マルディン県のシリア国境へ、鉄道を用いた大規模な派兵が行なわれた。砲兵とミサイル砲台が鉄道によってヌサイビン郡へ輸送され、軍警察駐屯地に配置されたと報じられた。また国境地帯とシルクロードのパトロールが強化された。
アナトリア通信が入手した情報によると、シリア国境のヌサイビン郡へ鉄道により輸送されたミサイル砲台と軍用車両は、大規模な警備体制のもと駅舎に入った。
軍用車両は第2国境警備隊ケナン・ダルバシャル兵舎へ、クレーンによって下ろされた。
軍用車両は第2国境警備隊司令部から各国境部隊に配置されることが分かっている。
■シリアの国境の町でクルド人の反政府活動が続く
シュルナク県のジズレ郡やマルディン県のヌサイビン郡と国境を挟んで向かい合うシリアの町デリカ・ヘムコで、クルド人住民が実権を握ったことが明らかになった。反体制派のクルド人はデリカ・ヘムコの官庁を占拠したと見られる。さらに彼らはヌサイビン郡の向かいの町カムシュルに駐在するアサド政府軍に対し、7日以内に町から出ていくよう要求したと報じられた。
内戦が続くシリアの、トルコの南東アナトリア地方と国境を接する地域では、コバーニー、アフリーン、デリカ・ヘムコの町がクルド人住民の手に渡り、以来同様の出来事が続いている。反体制派クルド人はついにデリカ・ヘムコの統治権を握ったと見られている。シュルナク県のジズレ郡とマルディン県のヌサイビン郡に挟まれた町カトランのすぐ向かいに位置するデリカ・ヘムコでは、反体制派クルド人が村々の統治権を手にした後、政府に属する国境警備隊の兵士に対し町を出ていくように警告したとされる。また反体制派クルド人が警備隊の武器を奪い、政府軍を同地域から退けたとも報じられている。
■官庁に横断幕
デリカ・ヘムコに集まった反体制派は、クルディスタン民主社会運動(TEV-DEM)の横断幕を掲げ、スローガンを叫びながら行進を行なった。数千人が行進に参加する中で中央政府の兵士らは町を去らざるをえなくなったとされる。スローガンを叫びながら行進したクルド人たちは、官庁に押し入りTEV-DEM の横断幕を掲げた。
他方でTEV-DEMの軍は、カムシュルの町に駐在する中央政府軍に対し、7日以内に町を出るよう要求したとされている。期限の終了まであと3日を残し、緊張状態が続く中、時折起きる衝突の銃声音はヌサイビンからも聞こえた。
■トルコは警備を強化
シリア国内でこのような対立が続く中、トルコにおいても警備が厳しくなっている。砲兵とミサイル砲台がヌサイビン郡へ鉄道輸送され、軍警察駐屯地に配置されたと報じられている。また、国境地帯とシルクロードのパトロールが強化された。
■興味深い報道
イスラエルの諜報機関との結び付きが知られるインターネットサイト「デブカ」は、シリア政府が化学兵器をレバノンに移している可能性に対し、「イスラエル軍、トルコ軍、ヨルダン軍、および在中東アメリカ軍が準備を整えた」と報じている。
3ヵ国の軍が「協調して」活動する準備ができたと主張するデブカは、シリアから化学兵器をヒズブッラーの統治下にある東レバノンのベッカー高原へ移送するのにたったの2時間しか要しないことを強調した。「デブカファイル・エクスクルースィヴ(Debkafile Exclusive)」のロゴ付きで掲載されたこのニュースでは、ベッカー高原への兵器の到着はヒズブッラーに対する「戦争」を意味するため、アメリカと イスラエルは兵器が国境を越えるのを妨害しようとしたと書かれている。
またデブカは、日曜日に行われたこの件に関するイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の会見に触れ、ネタニヤフ首相はシリア政権の崩壊と化学兵器が他の グループへ渡る危険性がある場合行動を起こすことを明らかにしつつ、シリアが所有する兵器に対し「共通の懸念」を抱いたという表現によって「イスラエル軍、トルコ軍、ヨルダン軍」と中東に駐在するアメリカ軍のことを示唆した、と推測している。
(本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介
されています。)
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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:27110 )