述べた。
同事件で亡くなったウフク・ユジェデニズさんの父ヒュセインさんは、「賠償金を病院の部屋増設に充てる予定だったが、(国は)賠償金を取り戻そうとしている。賠償金を受け取る権利を得て、これを実現させたい」と話した。
デニズ・トゥトゥムさんは結婚の夢を膨らませていた矢先に事件へ巻き込まれた。
母セビムさんは続ける:
「子供を理由にお金を手にしようとしたことはありませんが、当時、賠償訴訟を起こしました。当初、我々に賠償金が支給されましたが、返還を迫られております。愛しい娘は、人生 の春を謳歌している時にテロの犠牲となったのに、償いはありません。(イラク国境の)ウルデレで亡くなった人たちに対しては賠償が行われているのに、我々の娘には賠償を与えないように努めているのです。我々が欲しいのではお金ではありません。娘をお金に置き換えることなど出来ませんが、賠償金返還を求めるならば、私の娘を返してください。一体誰のせいで命を落とすことになったのでしょうか」。
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( 翻訳者:山根卓朗 )
( 記事ID:26967 )