アアザーズを手中に収めた反政府勢力は、「シリアの大統領はイスラム教徒ではない。私たちは断食もしているし、お祈りもしているイスラム教徒だ。でも私たちはアルカイダではない。私たちは普通の市民だ」と語った。
シリアで反政府勢力が手中に収めたアアザーズと国境地帯を取材し、私が受けた印象を昨日ミッリイェト紙に掲載すると、読者から多くの質問が届いた。「反政府勢力はイスラム主義者か?」「なぜ頭にターバンを巻いたのか?」「クルディスタン労働者党(PKK)が国境を管理しているのか?」というような質問である。
■反政府派勢力とは誰か?
自由シリア軍(ÖSO)は政府に反対し武器を手にした独立系の武装グループから成り立っている。その中には一般の人々もいるし、イスラム主義者もいる。グループには地域によりそれぞれの名前とロゴがある。例えば私たちが一日中行動を共にし、7万人の人口をもつアアザーズを勢力下においた武装グループの名前はカティビン・アムル・ビン・アルフであった。当初ほとんどの人はデモの参加者であった。死者が増えると次第に武器を持ちゲリラ攻撃を始め、グループ内に命令―指揮系統をつくっていったそうだ。他のグループとの関係を聞くと、「他のグループとも連絡を取り合っている。例えばアレッポやフムスの人々が武器や他のものが必要になれば援助している」と話した。しかしグループ間でのヒエラルキーのようなものは存在しない。
■反政府勢力はイスラム主義者か?
反政府勢力の多くはスンニ派で、リーダー格の者は頬髯があり、わたしと握手をせず、イスラム主義者であることは疑いようがなかった。しかし驚くことは無かった。なぜならそこはそもそも保守的な地域である。皆断食をし、握手をしなかった。私がそばに行こうとすると、ターバンをするよう言われた。しかしほとんどがその地域の普通の人たちである。アアザーズを奪還した若者のアブ・サジトはアレッポ大学コンピューター学科で学んでいる。彼の上にいる指揮官は仕立て屋である。また彼らの仲間には軍から脱走した兵士もいれば、医者、学生もいる。手にカラシニコフを握り、イフタールの時にアレッポからやってきたと語るもう一人の反体制派の人物は、内戦前に「旋盤工」であったと話した。「アサド大統領が失脚したら、シリアでスカーフをかぶらない女性もいていいか」ときくと、アブ・サジトは「もちろん当然。それは個々人が自分で決めることだから。しかしもしお前がターバンをしないなら、ムスリムとして私がすることは、お前を無視すること」と語った。世界のどこであっても戦争で宗教的な感情は出るものだ。アブ・サジトさんは政府勢力には「感情や信仰が無く」、「アッラーは自分のそばにいる」と信じている。
■アルカイダはいるか?
アブ・サジトに、仲間にアルカイダがいるかどうか質問すると、「シリアの大統領はイスラム教徒ではない。私たちは断食もしているし、お祈りもしているイスラム教徒だ。でも私たちはアルカイダではない。私たちは普通の市民だ」と言った。反政府勢力にはイスラム主義的傾向があるとしても、私はアルカイダ的な痕跡に遭遇したことはない。しかし最近少ない数であれ、ボスニア、リビア、クウェート出身で自身らを「ムジャヒディン(イスラム戦士)」と名乗る人たちもいる。ÖSO の上部組織は外国勢力とのかかわりを持ってはいないが、いくつかの地域に「外国人」民兵がいることで、反政府勢力が「爆発物製造」といった点で技術を高めることを可能にしている。
■トルコは武器を渡しているか?
反政府勢力には私が期待したほどの「最新型」の武器は無い。皆の手にはカラシニコフが握られている。手榴弾以外にもRPGやDhsk(ロシア製の重機関銃)を持っていると語る。また、軍から手に入れた武器もある。アアザーズでは少なくとも12この戦車が壊されているのを見た。戦車は爆発物や対戦車砲で破壊することができる。さらには戦車を奪って、彼らの基地にもってきたようだ。上にかけてあった布をとって、自慢げにポーズをとっていた。(反政府勢力の者たちは戦車に関して、血を凍らせるようなことを口にした。戦車を運転する兵士の多くはスンニ派である。スンニ派は戦争をしない、あるいは相手側に寝返るからと言って怖がっていた運転手の兵士を戦車に縛りつけ、この兵士たちは逃げられず戦車の中で命を落としたと話した)。しかし反政府勢力はヘリコプターを相手にどうすることもできない。ではトルコは?私の印象では、トルコは武器を供与したというより、武器の「通過」を許可したというかんじだ。反政府勢力は今使っている武器に満足していない。彼らはトルコがSAMのようなより洗練された武器の「通過」には許可を与えないと話した。
■PKK(クルディスタン労働者党)は国境で優勢なのか?
ある意味PKKのシリア支部ともいえる民主統一党(PYD)の民兵と我々は会った。アフリーン、カムシュル、デリクといったようなPYDが支配している地域がある。しかしこれらの地域の中にはアアザーズのようにアラブ人が住んだり、アラブ部族のいる地域もある。PYDはより装備を整え、統制がとれ、専門家の集団のようである。(私が見た集団の指揮官は女性であった。若者はより教育があるようだったし、フランス語を話せるPYDの民兵も存在した)。白人トルコ人(訳者註:共和国主義を奉じるエリート)にとって意味があるかわからないが、PYDの地域は見る限りより「世俗的」であるようだ。
■「市民」は何を言っているのか?
ためらいはない。アアザーズの国境地域の村やキャンプでの私の印象は、市民は現政権にうんざりしているようだ。去年の今頃デモに対し発砲され、人が逮捕されたり、その後テロが増えたことで、人々は「自由シリア軍」に入るようになった。道にいた子供に大きくなったら何になりたいか聞くと、「自由軍」という。彼らも戦争はしたくないのだ、できるだけ早くアサド大統領が失脚し、こうした事態が収束するのを望んでいる。
■アサド大統領は失脚するか?
雌雄を決するのはアレッポである。現政権は今後アレッポを失うことのないように、戦闘機などを含めできる限りの手段を行使することを考えている。飛行機やヘリコプターがあるおかげで、政府軍はより優勢である。反政府勢力は戦闘機を前にどうすることもできないからだ。反政府勢力は世界が自分たちを見限ったと考えている。アレッポではで4つの地域を支配下に置いたと話す。市街地での戦闘は続いている。アレッポが落ちれば政権は本当に秒読みになる。しかしアレッポの「戦い」は、長く、苦しく、壊滅的であるとみられる。
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( 翻訳者:畔上曜子 )
( 記事ID:27144 )