アラブ首長国連邦、ホルモズ海峡を迂回するためのパイプライン計画を始動
2012年07月17日付 Mardomsalari 紙

【経済部:シェハーブ・カーシェフィー】アラブ首長国連邦(UAE)は昨日、「ハブシャーン=ファジャイラ」パイプライン計画を始動した。この計画は、UAEが自国の輸出用原油を輸送する際に、ホルモズ海峡を迂回し、同海峡を通過する必要性を取り除くことを目的としたものだが、しかしこの計画によって石油タンカーが同海峡を通過する必要性がなくなるのはUAEだけで、その他の国にとっては、同海峡を通過して原油を輸出することに変わりはない。

 UAEの石油当局者やシェル、トタール、エクソン・モービルといった欧米の巨大石油企業の幹部らが見守る中で開通式が行われたこのパイプラインは、総延長370キロメートルで、一日に150万バレルの原油を輸送することができる。このパイプラインは、中国企業によって4年間かけて敷設されたもので、イラン産原油に対する禁輸措置が正式に始まり、ホルモズ海峡の封鎖に対するイラン・イスラーム共和国の脅威が高まりつつあるなかで開通した。

 UAE石油相は「ハブシャーン=ファジャイラ」パイプラインの開通式で、このパイプラインの戦略的重要性を強調し、同石油パイプラインは〔‥‥〕UAEに、ホルモズ海峡とパイプラインの二つの選択肢のいずれかを選ぶ力を与えるものであると指摘した。しかし、このパイプラインはありうべき〔イランによる〕ホルモズ海峡封鎖の影響を、目に見えて減殺するだけの能力はない、というのが実際のところである。

 現在、一日に1700万バレルの原油がホルモズ海峡を通過しており、これは世界の全石油の20%が、戦略的重要性を有するこの水路を通っていることを意味している。よって、1700万バレルのうち150万バレルが減ったとしても、それはホルモズ海峡を通過する原油量が10%弱減ったにすぎない。

世界は依然としてホルモズ海峡を通過する石油を必要としており、もしUAEがホルモズ海峡を迂回したとしても、イランやクウェート、イラク、カタールなど、その他の地域諸国が生産・輸送する石油のほぼすべて、そしてサウジアラビアが生産する石油の大部分、さらにはUAEが生産する石油のほぼ半分が、ホルモズ海峡を通過することに変わりはないのである。UAEのプロジェクトが始動しても、ホルモズ海峡の封鎖による影響を減殺する能力はごく限られているということだ。

 もちろん、UAEが計画している同パイプラインの拡充が実現した暁には、地域諸国のホルモズ海峡への依存度は下がるであろう。しかしそれでも、ホルモズ海峡は自らの戦略的位置を保つであろう。

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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:27171 )